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法テラス訴えた弁護士法人が敗訴 報酬の直接回収や出廷日当めぐる訴訟 青森地裁
2024年04月25日 19時11分
#法曹 #法テラス #日本司法支援センター

離婚をめぐる事件の成功報酬の支払い方法などをめぐり、青森県の弁護士法人「青空と大地」(代表社員・橋本明広弁護士)が法テラスを相手に起こした訴訟で、青森地裁(工藤哲郎裁判長)は4月25日、弁護士法人側の請求を棄却する判決を言い渡した。

弁護士法人側は、離婚をめぐる法テラス事件で、(1)成功報酬について、法テラスが立替払いをせず、被援助者に養育費などの入金がある都度、弁護士自ら回収するよう決定したこと、(2)、法テラスが出廷日当1万1000円を立て替えなかったこと——が債務不履行または不当行為に当たると主張していた。

判決を受けて、「到底受け入れられない、判決を検討した上で控訴することになると思う」と話している。

なお、問題となった成功報酬の支払方法については、2024年度から一部立替制度がはじまり、業務方法書の規定も改正されている。今回は改正前の事件について争ったもの。

離婚をめぐる事件の成功報酬の支払い方法などをめぐり、青森県の弁護士法人「青空と大地」(代表社員・橋本明広弁護士)が法テラスを相手に起こした訴訟で、青森地裁(工藤哲郎裁判長)は4月25日、弁護士法人側の請求を棄却する判決を言い渡した。

弁護士法人側は、離婚をめぐる法テラス事件で、(1)成功報酬について、法テラスが立替払いをせず、被援助者に養育費などの入金がある都度、弁護士自ら回収するよう決定したこと、(2)、法テラスが出廷日当1万1000円を立て替えなかったこと——が債務不履行または不当行為に当たると主張していた。

判決を受けて、「到底受け入れられない、判決を検討した上で控訴することになると思う」と話している。

なお、問題となった成功報酬の支払方法については、2024年度から一部立替制度がはじまり、業務方法書の規定も改正されている。今回は改正前の事件について争ったもの。

●養育費の債権取得は「財産的利益を得た場合」か?

判決によると、(1)の成功報酬の支払方法については、「業務方法書57条」の解釈が争点になった。同条2項は、報酬金の支払いについて、被援助者が「金銭等」を得た場合は、立て替えでなく、弁護士による直接回収になることを定めている。当時の条文は以下のとおり。

「被援助者が事件に関し相手方等から金銭その他の財産的利益(以下「金銭等」という。)を得た場合には、報酬金の全部又は一部を、立替えではなく、被援助者が直接受任者に支払うものとする。ただし、やむを得ない事情があるときは、地方事務所長は、報酬金の全部又は一部の立替えを決定することができる」(業務方法書57条2項)

弁護士法人側は、この規定について、少額かつ長期間の養育費等にも適用するのは、受任弁護士の不利益があまりにも大きいと主張。養育費は全額受け取っているわけではなく、将来にわたって支払われる額が決まっただけなので、「財産的利益を得た」場合とは言えないとも訴えていた。

これに対し判決は、「毎月の養育費の支払を受ける債権を取得した場合、当該債権が当初から支払不能や回収困難であるなどの特段の事情がない限り、(金銭その他の)『財産的利益』を得たと認めて差し支えない」と判示。

そのうえで、支払方法を決めるうえでの「やむを得ない事情」の有無を検討し、被援助者が意見照会時に「意見なし」の項目に丸をつけていることなどから、法テラス側に裁量権の逸脱または濫用があったと認めるに足る証拠はないと判断した。

●出廷日当も法テラスの裁量

(2)の出廷日当については、報酬金の基準が問題になった。

業務方法書は、「金銭事件」の基準欄に次のように定めている。

「相手方の請求を排除した場合の報酬金は、着手金の7割相当額とし、訴訟事件の場合は、出廷回数に金11,000円を乗じた額をこれに加算する。ただし、出廷回数による加算額は、請求排除額の10%を超えないものとする」

さらに備考欄には次のような定めもある。

「事件の難易、出廷回数等を考慮し、増減することができる。 出廷回数は1回11,000円を基準とする」

弁護士法人側は出廷日当について、「当然に1万1000円に出廷回数を乗じた報酬を支払うべき」、法テラス側は「『相手方の請求を排除した場合』のみに適用される」と主張したが、判決は業務方法書の記載は法テラスに裁量を与えるものと判断し、以下のように判示。双方の主張を退けた。

「その文理上、〔……〕事件の難易、出廷回数等を考慮して報酬額を『増減する』か否かについての合理的な裁量を地方事務所長に与えるものであり、地方事務所長が『出廷回数』を考慮して報酬額を『増減する』こととした場合における増額の基準として、出廷回数1回当たりの額を1万1000円と定めたものと解するのが相当である」

そのうえで、調停期日に1回出頭したこと以外に、事件の難易、出廷回数等を考慮して報酬額を「増減しない」ことが裁量権の逸脱または濫用と評価できる具体的な事情が認められないとして、弁護士法人側の請求を退けた。

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