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「舞いあがれ!」突然の「パイロットの夢」断念で「内定辞退」が話題 法的問題は?
2023年01月17日 10時57分

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」のストーリー展開が最近急に深刻になり、連日のようにSNSで話題になっている。

主人公の岩倉舞(福原遥)は、大学を中退してパイロットを目指し、航空大学校を出て、博多エアラインという航空会社に内定していたが、工場を経営する父親が急死して、会社が苦境に陥ったことを受けて、内定を辞退して、母親と一緒に経営を立て直そうと決意した。

しかも、1月13日の放送では、内定辞退と同時に、航空大学校時代から交際していた柏木弘明(目黒蓮)と別れたため、SNSでは大きな話題となった。航空学校時代の呼び名である「柏木学生」とともに、「内定辞退」や「博多エアライン」がYahoo!リアルタイム検索に次々とランクインした。

航空会社で働くパイロットは特殊な仕事であり、稀少な存在ともいえるが、会社から損害賠償請求されるなどのリスクはないのだろうか。内定辞退は法的にどう位置付けられるのか。今井俊裕弁護士に聞いた。

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」のストーリー展開が最近急に深刻になり、連日のようにSNSで話題になっている。

主人公の岩倉舞(福原遥)は、大学を中退してパイロットを目指し、航空大学校を出て、博多エアラインという航空会社に内定していたが、工場を経営する父親が急死して、会社が苦境に陥ったことを受けて、内定を辞退して、母親と一緒に経営を立て直そうと決意した。

しかも、1月13日の放送では、内定辞退と同時に、航空大学校時代から交際していた柏木弘明(目黒蓮)と別れたため、SNSでは大きな話題となった。航空学校時代の呼び名である「柏木学生」とともに、「内定辞退」や「博多エアライン」がYahoo!リアルタイム検索に次々とランクインした。

航空会社で働くパイロットは特殊な仕事であり、稀少な存在ともいえるが、会社から損害賠償請求されるなどのリスクはないのだろうか。内定辞退は法的にどう位置付けられるのか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●損害賠償請求されるリスクはあるのか?

ーー内定とは法的にどんな位置付けなのでしょうか。

内定は、個別の事案にもよるでしょうが、おおむね、「始期付きの解約権留保付きの労働契約」と言われています。つまり入社して就労する日が始期付きであり、会社の都合で内定を取り消される可能性があるので解約権留保付きです。

しかしその会社の社員として入社して働く内容は既に合意しているので、労働契約になります。会社から内定を取り消されるとはいっても、解雇ほど厳格でなくともやはり正当な理由がないと会社は内定取消はできません。

ーーでは、内定者の方から内定の辞退はできるのでしょうか。

これは雇用期間を定めたかどうか、つまり無期雇用か有期雇用かでことなってきます。

無期雇用つまり、世間でいういわゆる正社員が無期雇用で雇い入れられることが多いですが、この場合は2週間前に辞職の意思表示をすれば辞職できます。内定の場合でも同様と考えて良いです。その企業で働く意思がない労働者をそれ以上拘束しておくことは人権上も問題があるからです。

他方、有期雇用については、世間でいう非正規雇用の社員が有期雇用で雇い入れられることが多いですが、この場合であっても、やむを得ない事由があれば直ちに辞職できます。やはりやむを得ない事情がある場合にまで特定の企業に拘束しておくのは問題だからです。

しかし、そのやむを得ない事情が労働者側の過失で生じたものであれば、会社に対して損害賠償義務があります。

要は、結局辞職はできるが、労働者側の落ち度に基づく事情で辞職するのだから会社に損害を与えているならばそれは労働者が会社へ賠償せよ、ということです。

これを前提に今回の航空会社に対する内定辞退を考えた場合はどうでしょうか。今回の内定辞退は家業の立て直しのためのものであり、果たしてやむを得ない事情といえるか微妙です。仮にやむを得ない事情に該当するとしても労働者側の一方的な都合、つまり今回の内定辞退は会社側には非はなく、労働者側の落ち度に起因すると認定されることもありえます。

ーー仮に有期雇用ならば、会社に対して損害賠償義務があるのでしょうか。

現実にはその可能性は低いと思います。内定辞退者が1人出たところで、会社にどれほどの損害が生じているといえるのか疑問です。内定辞退の連絡をした時期にもよりますが、企業としてはある程度の人数の内定辞退者は予め見込んでいるはずであるともいえます。

さらにいえば、既に現実に業務命令をして配置が決まっている人員が途中で辞職の意思表示をしたのではありません。通常は入社日以降社内研修もあり、現場に配置される前の段階でしょう。さらに現時点ならばまだ入社日も迎えておらず、その年度の採用予定人員の確保に関してはまだ企業努力の余地もあります。

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