プレー中の選手の動画や写真の投稿を禁止するという厳しい内容から野球ファンの物議を醸しているNPBのSNSにおける新たな投稿ルール。
NPBは権利保護と価値向上を目的にしているが、先日行われたNPBとプロ野球選手会の事務折衝においても、選手会側がルールの緩和を求めるなど疑問を持つ選手も少なくない。
そんな中、SNSやYouTubeで野球に関する情報発信を行い、4月にオンライン上で緩和を求める署名活動を始めた中日ファンでインフルエンサーの青味噌さんは新ルールに対し「本末転倒。コンテンツを衰退しかねない」と断じる。
●ファンの投稿と試合がリンクできない「遅れている」
NPBが今シーズンから新たに設けたSNS投稿のルールでは、選手がプレーしている時の写真や動画は試合中、終了後に関わらずSNSに投稿することを禁じるなど、他スポーツのトップリーグに比べ、厳しい基準となっている。
ーーNPBはルールを設けた理由を主催者の有する権利の保護、そしてプロ野球の発展と球場観戦の価値向上と説明しています。
青味噌さん「本末転倒だと思います。ファンが撮影してSNSで発信している写真や動画と試合とを直接リンクさせられないというのは、コンテンツを衰退させかねないですし、少し遅れているなと思ってしまいます。」
ーーそんな中、昨シーズン同様にファンが撮影した試合中の動画や写真のSNS投稿を許容していた日本ハムファイターズがNPBから改善勧告を受けました。
青味噌さん「新しいルールでこの限りではないとしている『主催者が承認した場合』と判断して行っていたのに、それさえも止められてしまった。あまりにもおかしいのではと思います」
青味噌さんのXのフォロワー数は約18万人。「同じ意見のファンも多いし、影響力はある方」との自負から現状を変えるべく署名活動に踏み切った。4月7日に始めてから、4月30日現在で賛同者数は1万8000人余りになっている。
青味噌さん「WBCでも公式SNSが投稿した映像がバズったりするなど、SNSで映像や写真を発信することでファンは増えると思います。遠くに住んでいたり、体調が悪かったりして球場に来れない人のことも考えてほしいと思います。」
●歩み寄りを見せるNPBに持つ不信感
青味噌さんの声が届いたのか、NPBがここにきてルールの緩和へ舵を切ろうとする動きがある。
4月17日に行われたNPBと日本プロ野球選手会との事務折衝。選手会側がルールの見直しを要求したが、報道によると、選手会の森忠仁事務局長が「(NPB側も)前向きな検討をしていただいている」と語るなど、歩み寄りを見せたようだ。
しかし、青味噌さんはNPBの姿勢には評価をしたものの、不信感は拭えないという。
ーーNPBにはどんな対応をしてほしいか
青味噌さん「まずは昨シーズンまでのルールに戻ればと思います。
公式がSNSで投稿する映像にしても、NPBは頭が固いというか、野球を普及させたいという気持ちが伝わらないと感じます。コンテンツを充実させるか、SNSの規制を緩和するかどちらかは最低限やってほしい。
アメリカや韓国と比べて、日本はスポーツ全体でも野球の人気は圧倒的。そこにちょっと甘えて部分があると思ってしまいます。」
●願うは応援するチームのAクラス入りとその喜びの共有
青味噌さんが応援する中日ドラゴンズは3年連続最下位。2011年を最後にポストシーズンに進出できていないなど、苦しいシーズンが続いている。
青味噌さん「大学生という時間にゆとりがある期間がずっと最下位なので、とにかくAクラスに入ってほしい。もっと長く野球を見ていたい。その一心ですね。
ドラゴンズがAクラス入りする頃には、SNSの規制も緩和されて、その喜びをSNSで共有できたら最高だなと思います」