10879.jpg
時給405円で実習生働かせた社長を「逮捕」…指宿弁護士「労基署の強い意志感じる」
2019年05月30日 09時31分

中国人技能実習生を最低賃金未満で働かせていたとして、岐阜市で婦人服製造業を営む女性社長が5月下旬、最低賃金法違反と労働基準法違反の疑いで、岐阜労働基準監督署に逮捕された。

岐阜労基署によると、女性社長は2018年1月から7月にかけて、中国人技能実習生3人に対して、岐阜県の当時の最低賃金(時給800円)を下回る給料(時給405円)しか支払わなかった疑いなどが持たれている。

岐阜労基署は2018年8月、実習生3人から相談を受けて、2018年9月に是正勧告を出した。ところが、改善されないばかりか、女性社長は虚偽の報告をおこなっていた。産経新聞によると、ほかの期間でも賃金が正しく支払われていない可能性があるという。

労働基準監督署による逮捕はあまり聞いたことのない話だが、実際のところはどうなのだろうか。技能実習の労働問題にくわしい指宿昭一弁護士に聞いた。

中国人技能実習生を最低賃金未満で働かせていたとして、岐阜市で婦人服製造業を営む女性社長が5月下旬、最低賃金法違反と労働基準法違反の疑いで、岐阜労働基準監督署に逮捕された。

岐阜労基署によると、女性社長は2018年1月から7月にかけて、中国人技能実習生3人に対して、岐阜県の当時の最低賃金(時給800円)を下回る給料(時給405円)しか支払わなかった疑いなどが持たれている。

岐阜労基署は2018年8月、実習生3人から相談を受けて、2018年9月に是正勧告を出した。ところが、改善されないばかりか、女性社長は虚偽の報告をおこなっていた。産経新聞によると、ほかの期間でも賃金が正しく支払われていない可能性があるという。

労働基準監督署による逮捕はあまり聞いたことのない話だが、実際のところはどうなのだろうか。技能実習の労働問題にくわしい指宿昭一弁護士に聞いた。

●労基法違反で逮捕は「極めてめずらしい」

労基法違反で逮捕というのは、極めてめずらしいです。年間数件程度ではないかと思われます。

今回のケースで逮捕に至ったのは、虚偽報告をしていること、ほかの期間も賃金不払いの可能性があることから、証拠隠滅の恐れがあると判断されたのではないでしょうか。それだけ悪質で、逮捕の必要性が強い事案ではないかと思います。

労基署は、身柄を拘束する施設を持っていないので、警察に借りなければなりません。逮捕から48時間以内に送検しないといけないので、大変です。それでも逮捕に踏み切ったところに、労基署の強い意志を感じます。ぜひ、全国の労基署は、このような強い意志で、実習生に対する労基法違反の事案に取り組んでほしいです。

ただ、違反した企業だけでなく、元請企業が無理な発注価格や納期を押し付けてきていたことが背景にあるとしたら、その元請企業の社会的責任も問われなければならないと思います。

技能実習制度では、労基法違反が絶えず起こり、実習生たち労働者が、奴隷的な状況で働かされています。そんな技能実習制度を創設して、維持しつづけている国の責任も問われるべきです。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る