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「足で扱う、怒鳴る」“不適切保育”疑惑の保育園、不安募らせる親たち 松戸市も動き鈍く
2024年03月14日 10時02分

保育士らから「不適切保育が行われている」として“公開告発”された梨の花保育園(千葉県松戸市)の対応について、一部の保護者から不安や疑問の声が上がっている。

関係者によると、園を運営する社会福祉法人松峰会はメディア報道があった2月27日の翌日、保護者宛てに文書を送り、「心配と不安をかけて申し訳ない」とお詫びした上で、3月15日の松戸市からの回答を受けた後に対応を連絡するとしている。

しかし、ある保護者は「複数の保育士が突然やめたのが2023年5月。10月に東京管理職ユニオンがビラを配って問題の所在を訴えています。約1年近く経つにもかかわらず、園長らからの直接の説明は一切なく、何が起きているのか不安なまま過ごしています」と明かす。

告発したユニオンによると、市は「保護者説明会を開催するよう園に働きかけている」と回答したが、日時のめどは示されず。さらに、市が自ら設定した回答期限である3月15日にユニオンとの協議や会見、文書が公表されるかも不透明だという。

弁護士ドットコムニュースの取材に対しても、市保育課は「15日に向けて準備を進めている」と答えるにとどまっている。また、松峰会の担当者も「現時点では松戸市と歩調をあわせて詳細を調査中で、コメントは差し控えたい」とした。

関係者によると、松戸市側から3月15日、回答作成が間に合わず年度末まで延期してほしいとの話があったという。弁護士ドットコムニュースは午後5時すぎに市に電話したが、担当者不在で答えられないとしている。

保育士らから「不適切保育が行われている」として“公開告発”された梨の花保育園(千葉県松戸市)の対応について、一部の保護者から不安や疑問の声が上がっている。

関係者によると、園を運営する社会福祉法人松峰会はメディア報道があった2月27日の翌日、保護者宛てに文書を送り、「心配と不安をかけて申し訳ない」とお詫びした上で、3月15日の松戸市からの回答を受けた後に対応を連絡するとしている。

しかし、ある保護者は「複数の保育士が突然やめたのが2023年5月。10月に東京管理職ユニオンがビラを配って問題の所在を訴えています。約1年近く経つにもかかわらず、園長らからの直接の説明は一切なく、何が起きているのか不安なまま過ごしています」と明かす。

告発したユニオンによると、市は「保護者説明会を開催するよう園に働きかけている」と回答したが、日時のめどは示されず。さらに、市が自ら設定した回答期限である3月15日にユニオンとの協議や会見、文書が公表されるかも不透明だという。

弁護士ドットコムニュースの取材に対しても、市保育課は「15日に向けて準備を進めている」と答えるにとどまっている。また、松峰会の担当者も「現時点では松戸市と歩調をあわせて詳細を調査中で、コメントは差し控えたい」とした。

関係者によると、松戸市側から3月15日、回答作成が間に合わず年度末まで延期してほしいとの話があったという。弁護士ドットコムニュースは午後5時すぎに市に電話したが、担当者不在で答えられないとしている。

●元保育士「乱暴な扱いで悪循環が起きていた」

この問題をめぐっては、「不適切保育」について改善すべきだと訴えていた職員3人が突然退職させられたことが発端となっている。労使交渉の経過でユニオンに加入した保育士や調理師ら13人が労働組合を結成。2022〜2024年に起きた、暴言やネグレクト(無視、放置)などを市に繰り返し訴えてきたという。

同園で働いていたベテラン保育士の女性は、別の保育園と比べると異常さが際立っていると証言する。「少数の特定の職員だけですが、足で子どもを扱ったり、大声を出したりすることが常態化すると、園の雰囲気は変わっていきます。子どもたちも不安になり、落ち着かなくなる。より保育が雑になるという悪循環が生まれていました」

さらに3人が退職するに至った経緯(後に園とは和解)もあり、園長ら運営側に言いたいことが言えない雰囲気が蔓延してしまったのではないかと推察した。

●真相知りたいが強く訴えられない保護者

先述の保護者も、真相を知りたいという気持ちの一方で、複雑な思いを抱えている。

「お世話になっていた先生が突然辞めた時からモヤモヤが続いています。説明は紙っぺら1枚でした。ただ、説明を求めるよう先頭に立って主張するのは躊躇せざるを得ません。自分の子どもに何か不利益があるかもしれない、簡単に転園はできない。そんな、保護者側の痛い部分を見越して説明しないのでは、と勘繰ってしまいます」

今回の報道後に、保護者が一堂に会する年に1度の発表会があったものの、毎年挨拶するはずの園長はその場には現れなかったという。

「真摯に回答する姿勢がなく、放置してほとぼりが冷めるのを待っているように見えます。 まずは起きたことを説明し、不適切保育や不当解雇に当たるならば、謝罪してほしい。改善策が示されなければ、繰り返されます。安心して子どもを任せられません」

●保育士給与の上乗せ「松戸手当」が要因?

2022年11月に静岡県裾野市で園児を宙づりにするなどの虐待事件が起きたことを受け、国は同12月に全国で実態調査を実施。こども家庭庁が2023年5月に「不適切な保育」の考え方を示すガイドラインを策定した。

「市町村には通報があったら迅速に対応方針を決めること」「虐待等と判断した場合は保育所等と連携して保護者に対して、丁寧に説明し、理解を得ることが重要」などとされている。また、虐待等に該当しなかった場合も巡回などの機会を増やすなど注視していくよう求めている。

松戸市ではこの園で2022年に針を見せて「お口縫っちゃうぞ」などと発言した保育士の件について調査、2023年3月に改善に努めるよう注意文書を出している。その後も保育士らは「再三、市に調査依頼などの訴えを続けていたが、法人理事などへの聴取が優先され、現場への聞き取りが積極的ではなかった」などと主張している。

市側は2月27日の協議で「聞ける範囲で現場にも聞いている。積極的ではなかったかどうかは確認する」との回答にとどまっている。

松戸市は近年「子育てしやすい街」を掲げ、保育士への給与上乗せ「松戸手当」をPR。補助分は月4万5000円~7万8000円にも上り、発足当初の2018年ごろから話題となっている。

ユニオンの神部紅氏は「市外への保育士人材の流出を避けようと税金を充てた目玉政策に、不適切保育の問題は水を差すもので、市は園に強く指導できない背景があるのではないか」と話している。

(編集部注)松戸市の回答期限の対応について、3月15日午後6時40分に追記しました

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