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「エアドロップ痴漢」で逮捕者も 「いたずら」ではなくれっきとした犯罪です
2020年08月21日 09時52分

iPhoneの「エアドロップ(AirDrop)」機能を使ったことはありますか。近くにいる相手と写真やビデオ、URL、連絡先などを無線(Bluetooth)で共有できるもので、使いこなすと便利な機能ですが、悪用事例も起きています。

「エアドロップ」機能を使い、近くにいる見知らぬ女性に突然わいせつな画像を送りつけたとして、千葉県の男性が8月7日、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。

読売新聞オンラインによると(8月9日)、男性は飲食店内で女性のスマホに複数枚のわいせつな画像を送りつけたといいます。

「エアドロップ」機能は、データを共有する相手を「すべての人」「連絡先のみ(連絡先に登録している人のみ)」「受信しない」に設定できる。突然の送りつけを防ぐためには、「エアドロップ」機能利用するときに都度設定を変えるのが良さそうだ。

今回の男性の行為は、どの部分が県迷惑防止条例に違反したのだろうか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

iPhoneの「エアドロップ(AirDrop)」機能を使ったことはありますか。近くにいる相手と写真やビデオ、URL、連絡先などを無線(Bluetooth)で共有できるもので、使いこなすと便利な機能ですが、悪用事例も起きています。

「エアドロップ」機能を使い、近くにいる見知らぬ女性に突然わいせつな画像を送りつけたとして、千葉県の男性が8月7日、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。

読売新聞オンラインによると(8月9日)、男性は飲食店内で女性のスマホに複数枚のわいせつな画像を送りつけたといいます。

「エアドロップ」機能は、データを共有する相手を「すべての人」「連絡先のみ(連絡先に登録している人のみ)」「受信しない」に設定できる。突然の送りつけを防ぐためには、「エアドロップ」機能利用するときに都度設定を変えるのが良さそうだ。

今回の男性の行為は、どの部分が県迷惑防止条例に違反したのだろうか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

●6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金

ーー逮捕された男性は近くにいる見知らぬ女性に突然わいせつな画像を送りつけたそうです

いわゆる「エアドロップ痴漢」の被害事例はSNSなどで多く報告されています。接触型の痴漢と異なり、「いたずら」の延長のような感覚でやってしまうのかもしれませんが、れっきとした犯罪です。

今回の事件は、僕の事務所のある千葉県市川市での事件のようなので、千葉県迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に違反する犯罪行為になります。

条文は以下のとおりです。

3条2項「何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする」

「エアドロップ痴漢」は女性に対して卑わいな画像を送りつけて、著しくしゅう恥させるという典型的な条例違反の行為になります。刑罰も「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金(同条例13条)」と決して軽くはありません。

この迷惑防止条例は、東京や埼玉、神奈川、大阪、兵庫など多くの都道府県で定められています。兵庫でも電車内で「エアドロップ痴漢」をしたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕事例があります。

●わいせつ物頒布罪にあたる可能性も

ーー他の罪にあたる可能性もありますか

さらにこの「エアドロップ痴漢」は、わいせつ電磁的記録頒布罪(わいせつ物頒布罪)にもあたってしまう可能性があります。わいせつ電磁的記録頒布罪となる場合には「2年以下の懲役または250万円以下の罰金」という条例よりもかなり重い刑罰が待っています。

このわいせつ電磁的記録頒布罪のいう「頒布」というのは、不特定多数の者への画像等の送信をいいますので、満員電車で手当たり次第にわいせつ画像をエアドロップで送信するような場合が典型になります。

一方、一人の女性だけにわいせつ画像を送信する場合は「頒布」には基本的にあたりませんが、不特定多数の人に画像を送りつける連続的犯行の一部として、一人の女性にわいせつ画像を送信するような場合は「頒布」にあたると判断されることもあります。

「エアドロップ痴漢」に限らず、8月に入ってわいせつ関連の事件が連日ワイドショーやSNSを賑わせています。「いたずら」のつもりがとんでもない夏の思い出を作ることになってしまいかねないので、気をつけましょう。

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