広島県高校野球連盟は8月22日までに、暴行事案により中井哲之監督が辞任した広陵高校が、8月23日から始まる秋季広島県大会北部地区予選にシード校として出場すると発表した。
県内4地区のうち北部地区のみ組み合わせ調整が続いていたが、このほど決定した。新体制発足後初の公式戦となり、県高野連が誹謗中傷への警告を強化するなど、異例の状況での開催となる。
●秋季地区大会への出場
同大会は17チーム21校が参加し、7チームが県大会への出場権を獲得する。
シード校の広陵は8月30日、油木高校と世羅高校の勝者と対戦予定。試合会場や開始時刻は現時点(8月22日)で発表されていない。
●中井監督の辞任と新体制
広陵高校をめぐっては、夏の甲子園出場が決まったあと、部員による暴力事案がSNSで拡散。3月に日本高野連から厳重注意を受けていた。その後、甲子園の初戦に勝利したものの、2回戦前に途中辞退した。
8月21日に中井監督が辞任。部長も退任し、秋季大会は松本健吾新監督のもと新体制で臨むことになる。
●県高野連が注意喚起
広島県高校野球連盟は8月19日、「令和7年度秋季広島県高等学校野球大会における誹謗中傷等への対応について」と題した文書を発表。大会関係者への誹謗中傷や差別的言動に対して強い姿勢で臨むことを示した。
声明では「近年、スポーツ競技大会において、大会関係者に対する誹謗中傷や差別的な言動などが、特にSNS上で拡散される事案が確認されるようになっています」と指摘。
こうした行為は「大会関係者の名誉や尊厳、人権を傷つけ、心身に深刻な影響を生じさせるものであり、決して看過できません」と断じた。
特に今大会については、学生野球の基本原理として「教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする」「友情、連帯そしてフェアプレーの精神を理念とする」といった日本学生野球憲章の理念を強調。
誹謗中傷や差別的言動があった場合には「法的措置を含めて毅然とした対応をとってまいります」と警告したうえで「すべての人が安心して大会を楽しみ、互いに敬意をもちながら心から応援し続けられる環境づくり」への協力を呼びかけた。