13079.jpg
もしも「海外フライト」で事故にあったら・・・覚えておきたい「モントリオール条約」
2015年05月02日 10時25分

待ちに待ったゴールデンウィーク。2015年は休日の並びが良いため、有給休暇をうまく使えば最大12連休にもなる。この機会に、海外旅行に行く人もいるだろう。しかし、やや気がかりなのが、ここ最近あいついでいる飛行機の事故だーー。

3月には、ジャーマンウイングスの旅客機(エアバスA320型機)がフランス南東部で墜落し、150名が犠牲となった。また、死者こそいないものの、25人の負傷者を出した4月の広島空港のアシアナ航空機事故も、記憶に新しいところだ。

万が一、不幸にして飛行機事故に遭ってしまった場合、気がかりなのが「補償」の問題だ。自分で保険をかけずに旅行をする人もいるだろう。その場合、まったく補償は受けられないのだろうか。また、補償があるとしたら、相場はどのくらいなのか。旅行法にくわしい金子博人弁護士に聞いた。

待ちに待ったゴールデンウィーク。2015年は休日の並びが良いため、有給休暇をうまく使えば最大12連休にもなる。この機会に、海外旅行に行く人もいるだろう。しかし、やや気がかりなのが、ここ最近あいついでいる飛行機の事故だーー。

3月には、ジャーマンウイングスの旅客機(エアバスA320型機)がフランス南東部で墜落し、150名が犠牲となった。また、死者こそいないものの、25人の負傷者を出した4月の広島空港のアシアナ航空機事故も、記憶に新しいところだ。

万が一、不幸にして飛行機事故に遭ってしまった場合、気がかりなのが「補償」の問題だ。自分で保険をかけずに旅行をする人もいるだろう。その場合、まったく補償は受けられないのだろうか。また、補償があるとしたら、相場はどのくらいなのか。旅行法にくわしい金子博人弁護士に聞いた。

●航空会社の責任を定めた「モントリオール条約」

「国際線の事故で、死亡・障害を負った場合、『モントリオール条約』で補償が受けられる可能性があります」

金子弁護士があげた「モントリオール条約」とは、2003年に発効した航空会社の運送責任に関する条約だ。賠償金は、航空会社から支払われる。

「出発地と到着地の両国がいずれも同条約に加盟していれば、旅客や航空会社の国籍に関係なく、適用されます。

また、間に乗継があっても、チケットが連続していればOKです。ただし、日本や欧米先進国は条約に加盟していますが、総じて途上国は非加盟国が多いですから、出発地か到着地がそうした非加盟国だった場合、補償は受けられません」

どのような補償が受けられるのだろうか?

「モントリオール条約が適用された場合、賠償額には上限がありません。金額は事故時点の通貨価値によって変動しますが、約1800万円(2015年4月時点の換算レート)までは無過失責任となっており、航空会社は過失等がなくても、賠償責任を逃れることはできません。

もし、賠償額に納得できず訴訟になった場合には、乗客の居住地で裁判が起こせます」

かなり手厚く補償されているようだ。では、もし条約の適用がなかったら?

「条約が適用されないと、モントリオール条約の前身である『ワルソー条約』(1953年発効)や『ヘーグ議定書』(1967年発効)などが適用されます。ただ、上限は約280万円と低額な上に、航空会社には『過失がなかった』と判断された場合、賠償もなくなります。モントリオール条約と比べると、旅客への補償はまさに『雲泥の差』と言えるでしょう。

また、国内線には条約の適用がなく、原則として事故地の一般法か、航空会社の約款が適用されます。発展途上国で国内線を利用した場合、賠償は極めて低額となります。

気をつけたいのは、旅行代を少しでも安くしようと、現地の友人などに、国内旅行のエアチケットだけを手配してもらったり、現地で思い立って、国内旅行のエアチケットの手配をする場合です。この場合、条約の適用はなく、かつ、現地法により、管轄は現地となるのが通常です」

心配な人は、万が一に備え、海外旅行の際の保険加入は忘れずにしたほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る