13627.jpg
体毛が濃いのに「ヒゲを剃れ」「不潔」と上司に言われた――「差別」ではないのか?
2015年03月31日 12時50分

職場の上司や同僚女性から「ヒゲを剃れ」と言われるのは差別だ――。はてな匿名ダイアリーに投稿された文章が話題になっている。

投稿者の男性は「世の中では不潔と思われているからというが、別に不潔でもなんでもない。ちゃんと毎日顔を丁寧に洗っているし、朝風呂にも入る。単なるイメージやステレオタイプだ」と訴える。

さらに、「なぜ『だらしない』やら『ちゃんとしなさい』やら言われないといけないのか。子供の頃から体毛が濃く、辛い思いをしてきた人間からとすると、体毛が生えていると不潔と言われるのは甚だ不当だと怒りが湧く」と綴っている。

このように感じている人がいるにもかかわらず、もし、会社が「ヒゲを剃る」ことを従業員に強制した場合、差別にあたるのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

職場の上司や同僚女性から「ヒゲを剃れ」と言われるのは差別だ――。はてな匿名ダイアリーに投稿された文章が話題になっている。

投稿者の男性は「世の中では不潔と思われているからというが、別に不潔でもなんでもない。ちゃんと毎日顔を丁寧に洗っているし、朝風呂にも入る。単なるイメージやステレオタイプだ」と訴える。

さらに、「なぜ『だらしない』やら『ちゃんとしなさい』やら言われないといけないのか。子供の頃から体毛が濃く、辛い思いをしてきた人間からとすると、体毛が生えていると不潔と言われるのは甚だ不当だと怒りが湧く」と綴っている。

このように感じている人がいるにもかかわらず、もし、会社が「ヒゲを剃る」ことを従業員に強制した場合、差別にあたるのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

●一律の「ヒゲ不可」は差別にあたる?

「会社が、労働者のヒゲなどの身だしなみを制限することは、個人の自由に制限を加えるものです」

河野弁護士はこう切り出した。ヒゲ剃りを強制したら、差別にあたるのだろうか。

「個人の自由にまでおよぶ制約は、

(1)業務遂行上の必要性が認められること

(2)労働者の自由を過度に侵害しない合理的なもの

でなければなりません。

男性の業種や職種、ヒゲの生やし方などは不明ですが、これらの要素を一切考慮せずに、一律に男性のヒゲを不可とする場合、『合理的な制約』とは認められません。

したがって、このように合理的な制約と評価できない制約は、差別と評価される可能性があります」

●パワハラやセクハラに該当するケースも

差別以外にどんな問題があるのだろうか。

「合理的な制約と認められない場合、上司が『ヒゲを剃れ』と言ったり、職場での権力・優越的地位などを利用した『嫌がらせ』をおこなったりしたら、そのこと自体がパワハラやセクハラに該当する可能性があります。

また、ヒゲを剃らせることが合理的な制約と認められる場合でも、言い方によっては、パワハラやセクハラに該当しうることになりますので、指導をする際には気をつけなければなりません。

ほかの従業員が問題のある発言をしている場合には、是正する必要もあります」

トラブルを避けるために、会社側はどのような点に気をつけるべきなのだろうか。

「職種などに応じて、身だしなみを制限する『服務規程』を作ったり、指導する際には感情的にならずに冷静にきちんと説明をすることが大切になるでしょう」

河野弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る