14015.jpg
インバウンドで「温泉難民」が続出 タトゥーある外国人お断りは差別なのか
2023年05月05日 10時19分

「温泉入れないなんて悲しすぎるよ」「タトゥーフリーの施設を探すだけで一苦労なんだけど」。ネット上では、湯での癒しを求めて来日した外国人観光客から、このような声があがっている。事情を知らずに訪問して断られ、ショックを受ける人もいるようだ。

BIGLOBEが2023年2月にインターネット上でおこなったアンケート調査(対象:全国の20代〜60代までの男女1000人)によると、温泉でのタトゥーは「一律で禁止すべき」(43.9%)がもっとも多く、続いて「一律ではなく、個々で対応を検討すべき」(33.7%)、「時代に合わせて変容すべき」(22.4%)と並んだ。

賛否両論あるものの、ルールに肯定的な日本人からも「外国人に対しては融通をきかせるべきでは」などの意見がある。時代や「入れ墨」に対するイメージが変わり、観光客が戻りつつある中、入浴を断ることに問題はないのか。猪野亨弁護士に聞いた。

「民間施設には、営業の自由がある。本来、誰を入浴させて、誰を拒否するのかという選択は自由」と前置きしたうえで、猪野弁護士は次のように説明する。

「不合理な差別的扱いは、国際人権B規約や人種差別撤廃条約にも違反します。憲法が定める『法の下の平等』の理念に反することになると、不法行為として違法と評価されることもあります。

以前、小樽の銭湯で外国人を一律に拒否した銭湯に対して、2002年に札幌地裁で損害賠償請求が認められています。民間であっても公共性が強くなれば、違法とされる可能性も高くなります。

もちろん、施設側にも一定の合理的な理由はあります。日本人、外国人を問わず、タトゥーを含む入れ墨をしている人が入浴していると、他の入浴客が不快になったり、それがきっかけで客離れを招きかねないからです」

ただ、想定されている「入れ墨」について考える必要があるという。

「入れ墨の習慣のない日本人には特殊なイメージですが、海外ではごく当たり前の習慣だという国も少なからずあります。民族の風習であれば、是非はともかく特殊性はありません。この場合、入れ墨(タトゥーを含む)だから一律に拒否するのは、『外国人だから拒否しているのと変わらず、違法だ』と判断されるのではないでしょうか。

また、入れ墨といえば確かに、龍の彫り物などまさにヤクザのイメージですが、タトゥーという呼ばれ方もしています。タトゥーは従来の入れ墨と異なり、ワンポイントのイメージです。日本でも、小さなタトゥーをしている人はそれほど珍しくなくなりました。こうした状況から、日本人でも外国人でも一律禁止は行き過ぎです」

「温泉入れないなんて悲しすぎるよ」「タトゥーフリーの施設を探すだけで一苦労なんだけど」。ネット上では、湯での癒しを求めて来日した外国人観光客から、このような声があがっている。事情を知らずに訪問して断られ、ショックを受ける人もいるようだ。

BIGLOBEが2023年2月にインターネット上でおこなったアンケート調査(対象:全国の20代〜60代までの男女1000人)によると、温泉でのタトゥーは「一律で禁止すべき」(43.9%)がもっとも多く、続いて「一律ではなく、個々で対応を検討すべき」(33.7%)、「時代に合わせて変容すべき」(22.4%)と並んだ。

賛否両論あるものの、ルールに肯定的な日本人からも「外国人に対しては融通をきかせるべきでは」などの意見がある。時代や「入れ墨」に対するイメージが変わり、観光客が戻りつつある中、入浴を断ることに問題はないのか。猪野亨弁護士に聞いた。

●日本人でも外国人でも一律禁止は行き過ぎ

「民間施設には、営業の自由がある。本来、誰を入浴させて、誰を拒否するのかという選択は自由」と前置きしたうえで、猪野弁護士は次のように説明する。

「不合理な差別的扱いは、国際人権B規約や人種差別撤廃条約にも違反します。憲法が定める『法の下の平等』の理念に反することになると、不法行為として違法と評価されることもあります。

以前、小樽の銭湯で外国人を一律に拒否した銭湯に対して、2002年に札幌地裁で損害賠償請求が認められています。民間であっても公共性が強くなれば、違法とされる可能性も高くなります。

もちろん、施設側にも一定の合理的な理由はあります。日本人、外国人を問わず、タトゥーを含む入れ墨をしている人が入浴していると、他の入浴客が不快になったり、それがきっかけで客離れを招きかねないからです」

ただ、想定されている「入れ墨」について考える必要があるという。

「入れ墨の習慣のない日本人には特殊なイメージですが、海外ではごく当たり前の習慣だという国も少なからずあります。民族の風習であれば、是非はともかく特殊性はありません。この場合、入れ墨(タトゥーを含む)だから一律に拒否するのは、『外国人だから拒否しているのと変わらず、違法だ』と判断されるのではないでしょうか。

また、入れ墨といえば確かに、龍の彫り物などまさにヤクザのイメージですが、タトゥーという呼ばれ方もしています。タトゥーは従来の入れ墨と異なり、ワンポイントのイメージです。日本でも、小さなタトゥーをしている人はそれほど珍しくなくなりました。こうした状況から、日本人でも外国人でも一律禁止は行き過ぎです」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る