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飲食店「生演奏・カラオケ」で音楽無断利用、JASRACが提訴…歌った客の責任は?
2016年11月22日 09時58分

日本音楽著作権協会(JASRAC)は11月11日、生演奏とカラオケでJASRACが管理する音楽を無断利用したとして、静岡市の飲食店の経営者らに賠償を求める裁判を静岡地裁に起こしたことを発表した。

JASRACのリリースによると、同店はJASRACと利用契約を結ばないで、2008年に開店し、著作権料の督促にも応じなかった。このため、JASRACが2014年9月に静岡地裁に侵害行為を差し止める仮処分を申し立てたが、同店は廃業し、使用料は支払われなかった。その後、2015年に別の名前で営業を再開しているという。

JASRACは、提訴した理由について「多くの社交場の経営者が当協会との間で利用許諾契約を締結して適法に当協会管理楽曲を利用している」現状で、「公平の観点から、本件経営者らによる著作権侵害行為を放置できない」と説明している。

ネットでは「路上ライブなどの生演奏はどうなるのか?」といった疑問の声もあがっているが、飲食店などにおいて、楽器などで楽曲を演奏する行為は、著作権法上どのような問題があるのか。また、歌ったり、演奏したりした客には何の責任もないのか。高木啓成弁護士に聞いた。

日本音楽著作権協会(JASRAC)は11月11日、生演奏とカラオケでJASRACが管理する音楽を無断利用したとして、静岡市の飲食店の経営者らに賠償を求める裁判を静岡地裁に起こしたことを発表した。

JASRACのリリースによると、同店はJASRACと利用契約を結ばないで、2008年に開店し、著作権料の督促にも応じなかった。このため、JASRACが2014年9月に静岡地裁に侵害行為を差し止める仮処分を申し立てたが、同店は廃業し、使用料は支払われなかった。その後、2015年に別の名前で営業を再開しているという。

JASRACは、提訴した理由について「多くの社交場の経営者が当協会との間で利用許諾契約を締結して適法に当協会管理楽曲を利用している」現状で、「公平の観点から、本件経営者らによる著作権侵害行為を放置できない」と説明している。

ネットでは「路上ライブなどの生演奏はどうなるのか?」といった疑問の声もあがっているが、飲食店などにおいて、楽器などで楽曲を演奏する行為は、著作権法上どのような問題があるのか。また、歌ったり、演奏したりした客には何の責任もないのか。高木啓成弁護士に聞いた。

●著作権には、「演奏権」という権利がある

「作詞・作曲して楽曲を作ると、その楽曲に『著作権』という権利が発生します。そして、JASRACは、作詞家・作曲家から著作権の管理委託を受けているので、楽曲の『著作権者』という立場になります。

『著作権』には『演奏権』という権利が含まれており、著作権者に無断で、公衆に向けて楽曲を演奏することはできません。

この場合の『演奏』にはカラオケ機器でのカラオケ利用も含まれます。ですので、飲食店が無許可で楽曲を生演奏したりカラオケ利用すると、『演奏権』侵害として、著作権侵害となります」

高木弁護士はこのように述べる。生演奏の場合は、楽曲に演奏者がアレンジを加えて演奏することもあるが、そうした場合も「演奏権」侵害になってしまうのか。

「アレンジを加えたとしても、元の楽曲を利用していることには変わりありませんので、『演奏権』侵害になることに変わりありません」

●路上ライブの場合も著作権侵害になる

聴衆からお金を取っていない、いわゆる「路上ライブ」のような場合も、「演奏権」を侵害したことになるのか。

「『演奏権』にも例外があり、(1)営利を目的とせず、(2)聴衆や観客から料金を受けず、(3)実演家(歌い手や演奏者)に対しても報酬が支払われない、という場合には、著作権者の許諾を得ずに、公表されている楽曲を公衆に向けて演奏することができます。

路上ライブの場合は、聴衆から料金を受けない場合もありますし<(1)>、実演家に対しても報酬が支払われないのが一般です<(2)>。ただ、営利を目的としない<(1)>といえるかどうかは微妙なところです。

たとえば、純粋に演奏を観てもらうだけの目的の場合は営利を目的としないといえます。しかし、有料ライブの告知をしたり、CDなどを物販しているような場合は、営利目的の一環といえるので、やはり、『演奏権』侵害になってしまいます。

演奏権侵害にならない典型例は、学園祭のライブ演奏や、先ほどの飲食店のケースでのお客さん自身が生演奏したりカラオケしたりする場合です」

●「カラオケ法理」とは?

しかし、よく考えてみると、飲食店の場合、実際にカラオケを利用して歌唱しているのは、店主ではなく、お客さんの方だ。それなのに、飲食店が著作権侵害の主体となるのだろうか。

「はい。これには有名な判例があります。

昔、あるカラオケスナック店が演奏権侵害で訴えられたとき、実際に、カラオケスナック店は『カラオケを利用しているのは、店ではなく、お客さんの方だ』と主張しました。

しかし、最高裁判所は、カラオケ店は店内にカラオケ機器を設置して客に利用させることにより利益を得る意図だったこと等を理由に、カラオケスナック店も楽曲の利用主体であると判断しました。

このように、実際の利用主体でない者を著作物の利用主体と捉えることを、『カラオケ法理』といいます。

ですので、今回の飲食店のケースでも、飲食店が楽曲の利用主体であると認定されて、著作権侵害となります」

(弁護士ドットコムニュース)

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