14312.jpg
大学のキャンパスに棲む「タカ」が歩行者を襲う!学校は「巣」を撤去する義務がある?
2014年09月22日 13時59分

翼を大きく広げて高い空を飛ぶタカ。そんなタカが人を襲う事件が今夏、米国のニューメキシコ州立大学で相次いでいる。

報道によると、大学のキャンパス内にタカの巣があり、タカが巣を守るために歩行者を攻撃するという。擦り傷や切り傷を負うケースがほとんどだが、なかには衝突の勢いで、脳震とう後症候群、めまい、嘔吐などの症状が出た人もいるという。

大学側ではタカの巣の近くに警告サインを設置しているが、このままではさらに被害者が増えてしまうかもしれない。もし日本でもタカの巣が見つかり、歩行者や被害者から大学に対して、「危険だから巣を撤去してほしい」という依頼があった場合、撤去の義務はあるのだろうか。藤田城治弁護士に聞いてみた。

翼を大きく広げて高い空を飛ぶタカ。そんなタカが人を襲う事件が今夏、米国のニューメキシコ州立大学で相次いでいる。

報道によると、大学のキャンパス内にタカの巣があり、タカが巣を守るために歩行者を攻撃するという。擦り傷や切り傷を負うケースがほとんどだが、なかには衝突の勢いで、脳震とう後症候群、めまい、嘔吐などの症状が出た人もいるという。

大学側ではタカの巣の近くに警告サインを設置しているが、このままではさらに被害者が増えてしまうかもしれない。もし日本でもタカの巣が見つかり、歩行者や被害者から大学に対して、「危険だから巣を撤去してほしい」という依頼があった場合、撤去の義務はあるのだろうか。藤田城治弁護士に聞いてみた。

●大学側に撤去する「義務」はあるのか?

「原則としては、野生動物の巣である以上、大学側に巣を撤去する義務はありません」

藤田弁護士はこのように切り出した。なぜ撤去する義務がないのだろうか。

「相手は野生動物ですから、誰かが管理の責任を負うわけではありません。巣も自然物で、たとえば建物や階段のように人工的に作られたものではないため、管理すべき対象にはならないからです。

しかし一方で、大学は利用者の安全を確保する義務があります。万が一、タカがそこに居着いてしまい、被害が多発していることを知りつつ漫然と放置した場合には、大学が責任を問われる可能性があります。

具体的には、ニュースになったアメリカの大学のように、看板などで頭上の注意を呼びかけることは最低限やっておくべきでしょう」

●撤去する際に気をつけることとは?

ちなみに、「巣を撤去することそれ自体は禁止されない」と藤田弁護士は指摘する。大学がタカの巣を危険と判断すれば、撤去もできるということだ。ただしその際、気をつけなければならないことがあるという。

「巣に野生の鳥の卵やヒナがいる場合は、『鳥獣保護法』により、無断で撤去することは禁止されています。

加えてタカなどの猛禽類は、生息数の減少が著しく、種類によっては天然記念物などの指定を受けている可能性もあります。したがって巣を撤去する場合には、行政と相談して進める必要があります」

いくら危険といえども、巣を撤去しようとするまえに、自治体の専門家に相談したほうがいいということだ。

「タカが、本来の生息地ではないキャンパスに巣を張ったのは、それなりの理由があってのことでしょう。卵を産んでからヒナが巣立つまでの期間は2~3ヶ月程度。ひとまずは頭上に注意をして、巣立ちを待ってから、巣を撤去するのが望ましい対応だと思います」

藤田弁護士はこのように締めくくった。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る