1441.jpg
物価高でもう限界…最低賃金「全国一律1500円以上を」 全労連ら会見でうったえ
2025年07月01日 17時45分
#非正規雇用 #最低賃金 #物価高

全国一律で最低賃金1500円以上を──。

今年度の最低賃金改定に向けた議論が本格化するのを前に、全国労働組合総連合(全労連)や国民春闘共闘委員会(国民春闘共闘)などが7月1日、都内で記者会見を開いた。

政府の賃上げ方針を評価しつつも「物価高で困窮する労働者の実情に対しては不十分」として、早急な大幅引き上げと地域間格差の是正を強くうったえた。

全国一律で最低賃金1500円以上を──。

今年度の最低賃金改定に向けた議論が本格化するのを前に、全国労働組合総連合(全労連)や国民春闘共闘委員会(国民春闘共闘)などが7月1日、都内で記者会見を開いた。

政府の賃上げ方針を評価しつつも「物価高で困窮する労働者の実情に対しては不十分」として、早急な大幅引き上げと地域間格差の是正を強くうったえた。

●政府の姿勢を評価も「スピード感」に課題

政府は6月13日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、「賃上げ政策こそが成長戦略の要」と明記し、2020年代に全国平均1500円を目指す方針を示した。2029年度までの5年間で集中的に取り組むとされる。

この方針について、全労連の秋山正臣議長は「最低賃金の引き上げに向けた政府の姿勢が明確になった点は歓迎したい」と評価する一方、スケジュール感について「低賃金と物価高騰の中で苦しむ労働者の実態に照らすと、到底十分とは言えない」と批判。全国一律で速やかに1500円以上に引き上げるよう強く求めた。

●「3要素」に縛られない決断を

現在の地域別最低賃金は、(1)労働者の生計費、(2)労働者の賃金水準、(3)事業者の支払い能力の3要素を基準に決められている。

秋山議長は、この「3要素」に固執する姿勢が大幅な引き上げを阻んでいると指摘し、これにとらわれない「大胆な決断」が必要だとうったえた。

さらに、地域間格差の是正に向けた具体的な方策を示すよう要望。2024年度の最低賃金は、東京都が1163円で最も高く、秋田県が951円で最も低い。格差は212円と、前年度より8円縮小したものの、2006年の109円と比べると約2倍に拡大している。

また、審議期間が例年2週間程度と短期間で終わることについても「本当に十分な議論がされているのか疑問が残る」とし、審議過程の公開も求めた。

●今やコンビニのおにぎりが高級品に

非正規労働者で構成される「下町ユニオン」の運営委員長、石井美登理さんは「今やコンビニのおにぎりが高級品。子どもに『買えない』と言わなければならないなんて、異常事態です」と生活の厳しさをうったえた。

下町ユニオンの多くは、パートやアルバイトなど非正規で働く女性たちであり、大半が最低賃金で働いているという。

物価高騰の影響は家庭にも深刻で、石井さんは「『おかわりしないで』『食べ過ぎないで』と、食べ盛りの子どもに言わざるを得ない家庭もあります。そんな状況は本当におかしい」と語気を強めた。

今年3月に実施した相談会には、1日で116件の相談が寄せられた。これはコロナ禍以降の5年間で最多だったという。

石井さんはさらに、母親たちが家庭で抱える負担の大きさにも触れ「お母さんたちは仕事に加えて、子育て、保育園や学童、PTA、さらには膨大な書類対応など、子どもに関する多くの業務を担っています。現場からは悲鳴が上がっています」と述べ、最低賃金の早期かつ大幅な引き上げを切実に求めた。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る