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【博多駅前陥没】玄関前崩壊のセブンイレブンやシステム障害の銀行、補償はどうなる?
2016年11月11日 10時37分

11月8日早朝、福岡市のJR博多駅前の道路が陥没し、建物前に大穴ができた「セブンイレブン博多駅前通店」など、複数の企業・店舗が休業を余儀なくされた。

また、福岡銀行を核とする「ふくおかフィナンシャルグループ」では、大規模なシステム障害が発生。「西日本シティ銀行」も穴の近くにある支店が終日休業したり、一部のATMが使えなくなったりする被害が出ている。

高島宗一郎市長は当日会見を開き、「管理責任は市にある」と謝罪。陥没の原因が地下鉄延伸工事にある可能性があるとして、原因を究明すると話した。

穴周辺の企業・店舗はしばらくの間、陥没の影響を受けそうだが、今後の補償問題はどうなるのだろうか。林朋寛弁護士に聞いた。

11月8日早朝、福岡市のJR博多駅前の道路が陥没し、建物前に大穴ができた「セブンイレブン博多駅前通店」など、複数の企業・店舗が休業を余儀なくされた。

また、福岡銀行を核とする「ふくおかフィナンシャルグループ」では、大規模なシステム障害が発生。「西日本シティ銀行」も穴の近くにある支店が終日休業したり、一部のATMが使えなくなったりする被害が出ている。

高島宗一郎市長は当日会見を開き、「管理責任は市にある」と謝罪。陥没の原因が地下鉄延伸工事にある可能性があるとして、原因を究明すると話した。

穴周辺の企業・店舗はしばらくの間、陥没の影響を受けそうだが、今後の補償問題はどうなるのだろうか。林朋寛弁護士に聞いた。

●原因次第だが、基本は福岡市に責任?

「被害を受けた方は、まず福岡市側と話し合いで賠償を求めることになるでしょう。

福岡市や施工した大手ゼネコンを含むJV(共同企業体)が保険に加入していれば、その範囲では比較的スムーズに損害賠償が進むかもしれません」

ただし、弁護士ドットコムニュースが訊ねたところ、福岡市は未加入、JVの取りまとめ役である大成建設は「工事の個別案件についてはお答えしていない」とのことで、加入の有無は分からなかった。

では、話し合いでまとまらなかったらどうなるのだろうか。林弁護士は次のように解説する。

「その場合、裁判をすることになります。

陥没したのは市道ですし、自然災害ではなく市営地下鉄の工事が影響しているようですから、基本的には『道路や公の営造物の設置・管理に瑕疵があった』(国家賠償法2条)として、福岡市の賠償責任が問えるのではないかと思います。

瑕疵の認定が難しくても、福岡市の注文・指図に過失があれば、注文者の損害賠償責任(民法716条)があるといえるでしょう」

建設会社にミスがあった場合は?

「調査や工事に過失があった場合は、施工を請け負ったJVが共同不法行為(民法709条、719条)の損害賠償責任を問われます」

●福岡市「今は復旧作業で手一杯」

「話し合いにしても、裁判にしても、原因究明は欠かせません。また、事故と損害の因果関係や、どの範囲(企業・個人)までの損害を認めるかなど、認定作業には困難が予想されます。

福岡市は今後、原因究明や賠償について、弁護士などの専門家を交え、迅速適切な解決を図るべきです。また、被害を受けた企業・個人も損害賠償請求に備えて、弁護士に相談しておくとよいでしょう」(林弁護士)

福岡市交通局の担当者によると、「今は復旧作業に注力していて、補償の話は進んでいない。今後、調査などで事故原因を究明し、その後、どこが補償するか話し合うことになるのではないか」と話していた。

【11月14日追記】

福岡市営地下鉄の工事絡みでは、2000年と2014年にも道路の陥没が起きている。福岡市交通局の担当者に補償の有無を尋ねたところ、「いずれも被害規模が小さく、営業補償はしていない」とのこと。ただし、「今回に関しては被害範囲が大きいので、補償する方向で検討している」とのことだった。

(弁護士ドットコムニュース)

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