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中学生が大人顔負けの「法廷バトル」 弁護士会が「ジュニアロースクール」開催
2015年04月20日 17時34分

「共犯者の指紋が紙幣についていなかったのは不自然だ」「犯行をしていないとすると、居酒屋を出て帰宅するまでの2時間に空白の時間が生じてしまい、不自然だ」――。ほんものの裁判さながらのやりとりをしているのは、検察官でも弁護士でもない。現役の中学生たちだ。

これは、中学生が現役弁護士の指導を受けながら「裁判と法」を体験するプログラム「ジュニアロースクール」の一幕である。第一東京弁護士会が3月30日、東京・霞が関の弁護士会館で開催した。会場には、東京都内の中学校に通う男女30人の生徒が集まった。

「ロースクール」と銘打っているが、難解な条文や法律用語の勉強をするわけではない。

第一東京弁護士会・法教育委員会委員長の唐津真美弁護士は冒頭のあいさつで、ジュニアロースクールの意義について「法律の根本的な、基本的な部分を体験しながら学んでほしい」と中学生たちに語りかけた。将来の法の担い手として「事実を見極める力、論理的に考える力、話し合う力を身につけてほしい」と呼びかけた。

今回のジュニアロースクールでは、2つのプログラムが実施された。一つは「弁護側」と「検察側」に分かれ、架空の事件について、被告人が犯人かどうかを議論する「刑事編」。もう一つは「ひまわり市」という架空の自治体の立法担当者となって、議論しながら条例案を作成する「立法編」だ。中学生は5人ずつ、6つのグループに分かれて、ディスカッションする。各グループに弁護士が3人ずつ、アドバイザーとして加わった。

「共犯者の指紋が紙幣についていなかったのは不自然だ」「犯行をしていないとすると、居酒屋を出て帰宅するまでの2時間に空白の時間が生じてしまい、不自然だ」――。ほんものの裁判さながらのやりとりをしているのは、検察官でも弁護士でもない。現役の中学生たちだ。

これは、中学生が現役弁護士の指導を受けながら「裁判と法」を体験するプログラム「ジュニアロースクール」の一幕である。第一東京弁護士会が3月30日、東京・霞が関の弁護士会館で開催した。会場には、東京都内の中学校に通う男女30人の生徒が集まった。

「ロースクール」と銘打っているが、難解な条文や法律用語の勉強をするわけではない。

第一東京弁護士会・法教育委員会委員長の唐津真美弁護士は冒頭のあいさつで、ジュニアロースクールの意義について「法律の根本的な、基本的な部分を体験しながら学んでほしい」と中学生たちに語りかけた。将来の法の担い手として「事実を見極める力、論理的に考える力、話し合う力を身につけてほしい」と呼びかけた。

今回のジュニアロースクールでは、2つのプログラムが実施された。一つは「弁護側」と「検察側」に分かれ、架空の事件について、被告人が犯人かどうかを議論する「刑事編」。もう一つは「ひまわり市」という架空の自治体の立法担当者となって、議論しながら条例案を作成する「立法編」だ。中学生は5人ずつ、6つのグループに分かれて、ディスカッションする。各グループに弁護士が3人ずつ、アドバイザーとして加わった。

●大人顔負けの白熱した議論

刑事編の題材は、架空の強盗事件の裁判だ。女性が深夜の公園で二人組の男に襲われ、現金を奪われた。共犯者の男性は罪を認めているが、被告人として起訴された男性は「全く身に覚えがない」と起訴事実を否認している――。

具体的な裁判の様子は、ドラマ仕立ての映像がスクリーンに映し出されて、中学生たちに示される。それは、実際の裁判の流れを忠実に再現した内容で、法教育委員会の弁護士たちが裁判官や検察官役としてみずから出演して、制作したものだ。

中学生たちは、その映像を見て、裁判の様子を把握したうえで、手元に配られた起訴状や証拠資料をもとに「被告人が犯人なのか?」「犯人だとすれば罪の重さはどの程度なのか?」について、弁護側と検察側に分かれて議論する。

証拠には、「被害者と被告人の指紋が付いた千円札」や「被害者がいつも利用しているコンビニで被告人が買い物をしたときのレシート」、「被害者の証言をもとに作られた犯行当時の公園の現場見取り図」など、いったいどう評価していいのか悩むものが並んでいる。

そんな証拠を前に、中学生たちは大人顔負けの議論を展開していた。

「被害者は現場で被告人の顔を見たと証言しているが、二人の位置関係からすると、被告人の顔は電灯の逆光で見えなかったはずだ」「いや、電灯の高さは5メートルもあるから、逆光にはならないよ」

●架空の市の「猫条例」の改善案を検討

当日はじめて出会った中学生たちは、最初こそ遠慮がちに話し合っていたが、しばらくするとそんなことは気にならなくなったようで、活発に意見を言いあっていた。

その後、検察側グループは被告人が有罪である理由を、弁護側グループは被告人が無罪である理由を発表した。

立法編では、架空の市で作られた「猫をめぐる条例」の案をめぐって、生徒たちが議論した。市による野良猫の殺処分を禁止し、避妊などの措置をしたうえで「地域猫」として共存しようと定める条例について、どう評価するのか。もし条例を制定するとしたら、改善すべき点はあるか。

生徒たちは、弁護士が演じる住人の意見も聞いて、条例の是非や改善点を話し合った。地域猫として共存するという条例の方針について「排泄物の問題が残る。市営の『猫パーク』を開園するほうがよいのでは?」と反対意見を述べる生徒もいるなど、活発な議論が展開されていた。

●「今日の体験は、将来必ず役に立つ」

「刑事編」議論を終えたあとの講評で、元検事総長の但木敬一弁護士は「プロ同士の戦いはもっと厳しい」と指摘しつつ、「弁護士や検事の戦いも、本質的には、みなさんがやった作業と同じだ。短い時間でよく検討していた。面白い考え方だなと感じたことも多々あった」と中学生たちの議論をたたえていた。

また、「立法編」の議論を終えたあとには、住田裕子弁護士が、「人が二人以上いたら、必ずその中で取り決め、ルールを作る必要がある。今日体験したことは、将来必ず役立つと思う。これからも、考える力を磨いていってほしい」と話していた。

参加した中学生にとっても、充実した体験だったようだ。プログラム終了後に話を聞くと、ある中学2年の生徒は「証拠ひとつとっても、人によって見方が全く違うことに驚いた。知らない人と議論して、意見をまとめるのは難しかったが、その分達成感も感じた。学校では体験できない、貴重なプログラムだったと思う」と話していた。

また、別の生徒は「法律に関わる仕事に興味があったので参加した。考えていたよりずっと本格的な内容でびっくりした。貴重な体験ができた」と話していた。この中学生は、将来はロースクールに進学を希望しているそうだ。

第一東京弁護士会は、夏には小学生に向けた「ジュニアロースクール」も予定しているという。

(弁護士ドットコムニュース)

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