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平田オリザさん「ロボット愛護法を作って世界のスタンダードに」…漱石アンドロイド演劇初公演
2018年08月28日 09時41分

明治の文豪・夏目漱石のアンドロイド(人型ロボット)を使った演劇が8月26日、東京・九段下の二松學舍大で、初めて公演された。そのあとのシンポジウムでは、脚本を担当した劇作家の平田オリザさんや、漱石アンドロイド開発を監修した大阪大学・石黒浩教授らが議論をおこなった。平田さんは「ロボットは、ペット以上の存在になっていくだろう」と予言した。

明治の文豪・夏目漱石のアンドロイド(人型ロボット)を使った演劇が8月26日、東京・九段下の二松學舍大で、初めて公演された。そのあとのシンポジウムでは、脚本を担当した劇作家の平田オリザさんや、漱石アンドロイド開発を監修した大阪大学・石黒浩教授らが議論をおこなった。平田さんは「ロボットは、ペット以上の存在になっていくだろう」と予言した。

●人型ロボットは「家族のようなものになるかもしれない」

この演劇は、平田さんが主宰する「青年団」と二松學舍大、大阪大が共同制作した。漱石(アンドロイド)と、親友で俳人の正岡子規(生身の役者)が、手紙のやりとりのような会話をするというものだ。漱石のアンドロイドは、漱石とゆかりのある二松学舎大が2016年、アンドロイド開発の第一人者である石黒教授の監修のもと完成させていた。

石黒教授はシンポ冒頭、「人間とコミュニケーションするロボット(アンドロイド)が、そう遠くない未来に登場する」と述べた。人間とロボットとの関係は現在、人間が命令を伝えて、ロボットが実行するという一方的なものとなっているが、石黒教授によると、ロボットが自律性を持つと「人間が何をしてほしいか」を考えながら、行動するようになるという。

すると、今度は、人間のほうも「ロボットがどういう意図をもって行動しているのか」を考えないといけなくなるそうだ。人間とロボットとの間で、そういった新しい関係が構築されてくると、人間にとって、ロボットは「家族のようなものになるかもしれない」(石黒教授)というのだ。

●「ロボットは、ペット以上の存在になる」

脚本を担当した平田さんは、家庭用のロボットをほしいという需要について「『鉄腕アトム』のように、子どもをなくした夫婦になるのではないか」と予想した。平田さんは動物愛護法をたとえにあげながら、「人によっては、犬猫だけでなく、蛇でさえ、かけがえのないペットとなる。おそらくロボットは、ペット以上の存在になる」と持論を展開した。

もし、そのようになったら、動物愛護法のような法律が、ロボットについても必要になってくる。平田さんは「ロボット愛護法は、日本が最初につくらないといけない。世界のスタンダードになる可能性がある。非常に大きな役割を、日本の法学者が担っている。アンドロイド演劇は、そういうことの参考にもなると考えている」と力説した。

この発言を受けて、シンポに登壇した福井健策弁護士は「ヨーロッパでは、ロボットは人類にとって脅威であり、ディストピア的なロボット観だ。一方、日本人にとっては、アトムとドラえもんのように『友だち』という意識が強い。その感性は、モノに魂をみてとれる日本人のすぐれた特質だ」として、ロボット愛護法のような新しいルールを日本から発信していく重要性をうったえていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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