15940.jpg
大声で騒ぐ「徒歩暴走族」 バイクに乗らず大声で叫ぶだけでも逮捕されるの?
2013年07月11日 15時15分

「バーリバリ」——。大声でバイクの爆音を真似ながら騒ぎ回る「徒歩暴走族」。さまざまな夏のイベントを前にして、各地の警察が対策に神経をとがらせている。

各社報道によると、姫路市では市職員や警察署員ら約100人が参加して、徒歩暴走族の取り締まり訓練を行った。訓練の内容は、紫色の服を着た徒歩暴走族役が「バーリバリ」と、バイクのエンジンをふかす擬音で周囲を威嚇すると、市職員が立ち去るように命令。それでも騒ぐ"徒歩暴走族"を、警察官が"現行犯逮捕"するというものだった。

今回の訓練は「姫路市民等の安全と安心を推進する条例」に基づいている。この条例は、多くの人が公共の場に集まった際に、いわゆる特攻服を着て威勢を示しながら通行することを禁じているほか、2人以上で大声を発して周囲を不安がらせることなどに対して、市が中止命令を出せるとしている。

はたして、「徒歩暴走族」はどんな罪に問われるのか? こんな条例は他の地域にもあるのだろうか? サークルのコンパのあとに集団で大声を上げている大学生たちも逮捕されてしまうことはないのだろうか? 中塚恵介弁護士に聞いた。

●「徒歩暴走族」が中止命令にしたがわなければ、5万円以下の罰金

「姫路市の条例によると、『徒歩暴走族』が中止命令を受けても解散しないなどの違反行為があった場合には、5万円以下の罰金という刑事罰が科せられます」

と中塚弁護士は解説する。この条例、とてもユニークに見えるが、姫路市だけのオリジナルなのだろうか。それとも、他の地域にもあるのだろうか?

「広島市にも『広島市暴走族追放条例』があります。姫路市の条例と同様に、公共の場所において暴走族風のいわゆる特攻服を着て集会を開くこと等を禁じていますが、広島市の条例の罰則は、姫路市よりも重く、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています」

この手の規制は、姫路市だけのものではないようだ。今後「徒歩暴走族」に悩まされる多くの自治体に広がっていくかもしれない。あと気になるのは、暴走族以外の一般人にも適用されて、逮捕されてしまうことはないかという点だ。ありがちなのは飲み会のあとに大騒ぎになってしまうケースだ。

「姫路市の条例では、暴走族の名称を示すように刺しゅうをほどこされた服を着用して、威勢を示すように通行する場合、すなわち大勢で練り歩くような場合か、そのような服を着て2人以上が大声を発するなどの行動をとることが必要です。ともに周囲に不安を覚えさせることも要件です。したがって、単に大声で騒いでいるだけでは、この条例にもとづいて逮捕されるわけではありません」

暴走族の服装で騒ぐなどして周囲に不安を与えるような行動をした場合に、この条例が適用される可能性があるということで、ただ騒いでいるだけで逮捕されるわけではないとのこと。

それは一安心だが、酔っ払っての騒ぎすぎは立派な近所迷惑。場所や時間には十分気をつけよう。

(弁護士ドットコムニュース)

「バーリバリ」——。大声でバイクの爆音を真似ながら騒ぎ回る「徒歩暴走族」。さまざまな夏のイベントを前にして、各地の警察が対策に神経をとがらせている。

各社報道によると、姫路市では市職員や警察署員ら約100人が参加して、徒歩暴走族の取り締まり訓練を行った。訓練の内容は、紫色の服を着た徒歩暴走族役が「バーリバリ」と、バイクのエンジンをふかす擬音で周囲を威嚇すると、市職員が立ち去るように命令。それでも騒ぐ"徒歩暴走族"を、警察官が"現行犯逮捕"するというものだった。

今回の訓練は「姫路市民等の安全と安心を推進する条例」に基づいている。この条例は、多くの人が公共の場に集まった際に、いわゆる特攻服を着て威勢を示しながら通行することを禁じているほか、2人以上で大声を発して周囲を不安がらせることなどに対して、市が中止命令を出せるとしている。

はたして、「徒歩暴走族」はどんな罪に問われるのか? こんな条例は他の地域にもあるのだろうか? サークルのコンパのあとに集団で大声を上げている大学生たちも逮捕されてしまうことはないのだろうか? 中塚恵介弁護士に聞いた。

●「徒歩暴走族」が中止命令にしたがわなければ、5万円以下の罰金

「姫路市の条例によると、『徒歩暴走族』が中止命令を受けても解散しないなどの違反行為があった場合には、5万円以下の罰金という刑事罰が科せられます」

と中塚弁護士は解説する。この条例、とてもユニークに見えるが、姫路市だけのオリジナルなのだろうか。それとも、他の地域にもあるのだろうか?

「広島市にも『広島市暴走族追放条例』があります。姫路市の条例と同様に、公共の場所において暴走族風のいわゆる特攻服を着て集会を開くこと等を禁じていますが、広島市の条例の罰則は、姫路市よりも重く、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています」

この手の規制は、姫路市だけのものではないようだ。今後「徒歩暴走族」に悩まされる多くの自治体に広がっていくかもしれない。あと気になるのは、暴走族以外の一般人にも適用されて、逮捕されてしまうことはないかという点だ。ありがちなのは飲み会のあとに大騒ぎになってしまうケースだ。

「姫路市の条例では、暴走族の名称を示すように刺しゅうをほどこされた服を着用して、威勢を示すように通行する場合、すなわち大勢で練り歩くような場合か、そのような服を着て2人以上が大声を発するなどの行動をとることが必要です。ともに周囲に不安を覚えさせることも要件です。したがって、単に大声で騒いでいるだけでは、この条例にもとづいて逮捕されるわけではありません」

暴走族の服装で騒ぐなどして周囲に不安を与えるような行動をした場合に、この条例が適用される可能性があるということで、ただ騒いでいるだけで逮捕されるわけではないとのこと。

それは一安心だが、酔っ払っての騒ぎすぎは立派な近所迷惑。場所や時間には十分気をつけよう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る