16143.jpg
部下を慰めるため「頭ポンポン」したらセクハラ問題に発展…懲戒処分の可能性は?
2017年03月29日 09時48分

イケメンからされると、キュンとしてしまう女性もいるという「頭ポンポン」。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、部下の女性に「頭ポンポン」をしたことで、セクハラ問題に発展してしまった商社マンからの質問が寄せられました。

この男性は、仕事に失敗した部下を慰めるため、頭を手でポンポンと撫でたところ、匿名で社内のコンプライアンス部署に訴えがあり、会社から聴取を受けることになってしまったそうです。男性は、その女性部下からプライベートで食事に誘われたこともあり、嫌悪感を持たれていると思わなかったそうです。

「頭ポンポン」をしたことで懲戒処分を受ける可能性はあるのでしょうか。また、上司が部下の肩を叩くなどの行為もよく見受けられますが、どんな場合にセクハラと判断されるのでしょうか。森田梨沙弁護士に聞きました。

イケメンからされると、キュンとしてしまう女性もいるという「頭ポンポン」。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、部下の女性に「頭ポンポン」をしたことで、セクハラ問題に発展してしまった商社マンからの質問が寄せられました。

この男性は、仕事に失敗した部下を慰めるため、頭を手でポンポンと撫でたところ、匿名で社内のコンプライアンス部署に訴えがあり、会社から聴取を受けることになってしまったそうです。男性は、その女性部下からプライベートで食事に誘われたこともあり、嫌悪感を持たれていると思わなかったそうです。

「頭ポンポン」をしたことで懲戒処分を受ける可能性はあるのでしょうか。また、上司が部下の肩を叩くなどの行為もよく見受けられますが、どんな場合にセクハラと判断されるのでしょうか。森田梨沙弁護士に聞きました。

●頭ポンポンは「環境型セクハラ」に該当する可能性も

「『セクハラ』という言葉は普段耳にすることも多いですが、その概念は多義的で、刑事罰が科されるような違法性の強いものから、モラル違反としてのセクハラまで、様々です。

ご質問にあるような『懲戒処分を受けるかどうか』という観点では、男女雇用機会均等法11条の定めが参考になります。この条文では、事業主が防止措置を講ずべきセクハラとして、以下の2種類を挙げています。

(1)職場において行われる性的な言動に対するその労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受ける場合(対価型セクハラ)

(2)性的な言動により当該労働者の就業環境が害される場合(環境型セクハラ)」

今回のケースはどのように考えられるのか。

「ご質問のケースは、『環境型セクハラ』に該当する可能性があります。一般的には、意に反する身体的接触によって、労働者が強い精神的苦痛を被る場合には、身体接触が1回だけであっても、就業環境が害されていると判断される可能性があります。

他方、行為の継続性または繰り返しが判断の要件となる場合でも、『明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態』または『心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合』には、就業環境が害されていると判断されるでしょう。

なお、性的な言動や行為に対してどう感じるかは男女間で差異があるため、被害を受けた労働者が女性である場合には『平均的な女性労働者の感じ方』を基準とすることが適切だと考えられています」

●明確に抗議されたのに繰り返すと懲戒処分の可能性あり

女性部下への「頭ポンポン」は、就業環境を害する行為と言えるのか。

「女性部下の頭をポンポンしたことについて、『平均的な女性労働者の感じ方』を基準に判断した場合、1回で強い精神的苦痛を被るほどの身体的接触であるとまでは言い難いと思われます。

ただ、女性部下から明確に抗議されたにもかかわらず繰り返したような場合には、懲戒処分を受ける可能性が出てくると言えるでしょう。

なお、質問者は以前、女性部下から食事に誘われたことがあるとのことですが、その事実をもって女性部下が『頭ポンポン』に合意していたとは評価できません。また、就業環境を害するかどうかは、あくまで『平均的な女性労働者の感じ方』を基準に判断するため、男性上司の主観で『この程度なら大丈夫だ』と判断することは誤りです。

上司が部下の肩をたたく行為についても判断基準は同様です。

いずれにしろ、職場における不必要な身体への接触はトラブルの元です。セクハラは男女の認識の違いにより発生している面があることを十分理解した上で、気を付けて対応する必要があります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る