16785.jpg
「風俗店スカウト」グループを逮捕――ソープランドに紹介したから「アウト」だった?
2016年02月18日 10時57分

東京・池袋の繁華街で女性に声をかけて、風俗店での仕事を紹介したとして、スカウトグループの代表とメンバー合わせて5人が2月上旬、職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで警視庁に逮捕された。

報道によると、代表らは2015年、JR池袋駅近くの路上で、20代の女性に声をかけて、水戸市のソープランドが売春をさせていると知りながら、経営者に紹介した疑いが持たれている。代表らはソープランド側から女性の紹介料を受け取っていたという。

繁華街で、若い女性に声をかけるスカウトの存在はよく聞くが、今回摘発されたのは、どこがポイントなのだろうか。ソープランドに紹介した点が問題とされたのだろうか。古川穣史弁護士に聞いた。

東京・池袋の繁華街で女性に声をかけて、風俗店での仕事を紹介したとして、スカウトグループの代表とメンバー合わせて5人が2月上旬、職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで警視庁に逮捕された。

報道によると、代表らは2015年、JR池袋駅近くの路上で、20代の女性に声をかけて、水戸市のソープランドが売春をさせていると知りながら、経営者に紹介した疑いが持たれている。代表らはソープランド側から女性の紹介料を受け取っていたという。

繁華街で、若い女性に声をかけるスカウトの存在はよく聞くが、今回摘発されたのは、どこがポイントなのだろうか。ソープランドに紹介した点が問題とされたのだろうか。古川穣史弁護士に聞いた。

●売春・風俗・AV撮影への職業紹介が禁止されている

「今回のケースで問題となっているのは、ソープランドのスカウトです。このようなスカウトの場合、法的な規制として、まず職業安定法があります。

この法律では、公衆衛生または公衆道徳上『有害な業務』への職業紹介などが禁止されています。そして、裁判例により、売春・風俗・AV撮影などが『公衆道徳上有害な業務』にあたると判断されています。

また、許可なく、紹介料をもらって職業紹介事業をおこなうことも法律に違反する可能性があります」

古川弁護士はこのように述べる。ほかにはどのような規制があるのだろうか。

「また、各都道府県の迷惑防止条例にも規制があります。東京都の迷惑防止条例では、売春・風俗・AV撮影のスカウトのみならず、キャバクラの従業員(キャバ嬢)のスカウトなども規制の対象になっています。

さらに、今回問題となっている豊島区では、区の条例としても規制の対象となっています。ただし、区の条例は、主にキャバクラや居酒屋などの客引きの対策としてつくられた経緯があります」

●「性交類似行為」をおこなう業務も「有害」とされる

今回の逮捕容疑となった職業安定法の「有害な業務」とはどういうものなのか。

「性交がある『売春』だけでなく、風営法上適法とされる『性交類似行為』をおこなう業務も含まれるというのが、これまでの裁判例です。

したがって、風営法上適法なものであっても、道徳的にみて『有害な業務』と判断されることがあります。そのため、このような業務では職業紹介をすることは認められていません。ただ、広告などで人を募集することはできます」

いわゆるキャバクラのスカウトも違法となるのだろうか。

一般にスカウトは、ナンパとの区別が難しく、『単にナンパで声をかけた』というような言い訳を述べるケースが多く、しっかりとした裏付けがないと最終的に裁判に持ち込むのは難しいです。

しかし、売春や風俗のスカウトの仕事は、時として、働く人の意思を無視して、人身売買に近いことが行われている実態があります。そういった行為は厳に慎むべきでしょう」

古川弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る