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社長が私的出費の全ての領収書を渡してきた! 中小企業「どんぶり勘定」を避けるには
2017年01月09日 09時50分

「どんぶり勘定」な会社の経理を任されたけど、どこから手をつけていいのかわからないーー。そんな相談が税理士ドットコムの税務相談コーナーに寄せられた。

投稿者は、社長と従業員は自分だけという小さな会社に勤めている。社長は、飲食代や旅行の土産代、カラオケ代など、プライベートと思われる出費まですべて領収書を渡してくるという。

相談者は、社長から経理をするよう命じられたが、未経験のため「山盛りな領収書とにらめっこな日々です」と困惑している。社長のプライベートと会社としての経費がごっちゃにする「どんぶり勘定」に税務上の問題はないのか。島田弘大税理士に聞いた。

「どんぶり勘定」な会社の経理を任されたけど、どこから手をつけていいのかわからないーー。そんな相談が税理士ドットコムの税務相談コーナーに寄せられた。

投稿者は、社長と従業員は自分だけという小さな会社に勤めている。社長は、飲食代や旅行の土産代、カラオケ代など、プライベートと思われる出費まですべて領収書を渡してくるという。

相談者は、社長から経理をするよう命じられたが、未経験のため「山盛りな領収書とにらめっこな日々です」と困惑している。社長のプライベートと会社としての経費がごっちゃにする「どんぶり勘定」に税務上の問題はないのか。島田弘大税理士に聞いた。

●「社長個人と会社は別人格、サイフも別」

「『どんぶり勘定』をしているからといって直ちに税務上の問題が生じるわけではありません。

しかし、普段から『どんぶり勘定」をしていることによって経理が煩雑になり、正しく経理が行われていないケースがあります。その場合は、結果として誤った税額計算に繋がる可能性があるため注意が必要です」

島田税理士はこのように述べる。正しく経理をするためには、どんな点に注意すべきなのか。

「『社長個人と会社は別人格』であり、『社長個人と会社のサイフも別』ということを理解することが非常に重要です。

社長個人がプライベートな支出を個人のサイフから支払う場合は、会社としては何ら関わっていないため、会社としてこの取引を認識する必要はありません。

しかし、会社の現金預金から支払われた場合は、会社の現金預金が動くため、社長個人のプライベートな支出であったとしても、その取引を会社として認識する必要があります」

社長が個人のサイフから支払うプライベートな支出は会社の経費にならないというわけだ。では、どのように処理することが正解なのか。

「会社としては、経費ではなく『役員貸付金』として処理します。簡単にいえば、『会社から社長にお金を貸した』という扱いで処理するわけです。

もし、会社の経費として処理してしまうと、法人税法上は経費(損金)として認められませんので、税務調査で指摘されることに繋がります。

逆に、会社としての経費を社長個人のサイフから支払った場合は会社の経費として処理する必要があります。この場合、会社の現金預金が減っているわけではなく、あくまでも社長からの借入で支払っていると考え、社長からの『役員借入金』として処理することは一般的です。

『社長個人と会社は別人格』ですので、これらの『役員貸付金』『役員借入金』は社長個人と会社との間で定期的に精算する必要があります。定期的に精算していない場合には、他の税務上の問題が生じる可能性もあります」

相談者の会社は社長ひとり、社員ひとりの小さな会社のようだ。社長には、具体的にどんな点に注意してもらえばいいのか。

「『どんぶり勘定』を整理していくには、まずは領収書に支払の目的を明記してもらい、会社の経費かプライベートな支出かを判断していくのが良いでしょう。その上で、さきほど述べたような経理処理を行っていけば、正しい税額計算へと繋がります。

『どんぶり勘定』を続ければ、経理が非常に煩雑になり、誤った経理処理、さらには誤った税額計算へと繋がるリスクが増えてしまいます。

社長自身が『社長個人と会社は別人格であり、それぞれのサイフも別である』ということを正しく理解し、そのことが『簡便で正確な経理処理、さらには正しい税額計算に繋がる』という認識を持つことが最も重要と言えるでしょう」

【取材協力税理士】島田 弘大(しまだ・こうた)

税理士海外取引のある中小企業支援に特化した税理士事務所を運営。税務申告だけでなく、中小企業が日々直面する海外取引に係る国際税務コンサルティングを強みとする。シンガポールを中心に東南アジア進出支援の実績多数。

事務所名 : 島田&アソシエイツ国際税理士事務所

事務所URL: http://shimada-associates.com/

(弁護士ドットコムニュース)

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