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「いじめ対策法」で教育現場が変わる? 与野党の法案をどうみるべきか
2013年05月26日 13時23分

大津市のいじめ自殺事件などを受け、いじめ対策の法整備に向けた動きが進んでいる。今国会では、与野党それぞれの「いじめ対策法案」が審議されることになりそうだ。深刻化する子どものいじめに、法律はどう向き合うべきなのか、注目が集まっている。

自民・公明の与党案は、いじめをなくすことを目指し、加害者側の児童・生徒に対して懲戒や出席停止など具体的な措置をとりうることを明記している。一方、民主・生活・社民の野党案は、いじめが起こりうることを前提に、学校や教育委員会などにいじめ対策の委員会を設けることを求めているのが特徴だ。

このような与野党の「いじめ対策法案」をどう評価すべきか。学校教育の現場に、新たな法律による規制を導入することで、どのような影響が出ることが予想されるのか。東京都大田区の前教育委員で、「ストップいじめプロジェクトチーム」のメンバーでもある櫻井光政弁護士に聞いた。

●「いじめが当事者間だけの問題でない」ことを明らかにする法案

「与野党から『いじめ対策法案』が提出されたことは、それ自体に大きな意味があります」

このように櫻井弁護士は、いじめ対策法案の国会提出を肯定的にとらえる。

「いじめ対策について、国や地方公共団体、学校の責務とし、保護者とともに取り組むべき課題であることを法律をもって明らかにしようとする姿勢は、いじめが当事者間だけの問題でないことを明確にしている点で評価できます」

与党と野党の法案には違いもあるが、その点についてはどう見ているのだろう。

「与党案は、各方面に体制の整備を呼びかけるもので、具体的な体制についてはあまり言及されていないので、どの機関が何を担うかはさらに詰めて行く必要があるでしょう。また、教育委員会の役割よりも、学校設置者や地方公共団体の役割が重視されているのも特徴です。

一方、野党案は、具体的な体制にまで言及しており、教育委員会も積極的な役割を果たす構造になっています。外部に対する情報公開を定めている点にも、積極性が現れています」

では、いじめ対策法が成立すると、学校はどのような影響を受けるのだろうか。

「いずれの案を採用するにせよ、学校はいじめ防止の基本方針を策定し、日常的にいじめの実態を把握する責任を負うことになります。これにより、これまでよりも積極的な対応が期待できます」

つまり、学校の責任がいままで以上に重くなるといえる。そのような変化に対応するために、「人材の確保と学校に対する支援」が必要だと、櫻井弁護士は指摘する。「つまり、学校任せにしないことが、一層重要になるでしょう」

いじめ対策は、個々の教師や生徒・児童だけの問題ではなく、社会全体でバックアップすべきものなのだ。櫻井弁護士が参加している「ストップいじめプロジェクト」も、そのような「支援」の動きの一つ。プロジェクトチームが運営する「ストップいじめ!ナビ」というサイトでは、いじめに悩んでいる生徒・児童や保護者に向けた様々な「脱出策」が紹介されている。いま悩みを抱えている人は、何かヒントをつかめるのではないだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

大津市のいじめ自殺事件などを受け、いじめ対策の法整備に向けた動きが進んでいる。今国会では、与野党それぞれの「いじめ対策法案」が審議されることになりそうだ。深刻化する子どものいじめに、法律はどう向き合うべきなのか、注目が集まっている。

自民・公明の与党案は、いじめをなくすことを目指し、加害者側の児童・生徒に対して懲戒や出席停止など具体的な措置をとりうることを明記している。一方、民主・生活・社民の野党案は、いじめが起こりうることを前提に、学校や教育委員会などにいじめ対策の委員会を設けることを求めているのが特徴だ。

このような与野党の「いじめ対策法案」をどう評価すべきか。学校教育の現場に、新たな法律による規制を導入することで、どのような影響が出ることが予想されるのか。東京都大田区の前教育委員で、「ストップいじめプロジェクトチーム」のメンバーでもある櫻井光政弁護士に聞いた。

●「いじめが当事者間だけの問題でない」ことを明らかにする法案

「与野党から『いじめ対策法案』が提出されたことは、それ自体に大きな意味があります」

このように櫻井弁護士は、いじめ対策法案の国会提出を肯定的にとらえる。

「いじめ対策について、国や地方公共団体、学校の責務とし、保護者とともに取り組むべき課題であることを法律をもって明らかにしようとする姿勢は、いじめが当事者間だけの問題でないことを明確にしている点で評価できます」

与党と野党の法案には違いもあるが、その点についてはどう見ているのだろう。

「与党案は、各方面に体制の整備を呼びかけるもので、具体的な体制についてはあまり言及されていないので、どの機関が何を担うかはさらに詰めて行く必要があるでしょう。また、教育委員会の役割よりも、学校設置者や地方公共団体の役割が重視されているのも特徴です。

一方、野党案は、具体的な体制にまで言及しており、教育委員会も積極的な役割を果たす構造になっています。外部に対する情報公開を定めている点にも、積極性が現れています」

では、いじめ対策法が成立すると、学校はどのような影響を受けるのだろうか。

「いずれの案を採用するにせよ、学校はいじめ防止の基本方針を策定し、日常的にいじめの実態を把握する責任を負うことになります。これにより、これまでよりも積極的な対応が期待できます」

つまり、学校の責任がいままで以上に重くなるといえる。そのような変化に対応するために、「人材の確保と学校に対する支援」が必要だと、櫻井弁護士は指摘する。「つまり、学校任せにしないことが、一層重要になるでしょう」

いじめ対策は、個々の教師や生徒・児童だけの問題ではなく、社会全体でバックアップすべきものなのだ。櫻井弁護士が参加している「ストップいじめプロジェクト」も、そのような「支援」の動きの一つ。プロジェクトチームが運営する「ストップいじめ!ナビ」というサイトでは、いじめに悩んでいる生徒・児童や保護者に向けた様々な「脱出策」が紹介されている。いま悩みを抱えている人は、何かヒントをつかめるのではないだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

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