17118.jpg
更年期障害で病欠したら「嫌がらせ」や「雇い止め」、働く人たちの実態が浮き彫りに
2022年05月26日 18時52分

ホルモンバランスの変化により、個人差はあるものの、ほてりや頭痛、めまいなどの症状があらわれることがある更年期。労働組合「総合サポートユニオン」がオンライン調査を実施したところ、仕事に支障をきたして、退職に追い込まれてしまう人がいることがわかった。

ホルモンバランスの変化により、個人差はあるものの、ほてりや頭痛、めまいなどの症状があらわれることがある更年期。労働組合「総合サポートユニオン」がオンライン調査を実施したところ、仕事に支障をきたして、退職に追い込まれてしまう人がいることがわかった。

●「他の更年期障害の人は辞めたよ」

ユニオンは2021年、更年期の労働問題に関して、2つのオンライン調査(ウェブアンケート方式)をおこなった。

1つ目の調査(期間:2021年4月30日から5月29日まで)では、更年期の症状のために、仕事で悩みを抱えたり、労働問題にあったりしたことがある人の割合が37%(285件の回答のうち106件)にのぼることが明らかになった。

また、更年期の症状を経験した人たちの中には、退職に追い込まれたり、嫌がらせを受けたりした人がいることがわかった。自由記述欄には、以下のようなエピソードが並んだ。

「病欠などを理由にやる気がないなどと難癖をつけられ数ヶ月に渡る厳しい退職推奨をうけ挙句に雇い止めにあった(原文ママ)」
「『他の更年期障害の人は辞めたよ(あんたも辞めればいいのに)』と同僚から言われた」
「上司から、症状があるようなら雇い入れなかったと言われた」

2つ目の調査(期間:2021年7月27日から30日まで)では、国や職場に対して、有給休暇や生理休暇を使いやすい職場環境の整備や、更年期症状のときに使える休暇制度の新設・拡充、休んでも解雇や嫌がらせを受けない支援を求める声もあがった。

●治療に励むも、雇い止めされた女性

総合サポートユニオンは5月26日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた。この中で、実際に「雇い止め」にあった50代女性が登壇して体験を語った。

女性は2018年6月、契約社員としてコールセンターで仕事をはじめた。これまで10回ほど契約を更新(3カ月ごと)してきたという。

ところが、50歳を迎える2020年8月ごろから生理過多、頭痛、めまいなどの症状に悩まされるようになった。起き上がれなかったり、気分が落ち込み、涙が止まらなくなったりした日もあったという。

これらの症状が原因で、女性は遅刻や欠勤をするようになり、病院で「更年期障害」と診断された。契約更新の面談では、婦人科に通院して、治療を続けていることを相談していた。

「面談では『次回の更新面談までには改善するように』と言われました。病院や治療法を変えるなど、積極的に治療に励みましたが、ホルモンバランスのことなので、完全にコントロールすることはできませんでした」(女性)

女性は2021年3月の更新面談で、会社側に「次回の契約更新をしない」と告げられ、翌月に雇い止めされた。現在、ユニオンを通じて雇い止めの撤回を求めて、団体交渉中だという。

●「安心して休める環境を」

ユニオンはこの日、更年期症状や生理中の体調不良で仕事を休んだ場合の不利益取り扱いを法律で禁止することなどを求め、厚生労働省(労働基準局、健康局、雇用環境・均等局)に要請書と2131筆の署名を提出した。

会見で体験を語った女性は、生理過多の症状があったときは「生理休暇」を取っていたという。労働基準法では「生理日の就業が著しく困難な女性」に対して、生理休暇の取得が認められているが、更年期障害について規定する法律はない。

女性は「正社員ではないと、職を失うことにもなりかねない。安心して休める環境が整ってくれるとありがたい」と語った。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る