17170.jpg
「自白を得る拷問」人質司法からの脱却を 弁護士と法学者1000人が声明
2019年04月11日 11時59分

日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告人の逮捕を受け、「冤罪弁護士」として知られる今村核弁護士が、4月10日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見した。ゴーン氏の逮捕により海外で高まった日本の「人質司法」への批判の声を「刑事司法改革につなげたい」と述べた。

また、人質司法の解消を訴える声明(「『人質司法』からの脱却を求める法律家の声明」)に、4月8日までに1010人の弁護士や法学者が賛同したことも明らかにした。声明では、日本の取り調べや身体拘束が「自白を得る拷問のようだ」として、司法制度の改善を求めている。

日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告人の逮捕を受け、「冤罪弁護士」として知られる今村核弁護士が、4月10日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見した。ゴーン氏の逮捕により海外で高まった日本の「人質司法」への批判の声を「刑事司法改革につなげたい」と述べた。

また、人質司法の解消を訴える声明(「『人質司法』からの脱却を求める法律家の声明」)に、4月8日までに1010人の弁護士や法学者が賛同したことも明らかにした。声明では、日本の取り調べや身体拘束が「自白を得る拷問のようだ」として、司法制度の改善を求めている。

●裁判官と検事「一体の伝統は続いている」

出席した記者からは、裁判所が勾留を認めやすいことや、自白調書を採用しがちな傾向について質問が出た。

今村弁護士は、戦前の司法省が裁判官と検察官両方の人事評価をしていたことや、戦後も検察官が裁判官室に出入りして裁判記録を借りるような慣行を紹介した上で、「法廷では弁護士だけが客のような扱いを受けている。判検(裁判官と検察官)一体の伝統は続いていると言わざるをえない」とした。

また「ある検察幹部は『記事は書かせるものだ』と言っていた。マスコミを広報誌にしようとしており、メディアの責任も重い」と指摘した。

●声明「否認していると年単位で拘束される」

声明は、ゴーン被告人の逮捕や勾留を巡り海外から日本の刑事司法への批判が高まる中で、今村弁護士が呼びかけ人となって集めた。

「人質司法」を(1)自白が得られるまで続く身体拘束や、(2)弁護人の立会いが認められない取り調べ(3)虚偽自白を含む自白の強制ーーなどの総称として定義している。

日本では取り調べの受忍義務があるとされる上、起訴前の保釈制度がない点を指摘をし、「長期間の拘束と取り調べで虚偽自白に陥る被疑者は少なくない。虚偽の自白調書で有罪判決を受けることがある」。また、起訴後に否認していると保釈されにくいとも指摘した。

人質司法の具体例として、郵便料金を巡る虚偽公文書作成などの疑いで起訴された元厚生労働省官僚の村木厚子氏の事件や公選法違反を巡る鹿児島・志布志事件を紹介。

「執行猶予付き判決や罰金刑が見込まれる事件」でも、村木氏は166日間、志布志事件では最大395日の身体拘束があった点を紹介し、「否認していると判決前に年単位で身体拘束される」と問題視している。

実際の取り調べや身体拘束については「自白を得る拷問のように扱われている。公正な裁判を受ける権利が保証されえているとは言い難い」とし、日本の刑事司法のあり方が、憲法や国際人権規約に違反している可能性を指摘した上で、「人質司法」からの脱却を訴える。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る