17502.jpg
「アメリカは番長で、日本は下っ端ヤンキー」弁護士が懸念する「金属バット」のリスク
2015年09月11日 17時50分

集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「安保法制」について考えるイベント「アンポホウセイってなに?」が9月10日、東京都内で開かれた。学生グループ「Conect(コネクト)」が主催したもので、政治学者の山口二郎・法政大学教授と倉持麟太郎弁護士が登壇し、ジャーナリストの堀潤さんが司会進行を担当した。学生のほか、社会人など幅広い世代の市民100人以上が参加した。

このなかで、山口教授は、集団的自衛権について「憲法9条の枠組みからはみ出ている」と説明。集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定については、「『立憲主義』の思想を否定するものだったといわざるをえない」と語った。さらにイギリスの作家、ジョージ・オーウェルの古典的小説『1984年』をあげて、安倍政権の姿勢を批判した。

集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「安保法制」について考えるイベント「アンポホウセイってなに?」が9月10日、東京都内で開かれた。学生グループ「Conect(コネクト)」が主催したもので、政治学者の山口二郎・法政大学教授と倉持麟太郎弁護士が登壇し、ジャーナリストの堀潤さんが司会進行を担当した。学生のほか、社会人など幅広い世代の市民100人以上が参加した。

このなかで、山口教授は、集団的自衛権について「憲法9条の枠組みからはみ出ている」と説明。集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定については、「『立憲主義』の思想を否定するものだったといわざるをえない」と語った。さらにイギリスの作家、ジョージ・オーウェルの古典的小説『1984年』をあげて、安倍政権の姿勢を批判した。

●オーウェルが指摘した「危険性」とは?

1949年に出版されたジョージ・オーウェルの『1984年』は、近未来の全体主義国家の恐怖を描いたストーリーだ。山口さんは、その中に登場する支配政党の「War is Peace(戦争は平和である)」「Freedom is Slavery(自由は隷属である)」「Ignorance is Strength(無知は力である)」という3つのスローガンを取り上げた。

「これらは、明らかに矛盾しているが、刷り込まれていく。そして、言葉が意味を失って、みんなが矛盾を矛盾と思わなくなる。漠然とした言葉がいつの間にか、真逆の意味で使われるようになる。その危険性をオーウェルは指摘していた」

このように述べたうえで、山口さんは、政府が集団的自衛権の行使を認める安保法制を「平和安全法制」というネーミングにしたことについて、「名前の付け方からしておかしい。まさにオーウェルの具体化だ」と話した。さらに、安倍首相が強調する「積極的平和主義」に触れて、「アメリカ軍の手伝いをして、自衛隊の活動を広げることがなぜ平和主義なのか。もっと掘り下げて考えていかないといけない」と語った。

●「コンプレックスがある奴は、金属バットを持っていっちゃう」

今回の安保法案で大きな問題となっている集団的自衛権とは、密接な関係にある国が攻撃されたとき、一緒に反撃に加わることができる権利のことだ。倉持弁護士は「本当は集団的自衛権というよりも、集団的他衛権と表現したほうがわかりやすい」と言いながら、「アメリカは番長で、日本は下っ端のヤンキーみたいな関係だ」と、ユニークなたとえを口にした。

「下っ端のヤンキーが(番長から)『お前、●●中学に行って、気合いを見せてこいよ』と言われたとする。そのとき、コンプレックスがあるような奴は、金属バットを持っていっちゃう。湾岸戦争のときに感謝されなかったため、日本は『アメリカはここまでやってほしいと思っている』と読み違えている」

倉持弁護士はさらに、「仮に、アメリカがシリアに派兵した場合、日本にも来てほしいと思っているかもしれない。だけど、本当にどこまで『やってほしいと思っているか』は、議論しないといけない」と、集団的自衛権の範囲が拡大する恐れを指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る