232.jpg
インスタの「アカウント名」で誹謗中傷、「投稿ゼロ」でも削除命じるレア決定 東京地裁
2020年08月24日 10時06分

ネットの誹謗中傷が関心を集めているが、問題になるのは、何もSNSや掲示板の「書き込み」だけではない。このほど、東京地裁で珍しい決定があったので紹介したい。

問題となったのはインスタグラム(Instagram)の複数アカウント。投稿自体はゼロだったという。では、なにがマズかったのかというと、名前欄やユーザーネーム(URL)に人の名前や卑猥な言葉を使っていたということだ。

インスタグラムでは「名前」と「ユーザーネーム(URL)」を別に設定できる

ネットの誹謗中傷が関心を集めているが、問題になるのは、何もSNSや掲示板の「書き込み」だけではない。このほど、東京地裁で珍しい決定があったので紹介したい。

問題となったのはインスタグラム(Instagram)の複数アカウント。投稿自体はゼロだったという。では、なにがマズかったのかというと、名前欄やユーザーネーム(URL)に人の名前や卑猥な言葉を使っていたということだ。

インスタグラムでは「名前」と「ユーザーネーム(URL)」を別に設定できる

●「なりすましアカウント」からフォローされる

被害者は会社員で、ある日、フォロワーの中に自分の名前の一部と卑猥な言葉を組み合わせたアカウントを見つけた。

調べてみると、このほかにも名前が同姓同名で、ユーザーネーム(URL)が卑猥な言葉を並べたアカウントなどもあることが分かった。こうした事実は、次第に友人や同僚らにも知られることになったという。

名前が一緒というだけなら、赤の他人ということも考えられなくはない。しかし、このケースでは、問題のアカウントが被害者をフォローしたり、プロフィール画像に被害者の写真ではないものの、被害者を想起させるものを使ったりするなどの事情が存在した。

今回、こうした一種の「なりすまし」行為が、名誉を毀損するものと判断され、インスタグラム側にアカウント作成者の発信者情報(IPアドレスなど)の開示や残存するアカウントを削除するよう命じる仮処分決定が出た(7月21日付)。当該アカウントはすでに削除されている。

被害者の代理人を務めた中山泰章弁護士は、「仮処分ではあるが、投稿がなくても、アカウントの作成それ自体が名誉毀損になりうると認められたことは大きい」と話している。

SNSでは、ユーザー名やアカウント名に著名人の名前などを入れて、なんらかの主張をしているユーザーもいる。名前の設定にも注意を払った方が良さそうだ。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る