2348.jpg
NHKと契約結ばないなら「割増金」、改正案に「まるで罰金じゃないか」と批判の声
2021年03月01日 18時46分

正当な理由なく、NHKとの契約を結ばない世帯に対し、割増金を課すーー。政府が2月26日に閣議決定した放送法改正案に対しては、「いずれネット利用者も契約すべしって世の中が待ってるぞ」など、批判的な声も目立つ。

背景には、ワンセグ付き携帯やチューナー付きカーナビなど、放送の受信が主目的ではない機器にもNHKとの契約義務があるとした判決が続いたことがあるとみられる。

さらに、2020年からNHK番組のネット同時配信が始まったことから、契約対象の拡大に危機感を覚えたネットユーザーが多いようだ。

実際には民事上の措置で、刑罰や行政罰ではないが、「まるで罰金」との声もある。

正当な理由なく、NHKとの契約を結ばない世帯に対し、割増金を課すーー。政府が2月26日に閣議決定した放送法改正案に対しては、「いずれネット利用者も契約すべしって世の中が待ってるぞ」など、批判的な声も目立つ。

背景には、ワンセグ付き携帯やチューナー付きカーナビなど、放送の受信が主目的ではない機器にもNHKとの契約義務があるとした判決が続いたことがあるとみられる。

さらに、2020年からNHK番組のネット同時配信が始まったことから、契約対象の拡大に危機感を覚えたネットユーザーが多いようだ。

実際には民事上の措置で、刑罰や行政罰ではないが、「まるで罰金」との声もある。

●ワンセグやカーナビからも割増金?

割増金をめぐっては、総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会」で議論されてきた。

契約拒否に対する罰則がないことが、「公平負担」を妨げる一因という見方がある一方、放送事業者などから懸念も示されていた。

以下、同分科会のとりまとめ案に寄せられたパブリックコメントを紹介する。

日本民間放送連盟は、ワンセグ携帯やカーナビなどを念頭に置いたとみられるコメントを残している。

「テレビ視聴を主目的としない機器のみの所有を理由として割増金を課すことは、一般的な社会通念から乖離し、国民・視聴者の理解を得られない

また、日本新聞協会メディア開発委員会も「割増金の運用は抑制的であるべきだ」と主張する。

「刑事罰・行政罰と異なる民事上の措置であることは理解するが、国民・視聴者からある種の『罰金』と捉えられかねない危うさがある。導 入するのであれば、NHKの在り方と受信料制度に踏み込んだ抜本的な三位一体改革の道筋を示し、国民・視聴者から理解を得ることが前提である」

実際、パブコメの概要をまとめた資料の中では、「罰金は設けるべきではない」との意見が紹介されており、分科会が刑事罰・行政罰ではないとの説明を加えている。

パブコメに対する「〜分科会の考え方」資料より (https://www.soumu.go.jp/main_content/000728486.pdf)。

●参考になるNHKの督促・裁判件数

NHKの受信規約では、現状でも受信契約を結んでいる世帯に対しては、一定の要件を満たしたときに、受信料の2倍に相当する割増金を課せる(規約12条)。これに対し、改正案は契約を結んでいない世帯も対象になる。

ただし、現行規約が適用された事例はゼロだという。そうした意味で、新しい割増金案は、現行規約でいうと支払い延滞者に対する「延滞利息」(同12条の2)のイメージに近いかもしれない。

NHKによると、延滞利息については繰り返し説明をしても、受信料を払ってもらえず、裁判所を介した支払督促や訴訟になったときに請求するという。

訴訟などを含め、NHKが督促を申し立てた件数は約15年間で1万件超。ただし、2020年4月〜21年3月までは、コロナ禍を考慮して延滞利息は発生しないそうだ。

いっぽう、今回対象となる未契約者に対する裁判は450件ほど。

●視聴者の納得

放送法64条は、テレビなどの持ち主に対して、契約の義務を定めているものの、支払い義務にまでは言及していない(規約には明記されている)。

それゆえに、NHKには視聴者の納得を丁寧に取ることが求められているとされる。たとえば、2004年に発覚した不正支出問題では、100万件を超える支払い拒否が生まれた。

割増金制度が、どのような仕組みになり、どこまで抑制的に運用されるのか。今後、慎重な審議が求められそうだ。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る