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大阪ユニバ裏の「ドリフト族」逮捕…公道で「合法のドリフト」なんてあり得る?
2017年09月17日 09時06分

市道を改造車で暴走したとして9月4日、大阪府警此花署などは京都府の男性ら3人を逮捕、男子大学生1人を書類送検した。容疑は、道路交通法違反(共同危険行為)など。

報道によると4人はインターネットなどで知り合った「ドリフト仲間」。3月5日午前3時ごろ、愛好家の間で「ユニバ裏」と呼ばれる、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)近くの工場地帯で、ドリフト走行などの集団暴走をした疑いが持たれている。

高い運転テクニックが必要なドリフト走行は、マンガやゲームなどで描かれ、憧れる人も多い。車線のはみ出しや事故を起こしていなくても、公道でやると犯罪になってしまうのだろうか。平岡将人弁護士に聞いた。

市道を改造車で暴走したとして9月4日、大阪府警此花署などは京都府の男性ら3人を逮捕、男子大学生1人を書類送検した。容疑は、道路交通法違反(共同危険行為)など。

報道によると4人はインターネットなどで知り合った「ドリフト仲間」。3月5日午前3時ごろ、愛好家の間で「ユニバ裏」と呼ばれる、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)近くの工場地帯で、ドリフト走行などの集団暴走をした疑いが持たれている。

高い運転テクニックが必要なドリフト走行は、マンガやゲームなどで描かれ、憧れる人も多い。車線のはみ出しや事故を起こしていなくても、公道でやると犯罪になってしまうのだろうか。平岡将人弁護士に聞いた。

●ドリフトで引っかかりそうな規定多すぎ…

ーー今回の逮捕容疑とドリフトはどう関係している?

道路交通法68条は、複数台の自動車や原付自転車が、共同して、著しく交通の危険や他人に迷惑を及ぼす道路上の行為を禁止しています(2年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

本件では、複数台でドリフト走行をしていたということですので、共同危険行為として逮捕されています。

この規定は、暴走族規制のために作られたのですが、主体は暴走族に限定しておりませんので、誰にでも適用されます。もっとも警察の分類上、いわゆるドリフト族やローリング族は「違法競争型暴走族」とされていますので、暴走族の一類型とはいえます(一般的なイメージの暴走族を「共同危険型暴走族」といいます)。

なお、暴走族規制の法令としては、道路交通法のほか、暴走族追放条例があります。これは道路交通法では明示的に処罰対象となっていない、ギャラリーとなって違法行為を助長する「あおり行為」や、暴走族への勧誘行為、脱退への妨害行為も禁止している点に意味があります。つまり、集団でドリフトが行われた場合、ギャラリーが条例違反になる可能性があります。

ーー集団がダメなら、一人でドリフトする分には構わない?

そういうわけではありません。確かに、一人でドリフト走行をした場合、複数ではありませんから、共同危険行為とはなりません。しかし、道路交通法には公道の安全確保のためにさまざまな規制がありますから、そのいずれかの違反となります。

たとえば、速度規制違反(道路交通法22条)、急ブレーキ禁止違反(同24条)がまず考えられます。

さらに、ドリフト走行は車体を滑らせるため中央線を越えることが多いようですから、この場合は中央より左側を走行すべき義務(道路交通法17条4項、18条)に違反することになります(3月以下の懲役又は5万円以下の罰金)。

また、ドリフトをしやすくするために、改造をすることが多いようですが、この改造が車両保安基準に合致しない不正改造である場合にも罰則があります(道路運送車両法99条の2。6月以下の懲役又は30万円以下の罰金)。たとえば、排気量を上げるためのマフラーの改造、滑り易くするためにタイヤの角度を変え、車体からはみ出させる改造などは、不正改造となる可能性があります。

●公道で「合法のドリフト」はあり得るか?

ーーもしも、これらをすべて守った「完璧なドリフト」だったとしたら?

これら個別の罰則に該当しなければ違法でないかというと、そういうわけではありません。

道路交通法70条は運転者の基本的義務として、車両のハンドルやブレーキを確実に操作し、道路状況に応じて他人に危害を加えないような速度と方法で運転することを求めています。この義務に故意に違反した場合、3月以下の懲役刑又は5万円以下の罰金刑となります。

この70条違反は、処罰される範囲が明確ではないため、安易に適用すべきではないと考えられています。たとえば、蕎麦屋の出前でのバイクの片手運転が問題となったケースがありましたが、70条違反とならないという裁判例が過去にあります。

ただ、このケースと違って、ドリフト技術は車両がカーブを曲がるために必要不可欠の技術ではないうえ、車体を滑らせることで、制御不能にする可能性を高める運転方法であり、確実なハンドル・ブレーキ操作とは言い難いでしょう。

そして、公道であれば、どんな道路の状況(たとえば深夜の山中の峠道や工場地帯)であれ、歩行者や他の車両が存在する可能性があるわけですから、ドリフト走行は、他人に危害を加える方法での運転だと考えられます。

そうすると、不正改造をせず、騒音も出さず、速度を順守し、車線中央からはみ出ない一人のドリフト走行であったとしても、道路交通法に違反していると考えるべきです。

確かに、ドリフト技術は、カッコよく、ロマンがあるのかもしれませんが、その技術を磨きたければサーキットなど公道の安全を害さない場所でやるべきではないかと考えます。

(弁護士ドットコムニュース)

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