3180.jpg
交通事故の加害者が未成年、親もまさかの収入ゼロ…車貸した人に賠償金払ってもらえる?
2020年12月06日 10時22分

未成年が運転する車に追突された——。交通事故の加害者の「支払い能力」に不安を感じている被害者から、弁護士ドットコムに相談が寄せられた。

相談者は、車の修理代のほか、車が使えない間に借りるレンタカー代金やケガの治療費、会社を休んだために生じた休業損害などの賠償を請求したいと考えている。ところが、加害者は未成年。しかも、親は無職で収入がないという。

加害者が乗っていた車は友人(未成年)から借りたものだということなので、相談者としては、車を貸した友人やその両親に賠償してもらえないかを検討しているようだ。

交通事故に遭った場合、誰に対してどのような請求ができるのだろうか。交通事故事件に詳しい和氣良浩弁護士に聞いた。

未成年が運転する車に追突された——。交通事故の加害者の「支払い能力」に不安を感じている被害者から、弁護士ドットコムに相談が寄せられた。

相談者は、車の修理代のほか、車が使えない間に借りるレンタカー代金やケガの治療費、会社を休んだために生じた休業損害などの賠償を請求したいと考えている。ところが、加害者は未成年。しかも、親は無職で収入がないという。

加害者が乗っていた車は友人(未成年)から借りたものだということなので、相談者としては、車を貸した友人やその両親に賠償してもらえないかを検討しているようだ。

交通事故に遭った場合、誰に対してどのような請求ができるのだろうか。交通事故事件に詳しい和氣良浩弁護士に聞いた。

● 請求できる「損害」の範囲はどこまで?

——交通事故に遭った場合、休業損害なども請求できるのでしょうか。

基本的には、交通事故と因果関係があるといえる損害については、すべて賠償請求の対象となります。

損害は、大きく「人身損害」と「物的損害」に分けることができます。

人身損害としては、治療費、通院交通費、休業損害、死亡や後遺症による逸失利益(事故がなければ得られたはずの利益)、慰謝料などが挙げられます。

物的損害としては、車の修理費、車両の時価額、代車の使用料などが挙げられます。必要かつ相当な範囲ということにはなりますが、交通事故と因果関係の認められる損害については、賠償を受ける対象となります。

● 事故の加害者ではなく、車の所有者にも請求できることがある

——加害者以外への賠償請求は可能なのでしょうか。

自動車(原動機付自転車を含む)による交通事故には、特別法である自動車損害賠償保障法(自賠責法)が適用されます。

この場合、「運行供用者」も運転者と同様に賠償責任を負います(自賠法3条)。「運行供用者」というのは、加害自動車の運行をコントロールできる立場にあったり、その運行により利益を受けている者をいいます。

自動車の所有者は、一般的にこの運行供用者にあたります。したがって、今回の加害車両の所有者が友人か、その両親である場合は、損害賠償を請求できます。

● 車の所有者もお金を持ってない場合、誰に請求すればいい?

——加害者に車を貸した友人も未成年のようです。

未成年となれば、支払い能力がないケースも想定されます。こうした場合、できればその両親に請求したいということになると思います。

この運行供用者は、実質的に運行を支配しているか、運行により利益を上げているかという観点で判断されるので、所有者でなくても、運行供用者として認定される場合があります。

たとえば、過去の裁判例をみると、未成年者が両親と同居して、両親に扶養されていたことなどを理由に、両親に運行供用者責任を認めた事例が多数存在します。

したがって、未成年者が所有者である場合は、両親に損害賠償を請求できることが少なくないといえるでしょう。

ただし、この運行供用者責任の追及で賠償請求できる「損害」の範囲について、注意が必要です。物的損害は除かれ、人身損害のみに限定されています。物的損害については、原則通り、運転者本人にしか請求できないことに注意が必要です。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る