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上司の告白、断ってもハート沢山のメール、仕事に干渉…セクハラで訴えることは可能?
2017年11月12日 10時14分

職場で恋愛感情が芽生えることは珍しくありませんが、上司と部下という間柄だったり、一方に好意がなかったりした場合には、好意を示された側は非常に難しい判断をすることになります。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、上司から告白された女性から相談が寄せられていました。女性は恋人がいることを伝え、はっきりと2度にわたり断ったところ、面倒な事態になったといいます。

断った後も「会社携帯でハート沢山の好きだというメールを送ってくる、仕事に干渉され業務負担が増える」などの行為に悩まされるようになったそうです。精神的な負担から体調を崩し、会社側に相談をしたところ、チームを離してもらうことになりました。しかし、問題の上司は「自分は悪くなかったかのように周りに話し、セクハラとも思っていません。逆に威圧的な態度」をするようになったため、女性は悩んでいます。

さらに「会社側より今回の事を他の人に話すと上司の名誉棄損になることもあるため、誰にも上司からのメールを見せたり話さないようにと言われています」。そのため、誰かに相談することもできずにいます。そこで「加害者がまわりの社員に、私の評価を悪く話すなど、本当に反省していない場合、セクハラで訴えることは可能でしょうか」と聞いている。このような場合、セクハラで訴えることはできるのか。森田梨沙弁護士に聞いた。

職場で恋愛感情が芽生えることは珍しくありませんが、上司と部下という間柄だったり、一方に好意がなかったりした場合には、好意を示された側は非常に難しい判断をすることになります。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、上司から告白された女性から相談が寄せられていました。女性は恋人がいることを伝え、はっきりと2度にわたり断ったところ、面倒な事態になったといいます。

断った後も「会社携帯でハート沢山の好きだというメールを送ってくる、仕事に干渉され業務負担が増える」などの行為に悩まされるようになったそうです。精神的な負担から体調を崩し、会社側に相談をしたところ、チームを離してもらうことになりました。しかし、問題の上司は「自分は悪くなかったかのように周りに話し、セクハラとも思っていません。逆に威圧的な態度」をするようになったため、女性は悩んでいます。

さらに「会社側より今回の事を他の人に話すと上司の名誉棄損になることもあるため、誰にも上司からのメールを見せたり話さないようにと言われています」。そのため、誰かに相談することもできずにいます。そこで「加害者がまわりの社員に、私の評価を悪く話すなど、本当に反省していない場合、セクハラで訴えることは可能でしょうか」と聞いている。このような場合、セクハラで訴えることはできるのか。森田梨沙弁護士に聞いた。

●部下への好意が「セクハラ」になる条件

「セクハラとは、一般的には、相手の意に反する性的言動のことを言います。職場で上司が部下に対して恋愛感情を抱き、告白したからといって、それだけでセクハラに該当するわけではありません。

しかし、部下の女性が2度もはっきりと拒絶の意思を表示したにもかかわらず、『会社携帯でハート沢山の好きだというメールを送ってくる』『仕事に干渉し業務負担を増やす』などの行為は、相手の意に反する性的言動だといえ、この上司の行動は、セクハラに該当すると言えます」

相談を寄せた女性は、悪評を流すなどの被害にも悩まされているようだ。

「会社が女性部下からの相談に応じて、チームを離すなどの対応を行ったにもかかわらず、問題の上司は、その後も周りの社員に、『単に好意を持っただけなのに大げさに取られた』などと言ったり、女性部下の評価を悪く話したりしており、行為後の言動も悪質と言えます。

そこで、男性上司の行為はセクハラとして違法性を有し、損害賠償請求も可能ではないかと思われます」

●会社には「適切な措置を講じる義務がある」

その場合、会社に対しても、上司の処分を求めることができるのか。

「会社は、職場において行われるセクハラ行為について、被害者からの相談に応じ、適切に対応するために、必要な措置を講じる義務を負っています(男女雇用機会均等法第11条)。

会社は、この措置義務の一環として、被害者から相談があった場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認し、その結果セクハラの事実が確認出来た時は、懲戒処分などの措置を適正に行う必要があります。ただし、会社が従業員に対して懲戒処分を科す場合には、就業規則に懲戒事由が規定されていること、処分が相当であること、などの要件をみたす必要があります」

会社が対応してくれない場合には、どうすればいいのか。

「前述したように、会社は被害者の相談に応じ適切に対応する義務を負っています。しかし残念ながら、しっかりと対応して貰えないという場合は、第三者に相談するしかありません。相談する機関としては、弁護士や各都道府県に設置されている労働局雇用環境・均等部(室)等があります。

なお、会社が適切な対応をとらなかったことについては、加害者に対する損害賠償請求と同時に、会社に対しても、使用者責任(民法715条)や安全配慮義務違反(民法415条)だとして損害賠償請求できる場合もあります」

(弁護士ドットコムニュース)

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