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夫の不倫相手が「自己破産」、泣き寝入りするしかない? 「逃げ得」を許せない妻が直面する壁
2025年10月12日 09時19分
#不倫 #サレ妻 #慰謝料 #自己破産

配偶者の不倫相手が「自己破産」を理由に、慰謝料の支払いを拒否してきた──。

怒りと悲しみに暮れる女性が、「泣き寝入りするしかないのでしょうか」と弁護士ドットコムに相談を寄せています。

相談によると、夫は不倫を認めています。女性は不倫相手に慰謝料を請求しましたが、相手方の弁護士から「自己破産する」との連絡があり、慰謝料を回収できなくなったといいます。しかも、不倫相手からは一切の謝罪もありません。

女性は「不倫相手との問題が片付いてから離婚の話を進めたい」と考えていますが、相手方が自己破産した場合、慰謝料請求は不可能になってしまうのでしょうか。

また、「せめて謝罪文だけでも」と願う気持ちは、法的に報われるのでしょうか。男女問題にくわしい木下貴子弁護士に聞きました。

配偶者の不倫相手が「自己破産」を理由に、慰謝料の支払いを拒否してきた──。

怒りと悲しみに暮れる女性が、「泣き寝入りするしかないのでしょうか」と弁護士ドットコムに相談を寄せています。

相談によると、夫は不倫を認めています。女性は不倫相手に慰謝料を請求しましたが、相手方の弁護士から「自己破産する」との連絡があり、慰謝料を回収できなくなったといいます。しかも、不倫相手からは一切の謝罪もありません。

女性は「不倫相手との問題が片付いてから離婚の話を進めたい」と考えていますが、相手方が自己破産した場合、慰謝料請求は不可能になってしまうのでしょうか。

また、「せめて謝罪文だけでも」と願う気持ちは、法的に報われるのでしょうか。男女問題にくわしい木下貴子弁護士に聞きました。

●「悪意」による破産とみなされるか?

──配偶者の不倫相手が自己破産した場合、慰謝料請求権は法的にどのように扱われるのでしょうか。

不倫(不貞行為)による慰謝料請求権は、法的には「不法行為による損害賠償請求権」にあたります。債務者が自己破産して免責が確定すれば、原則として債務の支払い義務は免れます。

ただし、破産法では「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責の対象外(非免責債権)とされています。そのため、不倫による慰謝料請求権がこの「悪意」にあたるかどうかが問題になります。

ここでいう「悪意」とは、単なる故意ではなく「他人を害する積極的な意欲」を指します。

不倫の場合、配偶者である妻を積極的に害する意欲(悪意)があったとまでは認められにくく、一般的には「悪意」に該当しないと考えられます。したがって、通常は免責され、慰謝料の支払いを免れることになるでしょう。

●慰謝料の代わりに「謝罪文」はもらえる?

──慰謝料の回収が難しくなった場合、せめて謝罪文を求めることはできますか。

不倫の相手方に謝罪文を求めること自体は、違法な行為ではありません。相手方の代理人を通じて申し入れることも可能です。

しかし、相手に「謝罪文を書く法的義務」はありません。破産によって慰謝料の回収が難しくなった時点では、誠実な対応を期待するのは現実的に難しいことが多いでしょう。

一方で、示談交渉の段階で「慰謝料の支払いを免除する代わりに謝罪文を提出する」という合意(和解)を結ぶケースはあります。真摯に反省している場合には、そのような形で解決を図ることもあります。

●不倫相手の代わりに夫へ慰謝料を請求できる?

──不倫相手からの慰謝料を回収できなくなった場合、夫への請求や離婚交渉には影響しますか。

不倫相手が破産して慰謝料を支払えなくなったとしても、法的には夫への請求や離婚交渉に直接の影響はありません。夫に対しても、不貞行為に基づく慰謝料を請求できます。

ただし、不貞行為の慰謝料は「共同不法行為」による損害賠償であり、夫と不倫相手の双方が連帯して支払う責任を負います。

たとえば、300万円が相当な慰謝料とされた場合、妻は、夫と不貞相手に対して合わせて300万円を請求できるのであって、それぞれに300万円ずつ(合計600万円)を請求できるわけではありません。

ただし、不貞相手から回収が見込めず、夫にも十分な資産がない場合、慰謝料や財産分与の原資が限られるため、離婚交渉が難航する可能性はあるでしょう。

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