4623.jpg
突然別れを切り出され同棲解消…彼女のお願い「引っ越し代くらい払って」は可能?
2018年06月30日 09時46分

同棲を解消して出て行くことになった場合、元同棲相手に引っ越し費用を請求することはできるのでしょうか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、このような質問が複数寄せられています。

相談者のAさんは、結婚を前提に2年以上同棲していた彼から「性格の不一致」が理由で別れを切り出されました。部屋は彼の名義なので、Aさんが出て行かなければなりません。彼には「お金を出す気はない」と言われましたが、Aさんは「彼の都合で別れを告げられたのに」と納得していないようです。

また別の相談者であるBさんは、彼の都合により同棲半年で家を出ることになりました。過去には、解消を申し出た側が相手の引っ越し費用を全て負担するという口約束をしていましたが、彼は「そんな話したっけ? 金が欲しいの?」ととぼけているそうです。

今回の相談者の2人はいずれも、突然同棲を解消することになり、引っ越し費用をどうしようか困り果てているようです。相手の理由で同棲解消することになった場合、支払ってもらうことは可能なのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。

同棲を解消して出て行くことになった場合、元同棲相手に引っ越し費用を請求することはできるのでしょうか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、このような質問が複数寄せられています。

相談者のAさんは、結婚を前提に2年以上同棲していた彼から「性格の不一致」が理由で別れを切り出されました。部屋は彼の名義なので、Aさんが出て行かなければなりません。彼には「お金を出す気はない」と言われましたが、Aさんは「彼の都合で別れを告げられたのに」と納得していないようです。

また別の相談者であるBさんは、彼の都合により同棲半年で家を出ることになりました。過去には、解消を申し出た側が相手の引っ越し費用を全て負担するという口約束をしていましたが、彼は「そんな話したっけ? 金が欲しいの?」ととぼけているそうです。

今回の相談者の2人はいずれも、突然同棲を解消することになり、引っ越し費用をどうしようか困り果てているようです。相手の理由で同棲解消することになった場合、支払ってもらうことは可能なのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。

●費用請求は難しい

同棲解消において、相手方に引っ越し費用を請求することができるケースはあるのでしょうか。

「結論としては、相手方の家で結婚を前提に同居している場合であっても、相手方との間で婚約が成立しているとまでは言えない場合には、同棲解消時の引越費用を相手方に請求するのは難しいでしょう」

現実には費用請求は難しいのですね。なぜでしょうか。

「相手方に対して、引越費用を請求するだけの法律上や契約上の根拠がないからです」

Bさんは同棲解消時の引っ越し費用について、口約束をしていたとのことでした。こうした場合、費用負担はどうなるのでしょうか。

「相手方が過去に引越費用は全て負担すると口約束していたということであれば、相手方との間では引越費用について『書面によらない贈与契約』が成立していると言え、相手方に対して引越し費用の請求をすることが出来そうです。

しかし、書面によらない贈与契約は、原則として、贈与する側からいつでも撤回することができます。相手方から『やっぱり引っ越し代を出すのはやめた』と言われてしまうと、相手方に対してそれ以上請求することは出来ません」

●追い出すことはできる?

もし別れたのに、同居人が出ていかない場合、強制的に追い出すことはできるのでしょうか。

「相手方には、自分が所有している物件あるいは賃借している物件について、排他的に使用する権利があり、誰を住まわせるかについても独断で決定する権限があります。ただし、賃貸物件の場合には、賃貸人との間の賃貸借契約上、同居人について何らかの制約がある場合がほとんどだと思います。

そのため、同棲相手との間で、物件の使用について何も契約が存在しない場合には、相手方としては、同棲解消を理由に、所有権あるいは賃借権に基づき、同棲相手を物件から強制的に追い出すことは可能です。

ただし、司法手続きによらずに自らの力で権利回復を図る『自力救済』は禁止されています。相手方としては、力づくで同棲相手を追い出すことは出来ません。物件から出て行かない同棲相手を追い出すためには、同棲相手に対して建物明渡しの裁判を起こして、最終的には強制執行手続を経る必要があります」

裁判を起こすとなると、とても大掛かりになってきますね。

「はい。裁判をして強制執行が完了するまでには半年くらい時間がかかることもありますし、裁判や強制執行を依頼する際の弁護士費用や執行業者に対する執行費用のほうが引越代金よりも高くついてしまう可能性もあります。

そのため、相手方としては、同棲相手に対して引越し費用を負担してあげたうえで、早期に物件から退去してもらう、というのが現実的な解決方法かと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る