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<平和宣言>なぜ広島市長は「安保法案」に言及しないのか?「疑心暗鬼を絶ちたい」
2015年07月23日 16時40分

広島と長崎への原爆投下から70年目という節目を迎える今夏。8月6日の「広島原爆の日」にどんな「平和宣言」を出すのかで、注目を集めている松井一實・広島市長が7月23日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見した。

平和宣言が注目を集めるのは、単に70年目という節目の年であるだけでなく、いま国会で集団的自衛権の行使を可能とする「安保法案」の審議が進んでいる、という背景もある。

長崎市の田上富久市長は、8月9日の「長崎原爆の日」の平和宣言の中で、安保法案の慎重な審議を求める姿勢を明らかにしている。一方、広島市の松井市長は、平和宣言で安保法案に言及しない考えだとみられている。

この日の会見でも松井市長は、記者からの質問に対し「安保法案に言及しない」という考え方は変わっていないとして、その理由について次のように話した。

広島と長崎への原爆投下から70年目という節目を迎える今夏。8月6日の「広島原爆の日」にどんな「平和宣言」を出すのかで、注目を集めている松井一實・広島市長が7月23日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見した。

平和宣言が注目を集めるのは、単に70年目という節目の年であるだけでなく、いま国会で集団的自衛権の行使を可能とする「安保法案」の審議が進んでいる、という背景もある。

長崎市の田上富久市長は、8月9日の「長崎原爆の日」の平和宣言の中で、安保法案の慎重な審議を求める姿勢を明らかにしている。一方、広島市の松井市長は、平和宣言で安保法案に言及しない考えだとみられている。

この日の会見でも松井市長は、記者からの質問に対し「安保法案に言及しない」という考え方は変わっていないとして、その理由について次のように話した。

●「根源に触れるようなことをしっかり言う」

平和宣言は、世界の方々に向けて、自分の思いをまとめて出すものなので、個々の、国の問題について言及するのではなくて、もっと根源に触れるようなことをしっかり言う。

そういうものにしたいから、あえて安保法制、個別のものには言及しないようにしますと、お答えしています。

まず、そのことを踏まえていただきたい。

●「疑心暗鬼の議論を絶ちたい」

そして、なぜいま、日本国で安保法制が問題になっているかと申しますと、現実の政治として、世界各国、日本も含めて、ある意味で疑心暗鬼の世界に入っている。相手の行動・対応が十分読めない。ワーストシナリオを考えて、それに備えるための準備として安保法制がいる、というような議論がされています。

平和を求めるためにはそういった対応がいるんだということで、法案が出されているというのが、政府側の説明であります。

そして、そういった対応をすることがさらなる疑心暗鬼を生んで、日本を戦争に巻き込んでしまうのではないか、という議論になっている状況があります。

私は、そういった疑心暗鬼の議論を絶ちたい。

もっと根源的なことを皆に知っていただきたい、ということで、平和宣言をするということであります。

ですから、私の平和宣言は、日本国の為政者を含め、世界の為政者に向けて、No one else should ever suffer as we have・・・つまり、こんな思いを二度とさせてはならない。

その思いを実現させるためには、各国の為政者がそれぞれ疑心暗鬼に陥るような行動をやめていただきたい。信頼に基づく、対話による政治を進めていただくということをお願いしたい。

ある一国の方にお願いしても、その方が「いやいや、他の国が自分を疑心暗鬼に陥れているから、やむかたなくやっているんだ」という言い訳を許すことになるんですね。ですから、世界の為政者に向けて、そうした世界を作らないように、信頼関係を構築していただきたい。

その思いをしっかりしていただくために、一度広島に来てみてもらえませんか。被爆者の思いを聞いてみませんか。

文化・経済、いろいろな形で発展してきた都市が、あの一日の、あの一発の爆弾で全てなくなったんですよ。

もし、そういうことが起こると思っていたら、その当時の人は原爆を落とす気になったでしょうかね。本当に分からなかったんじゃないかと思うんですね。

だから。だから知っていただきたい。

だから、為政者全てに考えていただきたいということを強く訴える。

そういう意味で、あえて安保法制に触れなくても、私の思いは伝わると申し上げております。

(弁護士ドットコムニュース)

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