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介護士・保育士「私たちも人間。休まないと良い仕事はできない」労働組合を結成
2016年06月16日 17時42分

個人で加盟できる労働組合「総合サポートユニオン」は6月16日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、介護士や保育士を対象とした「介護・保育ユニオン」の結成を発表した。

介護施設や保育所には、個別の労働組合がないことが多い。総合サポートユニオンの母体であるNPO法人POSSEに、保育士や介護士から、長時間労働や賃金未払いなどの相談が多く寄せられていたため、結成に至った。「下流老人」や「貧困世代」などの著書がある、社会福祉士の藤田孝典さんがスーパーバイザーをつとめる。

会見で、介護・保育ユニオンの森進生代表は、「現場での虐待や事故の背景には、働き方の問題がある。企業が利益をあげるためには、介護士や保育士の人件費を下げるしかない。それがサービスの質に反映されてしまう。よりよい福祉、保育を作るには、労働環境の改善が必要だ」と訴えた。

●「いつか絶対死者が出るんじゃないかという不安感」

介護・保育ユニオンにはすでに10人ほどの組合員がいる。この日の会見には、介護士と保育士の組合員が1人ずつ出席。それぞれの労働体験を語った。

宮城県に住む30代の介護士・A子さんは2013年12月から2015年10月まで、大手デイサービス企業のフランチャイズ事業所に勤務。人手が少なく、日勤では10人近い利用者を2人体制でまわしていた。夜勤のときは1人だったという。経験の浅いスタッフもいるため、利用者が転倒して、骨折するという重大事故が起きたこともあった。

「利用者さんにつらく当たってしまうこともあり、こんな対応しかできない自分が悔しかった。いつか絶対死者が出るんじゃないかという不安感を持って、いつも仕事していました」

休憩はほとんどなく、多くの月で過労死ラインとされる80時間近くの残業があった。一方で残業代はほとんど支払われておらず、未払い残業代は80万円を超えるという。

「私たちも人間なので休まないと良い仕事はできないと思います。また、きちんとお金を入れてくれるとか、守るべきところはきちんと守って欲しい」

A子さんはこの日、ユニオンを通じて、東京にあるフランチャイズ本部に対し、職場の労働環境改善や未払い残業代の支払いなどを求め、団体交渉を申し入れた。

●国家資格なのに、奨学金の返済にも困る

神奈川県の20代の保育士・B子さんは、ほかの保育士が1歳児を静かにさせようと、手で口をふさいだり、牛乳アレルギーへの配慮をおこたったりするなどの虐待的な行為を目にしたという。

1人で大勢の乳幼児を担当する保育士の仕事はただでさえ激務なのに、休憩時間や帰宅後も保育日誌の記入や行事の準備に追われているという。しかし、それだけ働いても月の手取りは14〜15万円ほどだ。

B子さんは心身のバランスを崩し、勤務2年目の途中で退職。現在はリハビリ的に保育士のアルバイトをしているという。気がかりなのは、短大のときに借りた200万円の奨学金の返済だ。B子さんは「みんな余裕がないです。結果として虐待やパワハラが起きたり、精神疾患になっています。国家資格なので、金額ももっと上げてほしい」と涙ながらに訴えた。

介護・保育現場の声を広く聞くため、ユニオンは6月18、19日に無料の電話相談会も実施する。時間はいずれも午後5時〜10時まで。電話番号は「0120-333-774」。

(弁護士ドットコムニュース)

個人で加盟できる労働組合「総合サポートユニオン」は6月16日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、介護士や保育士を対象とした「介護・保育ユニオン」の結成を発表した。

介護施設や保育所には、個別の労働組合がないことが多い。総合サポートユニオンの母体であるNPO法人POSSEに、保育士や介護士から、長時間労働や賃金未払いなどの相談が多く寄せられていたため、結成に至った。「下流老人」や「貧困世代」などの著書がある、社会福祉士の藤田孝典さんがスーパーバイザーをつとめる。

会見で、介護・保育ユニオンの森進生代表は、「現場での虐待や事故の背景には、働き方の問題がある。企業が利益をあげるためには、介護士や保育士の人件費を下げるしかない。それがサービスの質に反映されてしまう。よりよい福祉、保育を作るには、労働環境の改善が必要だ」と訴えた。

●「いつか絶対死者が出るんじゃないかという不安感」

介護・保育ユニオンにはすでに10人ほどの組合員がいる。この日の会見には、介護士と保育士の組合員が1人ずつ出席。それぞれの労働体験を語った。

宮城県に住む30代の介護士・A子さんは2013年12月から2015年10月まで、大手デイサービス企業のフランチャイズ事業所に勤務。人手が少なく、日勤では10人近い利用者を2人体制でまわしていた。夜勤のときは1人だったという。経験の浅いスタッフもいるため、利用者が転倒して、骨折するという重大事故が起きたこともあった。

「利用者さんにつらく当たってしまうこともあり、こんな対応しかできない自分が悔しかった。いつか絶対死者が出るんじゃないかという不安感を持って、いつも仕事していました」

休憩はほとんどなく、多くの月で過労死ラインとされる80時間近くの残業があった。一方で残業代はほとんど支払われておらず、未払い残業代は80万円を超えるという。

「私たちも人間なので休まないと良い仕事はできないと思います。また、きちんとお金を入れてくれるとか、守るべきところはきちんと守って欲しい」

A子さんはこの日、ユニオンを通じて、東京にあるフランチャイズ本部に対し、職場の労働環境改善や未払い残業代の支払いなどを求め、団体交渉を申し入れた。

●国家資格なのに、奨学金の返済にも困る

神奈川県の20代の保育士・B子さんは、ほかの保育士が1歳児を静かにさせようと、手で口をふさいだり、牛乳アレルギーへの配慮をおこたったりするなどの虐待的な行為を目にしたという。

1人で大勢の乳幼児を担当する保育士の仕事はただでさえ激務なのに、休憩時間や帰宅後も保育日誌の記入や行事の準備に追われているという。しかし、それだけ働いても月の手取りは14〜15万円ほどだ。

B子さんは心身のバランスを崩し、勤務2年目の途中で退職。現在はリハビリ的に保育士のアルバイトをしているという。気がかりなのは、短大のときに借りた200万円の奨学金の返済だ。B子さんは「みんな余裕がないです。結果として虐待やパワハラが起きたり、精神疾患になっています。国家資格なので、金額ももっと上げてほしい」と涙ながらに訴えた。

介護・保育現場の声を広く聞くため、ユニオンは6月18、19日に無料の電話相談会も実施する。時間はいずれも午後5時〜10時まで。電話番号は「0120-333-774」。

(弁護士ドットコムニュース)

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