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メルカリ出品、商品レビュー「コピペ」に注意 他人の文章のパクリ、削除される可能性も
2019年10月03日 09時38分

他人が書いた商品の説明文やレビューをコピペし、あたかも自分が書いたかのように振舞っている人たちがいる。資格試験を終えた大学生(法学部)のショウタさんもその1人だ。

ショウタさんは、使わなくなった資格試験のテキストをフリマアプリ「メルカリ」で売ろうと思い立った。しかし、出品するには商品の説明文を書かなければならないため、「売りたいけど、面倒くさい」と感じていたという。

そんなとき、他のアプリで同じテキストを出品している人の熱い説明文が目に止まった。「これを使えば絶対に売れる」と確信したショウタさんは、出品者の説明文をコピペし、メルカリでテキストを売った。

しかし、ショウタさんは、説明文やレビューのコピペはそもそも違法なのではないかという不安を抱き始めている。最所義一弁護士に法的な問題を聞いた。

他人が書いた商品の説明文やレビューをコピペし、あたかも自分が書いたかのように振舞っている人たちがいる。資格試験を終えた大学生(法学部)のショウタさんもその1人だ。

ショウタさんは、使わなくなった資格試験のテキストをフリマアプリ「メルカリ」で売ろうと思い立った。しかし、出品するには商品の説明文を書かなければならないため、「売りたいけど、面倒くさい」と感じていたという。

そんなとき、他のアプリで同じテキストを出品している人の熱い説明文が目に止まった。「これを使えば絶対に売れる」と確信したショウタさんは、出品者の説明文をコピペし、メルカリでテキストを売った。

しかし、ショウタさんは、説明文やレビューのコピペはそもそも違法なのではないかという不安を抱き始めている。最所義一弁護士に法的な問題を聞いた。

●説明文やレビューが「著作物」にあたれば、保護される

ーー他人の書いた商品の説明文やレビューをコピペすることは法的に許されるのだろうか

「商品の説明文やレビューが、著作権法上、保護されるためには、『著作物』に該当する必要があります。

著作権法では、著作物とは、『思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう』と定義されています(著作権法2条1項1号)」

ーー商品の説明文やレビューに「創作性」は認められるのだろうか

「創作性とは、一般的には、その人の個性が表れているかどうかによって判断されます。そのため、誰が表現しても同じような表現となるような場合には、その表現に個性が表れているとはいえないので、創作性は否定されます。

たとえば、商品の説明文の内容が、単に、商品のサイズや設置、使用方法などについての説明の範囲にとどまるものであれば、創作性は否定される可能性が高いでしょう。

一方で、レビューに関しては、記載する人自身の独自の感想が記載されるのが一般です。そのため、文章が比較的短く、そもそも表現方法に創意工夫をする余地がないもの、単に事実を紹介したに過ぎないもの、具体的表現が極めてありふれたものでもなければ、『著作物性』は肯定されるのではないかと思います。

もっとも、訴訟となった場合は『著作物性』が争点となり得ます。そのため、創作性が認められるか否かは、最終的には、個々の事案における裁判所の判断によらざるを得ません」

●コピペを繰り返す場合「業務妨害罪」が成立する可能性も

ーーもし、「著作物性」が認められた場合は、どうなるのだろうか

「著作権者の許諾なく、勝手にコピペして使用することは著作権侵害となります。その場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(著作権法119条1項)に処せられる可能性があります」

ーーそれでも、コピペをやめなかった場合はどうなるのだろうか

「態様にもよりますが、メルカリから注意されているにも関わらず、規約で明確に禁止されている行為を繰り返す場合には、メルカリに対する『業務妨害罪』が成立する可能性も否定はできません。

また、特定の出品者の顧客を奪う目的で、酷似した内容の商品の説明文やレビューを繰り返し使用するような場合には、特定の出品者に対する『業務妨害罪』が成立する可能性も全くないとまではいえません。

その場合、民事上の損害賠償請求の対象ともなりうるでしょう」

●メルカリは他の会員の写真、文章の無断使用を「禁止行為」に

メルカリの担当者は弁護士ドットコムの取材に対し、「ほかの会員の写真、文章などを無断で使用することは禁止行為としております。内容を確認し、削除等、適宜対応をしております」とコメントした。

メルカリのガイドには、禁止行為に違反した場合は「出品を削除」する場合があると記載している。仮に「著作物性」がないとされたとしても、メルカリに削除されることはありうるだろう。

ショウタさんは「ダメなことだと知らなかった。今後はやらない」と固く決意したようだ。

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