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バレンタインの「3倍返し」 男性が断ったら違法なのか?
2013年02月14日 18時30分

2月14日はバレンタイン・デー。日本では、女性が男性にチョコレートなどのプレゼントを受け渡す習慣がある。また、この日にプレゼントをもらった人は、1カ月後のホワイト・デーに「お返し」をするものだと期待されている。

バレンタインの「お返し」について、カタログ通販のニッセンが30代・40代の女性を対象に調べたところ、「お返しはいらない」という回答が37.7%で最も多かったものの、一方で、贈ったものと「同じ額」を期待するという回答が34.1%、「2倍くらい」を期待する回答が21.1%、「3倍くらい」が5.2%あったという。

このような女性側の意識からすると、「お返しは礼儀」と言えるのかもしれない。しかし、本命でもない「義理チョコ」にまで、「2倍返し」や「3倍返し」をしていては、もらった側はコストに見合わないだろう。では、もしも女性から「3倍返し」を求められたときに、男性が断ったらとしたら、「違法」になるのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。

●「愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではない」

「仮に『3倍返し』を求められて、それを断ったとしても、違法ではありません。そもそも世の中には、法律で規定すべき事柄と、そうでない事柄があります。バレンタイン・デーの『3倍返し』は後者であって、法的な拘束力までは認められないでしょう。

そもそも、愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではありません。ですから、贈った側が3倍返しを期待したとしても、それを相手に求めるのは無粋というものです。まあ、逆に3倍返しを求められた際に断るのも無粋かもしれませんが(笑)」

つまり、女性から「3倍返し」を求められたとしても、契約で縛られるわけではなく、男性は断っても「法的には」問題がないということだ。

●「バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略にすぎない」

一方、見返りを期待してチョコレートなどを贈った女性からすれば、お返しがないというのは残念な結果だろう。そのような場合、贈った物を「返還」してほしいと、男性に要求できるのだろうか。

「できません。法的には贈与契約ですから、一旦相手に交付した場合は、履行が終了したことになり、プレゼントの返還を求めることはできなくなります。そもそも、バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略と言われるイベントですし、私たちは割り切って楽しめばいいのです。法的な権利義務を持ち込む必要はありません」

中村弁護士の言うように、楽しいはずのバレンタイン・デーとホワイト・デーのプレゼント交換に、法律を持ち込むこと自体、野暮なことなのかもしれない。なお、中村弁護士は以下のようにも付け加えた。

「ただし、夫婦間においては、『3倍返し』は法律を超越した義務です。消滅時効もありません。お返しを忘れたら一生責められるので、要注意です(笑)」 

(弁護士ドットコムニュース)

2月14日はバレンタイン・デー。日本では、女性が男性にチョコレートなどのプレゼントを受け渡す習慣がある。また、この日にプレゼントをもらった人は、1カ月後のホワイト・デーに「お返し」をするものだと期待されている。

バレンタインの「お返し」について、カタログ通販のニッセンが30代・40代の女性を対象に調べたところ、「お返しはいらない」という回答が37.7%で最も多かったものの、一方で、贈ったものと「同じ額」を期待するという回答が34.1%、「2倍くらい」を期待する回答が21.1%、「3倍くらい」が5.2%あったという。

このような女性側の意識からすると、「お返しは礼儀」と言えるのかもしれない。しかし、本命でもない「義理チョコ」にまで、「2倍返し」や「3倍返し」をしていては、もらった側はコストに見合わないだろう。では、もしも女性から「3倍返し」を求められたときに、男性が断ったらとしたら、「違法」になるのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。

●「愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではない」

「仮に『3倍返し』を求められて、それを断ったとしても、違法ではありません。そもそも世の中には、法律で規定すべき事柄と、そうでない事柄があります。バレンタイン・デーの『3倍返し』は後者であって、法的な拘束力までは認められないでしょう。

そもそも、愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではありません。ですから、贈った側が3倍返しを期待したとしても、それを相手に求めるのは無粋というものです。まあ、逆に3倍返しを求められた際に断るのも無粋かもしれませんが(笑)」

つまり、女性から「3倍返し」を求められたとしても、契約で縛られるわけではなく、男性は断っても「法的には」問題がないということだ。

●「バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略にすぎない」

一方、見返りを期待してチョコレートなどを贈った女性からすれば、お返しがないというのは残念な結果だろう。そのような場合、贈った物を「返還」してほしいと、男性に要求できるのだろうか。

「できません。法的には贈与契約ですから、一旦相手に交付した場合は、履行が終了したことになり、プレゼントの返還を求めることはできなくなります。そもそも、バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略と言われるイベントですし、私たちは割り切って楽しめばいいのです。法的な権利義務を持ち込む必要はありません」

中村弁護士の言うように、楽しいはずのバレンタイン・デーとホワイト・デーのプレゼント交換に、法律を持ち込むこと自体、野暮なことなのかもしれない。なお、中村弁護士は以下のようにも付け加えた。

「ただし、夫婦間においては、『3倍返し』は法律を超越した義務です。消滅時効もありません。お返しを忘れたら一生責められるので、要注意です(笑)」 

(弁護士ドットコムニュース)

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