6484.jpg
有名人の「コラ画像」を作ってネットで公開したら・・・法的に問題になるの?
2014年04月06日 13時40分

有名人の写真を面白おかしく加工したコラージュ(コラ画像)は、ネットでよくある遊びのひとつとなっている。題材となるのは、活躍中のスポーツ選手や芸能人、ニュースで話題の人物など、その時々の「旬の人」が選ばれるが、シェフの川越達也さんのように長く人気のケースもあるようだ。

たとえば、掲示板などに「川越シェフが○○している画像ください」などとお題が出されると、それに触発されたユーザーが、次々とコラージュを作って投稿していく。投稿されるコラ画像は思わずクスリと笑ってしまうようなものも多いが、中には過激だったり、下品だったり、眉をひそめたくなるような場合もある。

川越シェフについては、本人公認のコラ画像コンテストが開かれたこともあるが、なかには、自分のコラ画像が勝手に作られることに気分を悪くしている人もいるかもしれない。もし有名人の写真を使ってコラ画像を作り、ネット上に投稿したら、法律上どのような問題がおこりうるのだろうか。IT関連の法律問題にくわしい石井邦尚弁護士に聞いた。

有名人の写真を面白おかしく加工したコラージュ(コラ画像)は、ネットでよくある遊びのひとつとなっている。題材となるのは、活躍中のスポーツ選手や芸能人、ニュースで話題の人物など、その時々の「旬の人」が選ばれるが、シェフの川越達也さんのように長く人気のケースもあるようだ。

たとえば、掲示板などに「川越シェフが○○している画像ください」などとお題が出されると、それに触発されたユーザーが、次々とコラージュを作って投稿していく。投稿されるコラ画像は思わずクスリと笑ってしまうようなものも多いが、中には過激だったり、下品だったり、眉をひそめたくなるような場合もある。

川越シェフについては、本人公認のコラ画像コンテストが開かれたこともあるが、なかには、自分のコラ画像が勝手に作られることに気分を悪くしている人もいるかもしれない。もし有名人の写真を使ってコラ画像を作り、ネット上に投稿したら、法律上どのような問題がおこりうるのだろうか。IT関連の法律問題にくわしい石井邦尚弁護士に聞いた。

●「肖像権の侵害」となる可能性が高い

「有名人の写真を使ってコラ画像を作り、ネットで公開した場合、写真に写った有名人等に対する名誉毀損や肖像権侵害、パブリシティ権侵害などが問題となる可能性があります」

このように石井弁護士は説明する。これらの行為はいずれも、損害賠償や差止請求の対象となるという。

「他人の社会的評価を低下させる『名誉毀損』については、刑法上の犯罪としても規定されています。したがって場合によっては、民事訴訟とは別に、犯罪として告発される可能性もあります」

具体的には、どんな風に問題とされるのだろうか。

「有名人の写真を勝手に加工してネットに投稿するというケースについては、肖像権侵害が認められる可能性は高いでしょう。一方で、パブリシティ権侵害や名誉毀損となるかは、写真の使用態様等によります」

その「肖像権」とは何だろうか。

「肖像権は、自分の肖像(容姿)をみだりに他人に撮影されたり、使用されたりしない権利のことです。

画像の撮影・使用が、公共の利害に関する事柄で、公益を図る目的でなされた場合には違法性を欠いて、肖像権侵害とはならないとされていますが、単に写真を面白おかしく加工して皆で楽しむというだけでは、このような例外には該当しないでしょう」

●有名人の「パブリシティ権」とは?

「また、芸能人などの有名人の肖像などには、肖像権だけではなく、パブリシティ権と呼ばれる権利が発生しています。

このパブリシティ権は、『有名人の氏名や肖像のもつ顧客吸引力を、排他的に経済的に利用する権利』です。多くのCMや広告で、芸能人などの有名人の氏名や肖像を利用し、商品の売上アップにつなげています。

また、有名人の写真などを付した商品が、それを付していない普通の商品よりも高く売られるということもよくあります。このような効果を生み出す力が『顧客吸引力』です」

たしかに、人気を売り物にしている芸能人などからみれば、自分の『知名度にただ乗りされた』という形になる場合もありそうだ。

「したがって、肖像等の使用態様などを総合的に考慮して、もっぱら氏名や肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合には、パブリシティ権侵害となります。

コラ画像についても、加工された画像の使用態様等によっては、パブリシティ権侵害となる可能性もあります。

また、直接的に商業利用をしていなくても、たとえば個人的なブログに有名人の写真等を掲載して閲覧者を導いているような場合などであれば、パブリシティ権侵害となることもあり得ます」

●本人が承諾していれば問題ない

ここまでの話からすれば、有名人のコラ画像には問題も多そうだが、どうしてこれほど多くの「コラ画像」が世に流通しているのだろうか。

「肖像権侵害やパブリシティ権侵害、名誉毀損は、本人が承諾をしている場合には問題となりません。本人が笑って受け入れている場合は、暗黙の承諾があったと評価されることがほとんどでしょう。

ただし、このような暗黙の承諾は通常、画像単位のもので、ある加工画像を笑って許していたからといって、別の加工画像まで承諾したことにはなりません。対象者が笑って受け入れてくれているからといって、度を超すことがないよう、注意が必要です」

話題の人物を題材としてコラージュ画像を作る際には、基本的に、笑って許してもらえる範囲内で、節度を持って行うべきと言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る