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ラーメン「一蘭」の特許「味集中カウンター」、何が法的に保護されているの?
2017年12月29日 09時49分

人気とんこつラーメン店「一蘭」(福岡市)のパクリ店が、タイで大ブームになっていると「日刊SPA!」が伝えている。(12月10日)。そのパクリ要素の中でも問題になるのが、一蘭が元祖として掲げる「味集中カウンター」だという。

一蘭では、カウンターが板で仕切られており、周りを気にせずにラーメンを食べることができる。一蘭はこの「味集中カウンター」で特許まで取得している。

一蘭というと、「秘伝のたれ」が有名だが、味集中カウンターの何が特許として認められているのだろうか。タイのように、日本でパクリ店を作ることはできないのか。唐津真美弁護士に聞いた。

人気とんこつラーメン店「一蘭」(福岡市)のパクリ店が、タイで大ブームになっていると「日刊SPA!」が伝えている。(12月10日)。そのパクリ要素の中でも問題になるのが、一蘭が元祖として掲げる「味集中カウンター」だという。

一蘭では、カウンターが板で仕切られており、周りを気にせずにラーメンを食べることができる。一蘭はこの「味集中カウンター」で特許まで取得している。

一蘭というと、「秘伝のたれ」が有名だが、味集中カウンターの何が特許として認められているのだろうか。タイのように、日本でパクリ店を作ることはできないのか。唐津真美弁護士に聞いた。

●「秘伝のたれ」は特許ではなく「営業秘密」

「一蘭が持っている特許は、『秘伝のたれ』に関するものではなく、店舗のシステムに関するものです。日刊SPA!の記事を見る限り、一蘭の特許はタイでは登録されていないようですが、特許は国ごとに保護されているので、日本で登録されていても、タイで登録されていない限り保護されません。

ちなみに一蘭の「秘伝のたれ」の製法は、代表者を含めて数名しか知らないということなので、法的に言えば、不正競争防止法上の『営業秘密』として守られているといえます」

では、今回のタイのように、もし日本でパクリ店ができた場合、特許の観点からは何が論点になるのか。

「特許権を侵害しているかどうかは、対象となる特許権で保護されている範囲が重要な意味を持ちます。特許発明が保護される範囲は、特許出願の際に添付した特許請求の範囲(クレーム)の記載を基準にして定められます。

特許発明は、特許請求に記載された構成要件が一体として構成するもので、特許権侵害が成立するためには原則として、特許侵害をしたとされる製品や方法が、既存の特許の構成要件のすべてを充足することが必要です。侵害態様が特許発明の構成要件を一部でも欠く場合には、特許権侵害は成立しないことになります。

つまり、部分的に侵害をしているだけでは、特許権を侵害していることにはなりません」

●特許は「店舗システム全体」を保護

一蘭の「味集中カウンター」の場合、どう考えればいいのか。

「一蘭の特許は、『一蘭の店舗システム全体』を保護している特許です。公表されている特許請求に記載された店舗システムの概要は、以下のようなものです。

<店舗システムの概要>

・直線的に構成された客側通路と店側通路とが空間的に仕切られており、接客スペースが個別に間仕切りされた客席と向かい合っていて、しかも客席と暖簾で仕切されている

・店内の客側と店型にそれぞれ機器が設置されている。客側機器は、出入口設置され客の入退店を検知するセンサと、各客席に設置された座席センサと連絡スイッチ。店側機器は、座席情報入力スイッチと、座席センサ等の入力結果に基づいて座席状態を表示する客席情報出力器を備える

・座席情報入力スイッチの装備、機能や、店内スピーカーとの連動についても特許請求の中に記載されている

上記を見ると、席の形状にとどまらず、店舗全体が特許請求の範囲となっているといえます」

●「パクリ」に見えてもただちに侵害にあたるわけではない

では、単純に仕切りを設けたカウンターを作ったところで、一見パクリに見えても、特許権侵害ということにはならないのか。

「原則として、特許請求に記載されている要素がすべて利用されていなければ特許権侵害とはならないので、いくら『パクリ』としか思えない要素が目についても、それだけでは直ちに特許権侵害にあたるとは言えません。対象店舗のシステム全体についても検討する必要があります。なお、飲食店などの店舗の「パクリ」については、店舗の内装やメニュー表示などを「商品等表示」だとして不正競争防止法違反が主張されるケースもあるので、その観点からの検討も必要です」

(弁護士ドットコムニュース)

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