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141人の「所在不明児」をゼロにーー「新しい仕組み」の必要性、NPO代表ら訴える
2015年05月28日 22時05分

住んでいる場所はおろか、生きているのかどうかもわからないーー。そんな「所在不明児童」が少なくとも141人いることが、2014年に厚労省がおこなった調査で明らかになった。そんななか、インターネットの署名サイト「change.org」では、所在不明の子どもをゼロにするための「新しい仕組み」を国に求めた署名活動が昨年8月から展開されている。

その署名数が3万件を超えたことを受け、署名を呼びかけたNPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」理事長で小児科医の山田不二子さんらは5月28日、政府の世耕弘成内閣官房副長官に、集まった署名を提出した。続いて、山田さんは、賛同者の一人である、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんらとともに、東京都内で記者会見をおこなった。

駒崎さんは「一刻も早く、所在不明の子供たちがどういう状態なのか、省庁を上げてつまびらかにしなければいけない」と強調。「しかし、今はまだそのシステムがない。所在不明児童の問題は、待機児童のように華々しくメディアで報道されず、関心を集めづらいですが、私たち市民が声を上げていく必要があります」と訴えかけた。

住んでいる場所はおろか、生きているのかどうかもわからないーー。そんな「所在不明児童」が少なくとも141人いることが、2014年に厚労省がおこなった調査で明らかになった。そんななか、インターネットの署名サイト「change.org」では、所在不明の子どもをゼロにするための「新しい仕組み」を国に求めた署名活動が昨年8月から展開されている。

その署名数が3万件を超えたことを受け、署名を呼びかけたNPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」理事長で小児科医の山田不二子さんらは5月28日、政府の世耕弘成内閣官房副長官に、集まった署名を提出した。続いて、山田さんは、賛同者の一人である、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんらとともに、東京都内で記者会見をおこなった。

駒崎さんは「一刻も早く、所在不明の子供たちがどういう状態なのか、省庁を上げてつまびらかにしなければいけない」と強調。「しかし、今はまだそのシステムがない。所在不明児童の問題は、待機児童のように華々しくメディアで報道されず、関心を集めづらいですが、私たち市民が声を上げていく必要があります」と訴えかけた。

●親の人権を侵害しても、子どもの人権を守る必要性

厚労省が定義する「所在不明児」とは、「定期的な乳幼児検診を受けない」「住民票はあるのに学校に通っていない」「家を訪ねても家族はいるが子どもに会えない」などの事情で、行政が所在を把握できない18歳未満の子どもをさす。

所在不明児の中には、学校に通わせてもらえないなどの虐待を受けているケースもあれば、DV被害から逃れるために母親が子どもを連れて、住民票を移さずに転居しているケースもあるとみられている。

そこで、所在不明児の居場所や安否を確認するためには、「捜索のシステムが必要」と山田さんは指摘する。しかしシステムを作るためには、人権という大きな壁が立ちはだかるのだという。

「たとえば、住民票を動かさずに転居しても、(届け出をすれば)郵便物は引っ越し先に転送されます。しかし、郵便局は転送先を絶対に明かさない。『通信の秘密』にかかわるからだといいますが、そうして親の人権を守ることによって、親から人権侵害を受けている子どもの人権は守れないことになってしまいます。

ただ、基本的人権にかかわることについて国が発言すると、非常に反発を受けてしまい、難しい部分があります。そこで、市民の側から『場合によっては親の人権を侵害するかもしれないけど、それでも子どもの人権を守ってほしい』という声をあげていくことが必要です」

●「今こうしている間にも、死にかけている子どもが・・・」

難しいのは、DV被害者の母親が子どもを連れて転居した場合、加害者から身を隠すために、やむを得ず住民票を移さないケースがあることだ。住民票を移す際には、引っ越し先の住所も届け出る必要があるため、住民票の閲覧によって加害者に見つかる危険があるからだ。

そこで、山田さんらは、引っ越し先を伝えずに住民票を移せる仕組み作りを訴える。本来であれば、自治体と自治体の間で行われる転出入情報のやり取りについて、所在不明児童の情報を集約する国の機関が仲介するというものだ。

これにより、DV被害者らは引っ越し前の自治体には転出先の記録を残さずに住民票を移すことができ、また、国の機関が介在することで、自治体側も「所在不明の子ども」リストから外すことができる。

山田さんは、世耕副長官の反応について「できればシステムを作らずに済ませたいが、作らないといけないのではないか、という気持ちの段階のようだった」と話す。「もう少し話を詰めていけば、システムの必要性は理解してもらえると思います」

駒崎さんは、「141人の子どもがどうなっているのわからないというのは、ゆゆしき事態。情報開示システムができるのであれば、早く実現しなければならない。すべての子どもたちが、自治体と自治体の谷間に落ちないようにしなければならない。

今こうしている間にも、親から殴られたり蹴られたり、熱湯を浴びせられたりして、死にかけている子どもがいるかもしれない。ぜひ、声を大にしていく必要があります」と語気を強めた。

(弁護士ドットコムニュース)

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