7544.jpg
「自宅でのバーベキューは迷惑だ!」 近所から苦情がきたら、やめないといけないの?
2014年05月10日 13時15分

屋外でのバーベキューに絶好の季節になった。河川敷やキャンプ場で肉や野菜を焼くのも開放感があっていいが、家族や友人と自宅の庭でバーベキューするのも、また楽しい。

しかし、そんな自宅でのバーベキューが、ご近所トラブルの原因になってしまうことがある。ネットの相談サイトには、自宅の庭でバーベキューをしていたところ、隣人から「迷惑だからやめてください」「煙を撒き散らすのは非常識だ」と文句を言われ、バーベキューをあきらめたという投稿が寄せられている。

たしかに、バーベキューの煙がどんどん流れてきたら、部屋の換気や洗濯に差し支えるかもしれない。もし、近所から「迷惑だからバーベキューをやめろ」と言われた場合、それに従わなければならないのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

屋外でのバーベキューに絶好の季節になった。河川敷やキャンプ場で肉や野菜を焼くのも開放感があっていいが、家族や友人と自宅の庭でバーベキューするのも、また楽しい。

しかし、そんな自宅でのバーベキューが、ご近所トラブルの原因になってしまうことがある。ネットの相談サイトには、自宅の庭でバーベキューをしていたところ、隣人から「迷惑だからやめてください」「煙を撒き散らすのは非常識だ」と文句を言われ、バーベキューをあきらめたという投稿が寄せられている。

たしかに、バーベキューの煙がどんどん流れてきたら、部屋の換気や洗濯に差し支えるかもしれない。もし、近所から「迷惑だからバーベキューをやめろ」と言われた場合、それに従わなければならないのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

●悪臭が「受忍限度」を超えるかどうか

「一般論として、『悪臭』が度を超えてひどい場合には、それを出す行為が違法であると判断されることがあります。

判例でも、悪臭を出してはならないという差止めや、損害の賠償が認められたことがあります。

これは、悪臭によって、快適な生活を送るという生活利益が侵害されるためで、煙に関しても同様だと言えるでしょう」

どんな状態なら「違法」とされるのだろうか?

「快適な生活が侵害されたとしても、常識的にみて、がまんするのが当然な場合まで、違法とすることはできません。そこで、裁判所は特に悪質な場合に限って、『受忍限度』を超えるとし、違法な行為としています」

この「受忍限度」はざっくりいうと、「我慢の限界」ということだが、それを超えたかどうかについて、どんな判断基準があるのだろうか。

「問題になるのは、まずは『悪臭の程度』です。これに関しては、『悪臭防止法』の定める規制基準を超えるかが、重要な判断基準となります。

煙に関しては、実際に生活に支障が出ているかが問題になるでしょう。

そのほか、悪臭や煙が出ている時間や周辺地域の環境、被害の態様・程度、損害の規模などが考慮されることになります」

●節度を保ったバーベキューなら違法とはいえない

バーベキューをする際には、そういった基準を超えないよう、気をつけないとまずい?

「数人規模で行うバーベキューなら、近所の家で測定しても、悪臭の強さが基準値を超えることはあまりないと考えられます。

そもそもバーベキューは、腐敗臭などと違い、誰もが不快感を覚えるにおいを出すわけでもありません。

また、バーベキューをするのは、数カ月に1回、数時間程度で、においを出す時間も短いといえます」

そうすると、ある程度のにおいは「我慢しろ」ということになる?

「そうですね。住宅密集地で、バーベキューを極めて頻繁に行っているとか、特に悪質であるという事情がない限り、バーベキューのにおいが違法だと判断されることはないでしょう。

煙に関しても基本的に同じで、洗濯物が煙で汚れてしまうといった特別な事情がない限り、バーベキューで煙を出すのが違法だと判断されることはないでしょう」

そうなると、節度を保って行われているバーベキューを、法的に止めさせるのは難しいと言えそうだ。

「そのとおりです。ただし、これまで述べたのは、あくまで違法かどうかという観点からの結論です。

近隣住民とのトラブルは、違法とまでは言えない問題の積み重ねの結果という場合が多いですね。

したがって、事前に声をかけておくなど、そもそも苦情を言われないように配慮することが好ましいでしょう」

東山弁護士はこのようにアドバイスを送っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る