7746.jpg
相続税逃れのウソ「父はギャンブルと愛人で金を使い果たし、1円もない」見破られる?
2017年12月07日 09時29分

あらゆる手段を尽くして、相続税から逃れようとする人たちがいます。その1つの方法が、「そもそも相続する財産がない」というものでしょう。

そこで、亡き父は、放蕩親父だったということにして、相続人である子どもたちが、「父はギャンブルと愛人にお金を使い果たして、もはや1円も残っていない」と嘘をついて、多額の現金を隠し持とうとした場合、税務当局に見抜かれるのでしょうか。田邊美佳税理士に聞きました。

あらゆる手段を尽くして、相続税から逃れようとする人たちがいます。その1つの方法が、「そもそも相続する財産がない」というものでしょう。

そこで、亡き父は、放蕩親父だったということにして、相続人である子どもたちが、「父はギャンブルと愛人にお金を使い果たして、もはや1円も残っていない」と嘘をついて、多額の現金を隠し持とうとした場合、税務当局に見抜かれるのでしょうか。田邊美佳税理士に聞きました。

●申告している金額が想定より明らかに少ないと、税務調査の対象となる可能性あり

結論から申し上げますと、財産を隠したとしても税務当局には見抜かれてしまいます。

税務署にはKSKシステムと呼ばれる、全国の国税局(所)及び税務署をネットワークで結び、申告・納税実績や各種情報が蓄積されたシステムが導入されているため、亡くなった方が持っている不動産や今までの収入のデータから相続税申告が必要だと思われる方を抽出することが可能となっています。

にもかかわらず、税務当局が想定している財産金額よりも申告している財産金額が明らかに少ない、もしくは申告していないとなると税務調査の対象となる可能性は高くなります。

税務署は職権で亡くなった方だけでなく、相続人や相続人以外の親族名義の口座について金融機関へ取引照会をすることが可能です。

ですから、多額の現金を引き出し自宅に保管したり、配偶者や子ども、孫といった親族への生前贈与や、別の方名義の口座に預金を移動して財産を少なく見せたとしても、過去の預金の動きを調査されることで亡くなった方の財産がどこにあるかを把握されてしまいます。

財産を過少に申告する、そもそも申告しない、といった場合にはペナルティとしてプラスアルファの税金を取られることにもなりますので、財産は隠さず適切な申告をして下さい。

【取材協力税理士】

田邊美佳(たなべ・みか)税理士

オネスタ税務会計事務所所長。公認会計士・税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。相続税申告、生前対策業務をメインに行っており、国際相続案件にも対応可能。

事務所名   : オネスタ税務会計事務所

事務所URL: http://www.onesta-tax.com/

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る