「最も高い山型の仕掛け花火」(8月)がギネス世界記録に認定された千葉県市川市の市民納涼花火大会で、市がギネスの認定証とともに花火の写真を展示したところ、1人の市民からのクレームで写真を撤去する事態となり、様々な意見が市に届く事態となっている。
メディアで報じられたことによる大きな反響もあり、意見の多くは市の対応を批判するものだ。何があったのか。市川市は弁護士ドットコムニュースの取材に「1件での撤去にはそれなりの理由がある」とした。
●「写真家への影響も考えられる」ことも総合考慮したと説明
市川市の観光振興課によれば、10月8日、市の庁舎に、ギネスの認定証が展示され、一緒に花火の写真も添えられた。撮影者は、市の依頼をうけ、無償で撮影・提供した写真家だった。
翌9日になって、1人の市民から「市役所など公の施設を使用して、特定のプロ写真家のPRないし利益の促進につながるような行為を、行政(市川市)がおこなうのは、公平性の観点などからよくない」とのクレームが寄せられ、当日中に撤去することになった。
「クレームの内容を踏まえ、また、著作権者であるご本人(写真家)への影響も考えられる事案のため、総合的に考慮した結果、やむなく撤去しました」(観光振興課)
撤去後、市は写真家に連絡し、考えも聞いたうえで、改めて「撤去する」との判断を決定し、写真家に再び報告したという。
「写真家のかたには著作権者として、著作物を使ってよいという権限がありますが、どんな展示をして、どんな展示をしないかを決めるのは、庁舎管理者である市側となります」
●「たかが1件、されど1件の事案」
撤去されて以来、市の職員による写真が並んで提示されている。写真家の写真に戻すようにとの意見が市に届く。
「今まで100件以上のお叱りの電話をうけています。撤去したことに文句を言うかたもいれば、仕方なかったという意見のかたもいます。それでも対応を変えません。クレームに弱いわけではありません。クレーム1件の撤去にはそれなりの理由があるということです。今回は“たかが1件、されど1件”の事案です」
今後、新たに「ギネス世界記録記念写真展」の実施が決まった。今度は認定証ではなく、花火の写真をメインと位置付けて、公募をかけるという。今回の写真家の写真についても「展示していただければありがたい」とする。