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“妊活”のため転職、正社員やめて「収入ダウン」したのに「レス」突入…「減収分を夫に請求したい」
2025年01月07日 10時06分
#離婚事由 #妊活 #セックスレス

妊活のために退職しなければ稼げたはずのお金を夫に請求したい──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の30代女性は、2~3人は子どもが欲しいと考えていたこともあり、「定時帰り・土日休み」の仕事にすることや1年後には1人目の子どもを持つこと、などを婚前に約束した上で夫と結婚しました。約束に従い、高給だった仕事を辞め、条件を満たすことができる派遣社員に転職したといいます。

しかし、結婚後2年の間に、1度しか性交渉はなく、夫とはセックスレスに。そのまま婚前の約束は守られず、結婚後数年が経過してしまいました。

子どもがどうしても欲しい相談者は、離婚することも視野に入れています。もし離婚となれば、転職しなければ稼げていたはずの給料分を夫に請求したいと考えていますが、可能なのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。

妊活のために退職しなければ稼げたはずのお金を夫に請求したい──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の30代女性は、2~3人は子どもが欲しいと考えていたこともあり、「定時帰り・土日休み」の仕事にすることや1年後には1人目の子どもを持つこと、などを婚前に約束した上で夫と結婚しました。約束に従い、高給だった仕事を辞め、条件を満たすことができる派遣社員に転職したといいます。

しかし、結婚後2年の間に、1度しか性交渉はなく、夫とはセックスレスに。そのまま婚前の約束は守られず、結婚後数年が経過してしまいました。

子どもがどうしても欲しい相談者は、離婚することも視野に入れています。もし離婚となれば、転職しなければ稼げていたはずの給料分を夫に請求したいと考えていますが、可能なのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。

●妊活に協力しないこと「離婚事由になり得る」

——婚前の約束が守られないことは離婚事由になるのでしょうか。

話し合いで相手が受け入れれば理由が何であれ離婚をすることはできます。ただ、裁判で離婚を認めてもらうには、法律で定められた「離婚事由」(民法770条1項1~5号)が必要となります。

今回のケースは、「離婚事由」1~4号には該当しないため、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたるかどうかを考えることになります。

性生活や子どもをもうけるかどうかは婚姻関係における重要な事柄ですので、セックスレスや妊活に協力しないこと自体が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」になり得ます。

約束があったということも「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかを判断する際の「一つの事情」になるでしょう。約束があったとしても離婚に直結するような効力があるわけではありませんが、離婚事由の判断材料になります。

——相談者が子どもを望んでいることを知っているのにセックスレスになった場合、夫に慰謝料を請求できるのでしょうか。

先ほどのとおり、性生活は婚姻関係の重要な要素と考えられています。夫婦間で性交渉を拒否するといったことが続く場合には、これを理由に慰謝料請求をすることは可能です。

実際に、結婚後5カ月以内に2~3回性交渉があったに過ぎず、2年後にはまったく性交渉がない事例で裁判所が慰謝料を認めたケースがあります。

●稼げたであろう金銭「請求は困難」

——婚前の約束に基づいて退職・転職した場合、離婚しなければ稼げたであろう金銭も請求できるのでしょうか。

離婚しなければ稼げたであろう金銭を「損害額」として請求することは難しいでしょう。

転職は相談者の意思によるものですし、離婚しなければ確実に特定の額を稼げたかどうかも分かりません。この結婚がなくても、他の理由で転職することはあり得ます。

ただし、慰謝料額が増額する方向で考慮される場合はあるでしょう。

——相談者は離婚も検討しているようです。

婚姻関係において性交渉や「子どもをもうけるかどうか」は重要な事柄です。

離婚や慰謝料請求を見据えるのであれば、この点について改めて夫婦でよく話し合い、互いの考えをしっかり確認をし、相手による性交渉の拒否や子どもをもうけるつもりはない考えなどを録音などの証拠に残しましょう。

結婚前の対策としては、婚前契約を結ぶことも考えられます。

ただし、婚前契約でも「1年後には1人目の子どもを持つ」を確実に実現させることを約束させるのは難しく、せいぜい「努力する」ことを約束してもらうにとどまります。万が一子どもができず離婚をする場合の経済的な条件をどうするか、といったことを取り決めることはできます。

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