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政府が新しい「外国人永住権」を検討 「日本人」にどんな影響がある?
2013年08月10日 16時50分

政府は優秀な外国人を国内に呼び込むため、日本に3年間在留すれば申請できる「新しい永住権」制度の導入を検討している。

永住権の取得には通常10年の在留歴が必要だが、政府は昨年5月、大学教授や技術者、経営者ら、年収・技能が一定以上の水準にある在留外国人について、申請に必要な在留歴を5年に短縮する「高度人材ポイント制度」を始めた。ところが、認定者数は目標を大幅に下回った。

入国管理局などによると、現在検討中の制度では、申請に必要な在留歴をさらに短縮し「3年」とする方向だ。また、配偶者の就労や親・家政婦の帯同といった「優遇」を、永住権取得前だけでなく取得後も認める。一方で、永住権を取得した人がその後、単純労働などにつかないよう、働ける職種を制限する。

政府は秋までに結論を出し、来年の通常国会に出入国管理法の改正案として提出する予定だとしている。背景には国際的な人材獲得競争の激化があり、英国やオーストラリアなどにも同様な制度があるようだ。この「新しい永住権」は、国民生活に変化を与える可能性はあるのだろうか。作花知志弁護士に聞いた。

●どの外国人に永住権を与えるか、国家は自由に決めることができる

「国際法上、どの外国人に永住権を与えるか、与えるとした場合、どのような条件で与えるかについて、国家は自由に決めることができます。これは、国家主権の発現です」

永住権付与に関する原則について、作花弁護士はこう説明する。

「今回のテーマである『新しい永住権制度』も、これまでとられていた『高度人材ポイント制度』も、日本が国家として自由に制定することができるものであって、それが国際法上問題となるわけではありません」

では、導入が検討されている「新しい永住権制度」は、日本人に対してどのような影響が与えるのだろうか。

「新しい制度は、大学教授や技術者、経営者ら、年収・技能が一定以上の水準にある在留外国人について永住権を取得しやすくして、優秀な人材を確保するために設けられるわけですから、当然それらの在留外国人と同じ仕事をしている日本人が、職を得ることができなくなったり、経営競争に敗れたりすることは考えられます」

●「多様性から新しいものが生まれてくる国が、理想ではないか」

そうなると、日本人にとっては不利益が生じるともいえそうだが、作花弁護士は次のように続ける。

「外国人を制限する法政策をとるべきか、逆に広く受け入れる法政策をとるべきかというのは、実は私たち日本人がどのような国を理想とするのかというとても深い問題でもあるのです。

『日本人を保護して日本人の生活を優先させるべきだ』と考えるのか、それとも『さまざまな国で生まれ育ったさまざまな国の人びとと私たち日本人が、互いに良いところを学び、影響を与えながら、ともに日本をいい国にしていきたい』と考えるのか、という問題です」

このように説明したうえで、「私個人としては、多様性から新しいものが生まれてくる国こそが、理想的なのではないかと思っています」と、作花弁護士は自らの見解を述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

政府は優秀な外国人を国内に呼び込むため、日本に3年間在留すれば申請できる「新しい永住権」制度の導入を検討している。

永住権の取得には通常10年の在留歴が必要だが、政府は昨年5月、大学教授や技術者、経営者ら、年収・技能が一定以上の水準にある在留外国人について、申請に必要な在留歴を5年に短縮する「高度人材ポイント制度」を始めた。ところが、認定者数は目標を大幅に下回った。

入国管理局などによると、現在検討中の制度では、申請に必要な在留歴をさらに短縮し「3年」とする方向だ。また、配偶者の就労や親・家政婦の帯同といった「優遇」を、永住権取得前だけでなく取得後も認める。一方で、永住権を取得した人がその後、単純労働などにつかないよう、働ける職種を制限する。

政府は秋までに結論を出し、来年の通常国会に出入国管理法の改正案として提出する予定だとしている。背景には国際的な人材獲得競争の激化があり、英国やオーストラリアなどにも同様な制度があるようだ。この「新しい永住権」は、国民生活に変化を与える可能性はあるのだろうか。作花知志弁護士に聞いた。

●どの外国人に永住権を与えるか、国家は自由に決めることができる

「国際法上、どの外国人に永住権を与えるか、与えるとした場合、どのような条件で与えるかについて、国家は自由に決めることができます。これは、国家主権の発現です」

永住権付与に関する原則について、作花弁護士はこう説明する。

「今回のテーマである『新しい永住権制度』も、これまでとられていた『高度人材ポイント制度』も、日本が国家として自由に制定することができるものであって、それが国際法上問題となるわけではありません」

では、導入が検討されている「新しい永住権制度」は、日本人に対してどのような影響が与えるのだろうか。

「新しい制度は、大学教授や技術者、経営者ら、年収・技能が一定以上の水準にある在留外国人について永住権を取得しやすくして、優秀な人材を確保するために設けられるわけですから、当然それらの在留外国人と同じ仕事をしている日本人が、職を得ることができなくなったり、経営競争に敗れたりすることは考えられます」

●「多様性から新しいものが生まれてくる国が、理想ではないか」

そうなると、日本人にとっては不利益が生じるともいえそうだが、作花弁護士は次のように続ける。

「外国人を制限する法政策をとるべきか、逆に広く受け入れる法政策をとるべきかというのは、実は私たち日本人がどのような国を理想とするのかというとても深い問題でもあるのです。

『日本人を保護して日本人の生活を優先させるべきだ』と考えるのか、それとも『さまざまな国で生まれ育ったさまざまな国の人びとと私たち日本人が、互いに良いところを学び、影響を与えながら、ともに日本をいい国にしていきたい』と考えるのか、という問題です」

このように説明したうえで、「私個人としては、多様性から新しいものが生まれてくる国こそが、理想的なのではないかと思っています」と、作花弁護士は自らの見解を述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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