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「LGBTも対象」国の改正セクハラ指針適用…弁護士「大きな進歩だが効果は限定的」
2017年01月15日 09時25分

2017年1月1日以降、職場でLGBTへの差別的な言動があれば、「セクハラ」となる。当たり前ともいえるが、これまで男女雇用機会均等法の「セクハラ指針」では、LGBTは対象として明記されていなかった。指針に明記されたことで、セクハラ被害をうけたLGBTが、加害者の配置転換を求めていくなどの効果があると見込まれる。

具体的には、セクハラ防止指針の2条1項で、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである」と明示された。

今回、LGBTも対象であることが明示されたことの意義は何か。また、LGBTへのセクハラを防ぐために、気をつけていくべき点は何か。原島有史弁護士に聞いた。

2017年1月1日以降、職場でLGBTへの差別的な言動があれば、「セクハラ」となる。当たり前ともいえるが、これまで男女雇用機会均等法の「セクハラ指針」では、LGBTは対象として明記されていなかった。指針に明記されたことで、セクハラ被害をうけたLGBTが、加害者の配置転換を求めていくなどの効果があると見込まれる。

具体的には、セクハラ防止指針の2条1項で、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである」と明示された。

今回、LGBTも対象であることが明示されたことの意義は何か。また、LGBTへのセクハラを防ぐために、気をつけていくべき点は何か。原島有史弁護士に聞いた。

●「大きな進歩」と評価できるが、課題も

「男女雇用機会均等法に基づくセクハラ防止指針は、基本的にはすべての事業主が職場において雇用管理上講ずべき措置について定めたものです。今回の改正により、同指針において『性的指向』『性自認』という言葉が明記されたことは大きな進歩です。

今後、セクシュアル・マイノリティの問題は、事業者の雇用管理上の課題としても意識されていくようになるのではないでしょうか」

原島弁護士はこのように評価する一方で、「もっとも、同指針の改正内容には不十分な点もあります」とも指摘する。 「今回の改正は、自民党が2016年5月24日付で公表した『性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方』における政府への要望を受けて実施されたものです」

原島弁護士によれば、自民党は上記提案の第12項で、次の2点について指針に盛り込むよう求めていた。

・〈性的指向・性自認に関するいじめ・嫌がらせ等であっても同条及び同指針におけるセクシャルハラスメントに該当するという解釈をすみやかに通達等の手段により明確化すること〉

・〈同指針については、必要な手続きを経たうえで、遅滞なく上記趣旨が明示的に記載されるよう改正を行うこと〉

「つまり、自民党の提案では、セクハラの対象となる『行為・言動』に、『おまえはオカマか』『レズは気持ち悪い』といった、性的指向・性自認に関するいじめやからかいも含めるよう求めていたのです。

これに対し、厚生労働省による改正指針では、『行為・言動』に言及することなく、単にLGBT当事者であってもセクハラの被害者に含まれうるという、ある意味で当然のことを定めるだけの規定になっています。しかし、たとえば、セクハラの対象に外国人が含まれるかどうかについて、『被害を受けた者が外国人であっても本指針の対象となる』という規定をわざわざ入れることはないでしょう。

このように、当初の自民党案にあった『性的指向・性自認に関するいじめ』や『からかい』もセクハラに含まれるとの明示は抜けて落ちており、同指針の改正それ自体の効果は、極めて限定的なものと考えざるを得ません」

●いじめや嫌がらせへの法的対応はできる?

LGBT当事者への嫌がらせについて、法的措置はとることは難しいのだろうか。

「このような行為の禁止は、現行の法令からも導き出すことが可能です。性的少数者であることを理由に、いじめや嫌がらせをすることは、当事者の人格権を著しく傷付けるものですので、当然に損害賠償請求の対象になります」

最後に、職場でLGBT差別について取り組む意義を次のように指摘した。

「LGBTに対する差別的言動が少ない職場ほど、LGBT当事者のみならずLGBT非当事者の勤続意欲も高い傾向にある、という調査結果もあります。働き方改革が声高に叫ばれる今こそ、職場におけるダイバーシティに積極的に取り組む企業が増えていくことを願っています」

(弁護士ドットコムニュース)

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