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ノーベル物理学賞・中村修二教授は「日本人」か「アメリカ人」か――ネットで大騒動に
2014年10月07日 23時16分

ノーベル賞に「日本人研究者3人」が選ばれた――。10月7日、日本中を喜ばしいニュースが駆け巡った。スウェーデン王立科学アカデミーが、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大教授と天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3人に、ノーベル物理学賞を授与すると発表したのだ。

しかし、ニューヨークタイムズを始めとするアメリカのメディアは、ノーベル物理学賞の受賞者を伝える記事で、中村教授について「アメリカ人」と紹介している。ニューヨークタイムズの記事の見出しは「2人の日本人と、1人のアメリカ人がノーベル物理学賞を分け合った(2 Japanese and 1 American Share Nobel Prize in Physics)」となっていた。

ノーベル賞に「日本人研究者3人」が選ばれた――。10月7日、日本中を喜ばしいニュースが駆け巡った。スウェーデン王立科学アカデミーが、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大教授と天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3人に、ノーベル物理学賞を授与すると発表したのだ。

しかし、ニューヨークタイムズを始めとするアメリカのメディアは、ノーベル物理学賞の受賞者を伝える記事で、中村教授について「アメリカ人」と紹介している。ニューヨークタイムズの記事の見出しは「2人の日本人と、1人のアメリカ人がノーベル物理学賞を分け合った(2 Japanese and 1 American Share Nobel Prize in Physics)」となっていた。

●ノーベル賞のプレスリリースが発端

なぜ、こんなことになっているのか。スウェーデン王立科学アカデミーのプレスリリースを見ると、中村教授について「American citizen」と書いてある。直訳すると「アメリカの市民」という意味だ。どうやら、アメリカのメディアはこれを根拠に、中村教授のことを「アメリカ人」と紹介しているようなのだ。

影響はそれだけにとどまらない。ネット百科事典「ウィキペディア」の日本語版も、中村教授のページが10月7日付けで、「米国籍」と書き換えられた。また、掲示板「2ちゃんねる」には、「【速報】ノーベル賞の中村修二さん、アメリカ人だった」といったスレッドが立てられ、反響を呼んだ。

ツイッターでも、中村教授について「日本の司法に絶望し、日本を捨ててアメリカ国籍を取得しております」という投稿がなされ、広く拡散していった。また、あるブログには「うれしく思う一方、ノーベル賞のプレスリリースに中村修二さんが『American』と書かれていたのは、最初は誤植ではないかと思いました。うそだろう・・・と思いたい」という書き込みもされた。

●アメリカ市民権を取得すると「日本国籍」を失う?

このようにネットでは、「中村教授はアメリカ国籍なのか」という憶測が広がっているが、現段階では、真偽はわからない。ノーベル賞のプレスリリースに記されている「American citizen」という言葉の意味もはっきりしないところがある。もしこれが「アメリカの市民権をもつ者」という意味だとすれば、どうなるのだろうか。

在アメリカ合衆国日本国大使館のサイトによると、「日本国籍を持つ米永住権(グリーンカード)保持者が、自らの意志で米市民権(U.S. CITIZENSHIP)を取得(帰化)した場合は、帰化の時点で日本国籍を喪失します」と説明している。つまり、中村教授が「米国の市民権」を取得しているのなら、日本国籍を喪失しているということになりそうだ。

日本の国籍法は、原則として二重国籍を認めていないため、外国の国籍を取得すれば、日本の国籍を喪失することになる。はたして、中村教授の場合はどうなのか。

中村教授の所属するカリフォルニア大サンタバーバラ校に電話をかけてみた。窓口として応対したアンドレア・エストラーダさんによると、「中村教授は、アメリカ市民(U.S. CITIZEN)です」という。しかし、中村教授の国籍がどうなったかについては「わかりません」ということだった。

今回のノーベル賞発表を受け、中村教授は日本時間の10月8日午前2時から、同校で記者会見する予定だという。そこでは、中村教授の「国籍」がどちらなのか、はっきり判明するのだろうか。もちろん、中村教授の業績の偉大さについて、国籍の違いは全く関係のないことだが・・・。

※10月8日午前1時15分追記

その後、日経新聞や毎日新聞が、中村教授を米国籍として報じた。

(弁護士ドットコムニュース)

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