13551.jpg
甲子園名物「ブラスバンド」の応援――演奏曲の「著作権」は問題にならないのか?
2014年08月21日 12時11分

阪神甲子園球場で開かれ、連日盛り上がりを見せている全国高校野球選手権大会。今年も高校球児達のはつらつとしたプレーに日本列島が沸いている。

その熱闘を一層盛り上げるのが、応援ブラスバンドの存在だ。応援団が吹き鳴らすトランペットやホルンの演奏を楽しみにしているファンもいるだろう。『狙いうち』のような定番から、大ヒット映画『アナと雪の女王』の主題歌まで、さまざまな曲が演奏されている。

ただ、こうしたファンの中には「曲の著作権」を気にする人もいるようだ。ツイッターでも、「甲子園のブラバンは著作権使用料を払ってんのかな?」「さすがに甲子園の演奏は問題にならないのかな」などとつぶやいている人がいた。甲子園のブラスバンドで音楽を演奏するためには、著作権者の許可が必要なのだろうか。著作権に詳しい小野智彦弁護士に聞いた。

阪神甲子園球場で開かれ、連日盛り上がりを見せている全国高校野球選手権大会。今年も高校球児達のはつらつとしたプレーに日本列島が沸いている。

その熱闘を一層盛り上げるのが、応援ブラスバンドの存在だ。応援団が吹き鳴らすトランペットやホルンの演奏を楽しみにしているファンもいるだろう。『狙いうち』のような定番から、大ヒット映画『アナと雪の女王』の主題歌まで、さまざまな曲が演奏されている。

ただ、こうしたファンの中には「曲の著作権」を気にする人もいるようだ。ツイッターでも、「甲子園のブラバンは著作権使用料を払ってんのかな?」「さすがに甲子園の演奏は問題にならないのかな」などとつぶやいている人がいた。甲子園のブラスバンドで音楽を演奏するためには、著作権者の許可が必要なのだろうか。著作権に詳しい小野智彦弁護士に聞いた。

●「自由に演奏」できるケースもある

「実は、私も高校生時代、ブラスバンドに所属していて、母校の応援にかりだされては、当時の流行歌を演奏したものです」

小野弁護士は、自らの高校時代を、こう振り返る。演奏は、著作権的には問題ないのだろうか?

「たしかに流行曲は、みなさんご承知のとおり、『著作権』で保護されていますので、勝手に利用することはできません。

しかし、実は著作権で保護されている楽曲でも、『自由に演奏』できる場合が、いくつかあるんですね」

今回は、自由に演奏できる場合にあたるのだろうか?

「著作権法には、『営利を目的としない上演等』(著作権法38条1項)にあたるなら、自由に演奏ができるというルールがあります。

これは、次の3つの条件を満たす場合には、聴衆の前で公然と演奏しても、著作権侵害にあたらないというルールです。

(1)営利を目的としていない

(2)聴衆から料金を受け取らない

(3)演奏について報酬が支払われない」

●「3つの条件」に当てはめてみると・・・

今回のケースは、3つの条件を満たしているのだろうか?

「まず、高校野球の応援団が甲子園で演奏することは、(1)営利目的でないことは明らかです。

また、(2)応援団が、観客から『演奏』に関して、料金を受けとっているわけではありません。

さらに、(3)吹奏楽部員に対して、演奏の報酬が支払われているということもないでしょう。

したがって、3つの条件を満たしますね」

●「改変」するとダメなケースも

そうすると、「問題なく演奏できる」という結論になりそうだが・・・。

「そうですね。ただし、1つ注意点があります。それは、応援で流行曲を利用する場合、実際に演奏するのは『ブラスバンド用に編曲された曲』だということです。

たとえ、非営利目的の演奏でも、他人の曲を勝手に編曲して演奏すると、同一性保持権の観点で問題となることがあるのですね。

だから、通常は『ブラスバンド用に編曲された楽譜』を購入して、それを演奏することになると思います。私も高校時代、そうした楽譜を購入したことを覚えています」

小野弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る