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「上司のパワハラ」報告したら“自分も異動”に…こんな配置転換、理不尽だ!
2020年05月13日 10時11分

パワハラ被害を会社に報告したら、自分の方が「厄介払い」されてしまった、という事例は珍しくない。

弁護士ドットコムにも、「上司のパワハラを本部に報告したところ、自分が異動させられることになった」と、アルバイトの男性が相談を寄せている。時給が1150円から900円になるという。

ほかにも、上司は異動になったものの、自分もプロパーだらけの部署との兼任にさせられ、やりたい仕事から外されているという女性の相談などもあった。

配置転換は会社の裁量とされる。とはいえ、本人からすれば、パワハラ告発後の異動は、「報復人事」にしか感じられないだろう。こうした配転の仕方に問題はないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。

パワハラ被害を会社に報告したら、自分の方が「厄介払い」されてしまった、という事例は珍しくない。

弁護士ドットコムにも、「上司のパワハラを本部に報告したところ、自分が異動させられることになった」と、アルバイトの男性が相談を寄せている。時給が1150円から900円になるという。

ほかにも、上司は異動になったものの、自分もプロパーだらけの部署との兼任にさせられ、やりたい仕事から外されているという女性の相談などもあった。

配置転換は会社の裁量とされる。とはいえ、本人からすれば、パワハラ告発後の異動は、「報復人事」にしか感じられないだろう。こうした配転の仕方に問題はないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。

●判例で示された「無効」のポイント

会社が命じる人事異動は、確かに労働契約上、会社に配置転換権が認められ、その行使については、広く裁量が認められるところではあります。

しかし、次のようなときには、この配置転換権の行使が「配置転換権の濫用」にあたるとして無効となるとされています。

「業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該命令が他の不当な動機・目的をもってなされたとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等」(東亜ペイント事件、最高裁昭和61年7月14日判決)。

画像タイトル 配転が無効になる場合

●実際に証明するのは困難な面も

とはいえ、業務上の必要性と労働者の受ける不利益の比較衡量が中心となることから、濫用にあたるか否かの判断自体が難しく、さらに会社の主観的な意図を立証することも容易ではないでしょう。

●時給が下がった相談者のケースでは?

ご相談の内容では、異動により時給が1150円から900円になったということですから、労働者が受ける不利益の程度は相当大きなものと言えるため、会社としても業務上の必要性をより具体的に根拠づける必要があるでしょう。

また、この人事異動の判断より前に、上司からのパワハラ被害を本部に申告していたということであれば、

・その後に、会社が当該パワハラ被害に対して真摯な対応をしていたか
・人事担当者と当該労働者のやり取りの内容

などから、当該配転命令に不当な目的があったと推認させることも不可能ではなく、配置転換権の濫用という主張が認められる可能性もあると思います。

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