16218.jpg
家庭教師バイト「いつでも辞められる」は嘘、退職できず、就活に支障…どうすれば?
2018年04月16日 09時52分

「なんで自由にやめられないのか。もうバックれてしまおうか」。都内の大学生ショウタさんの最近の悩みは、家庭教師派遣のバイトをやめられないことだ。

ショウタさんは、就職活動が始まることを理由に、希望時期の2か月以上も前に退職を申し出たのにもかかわらず、家庭教師派遣会社が承諾しなかったそうだ。

雇用契約を結んだ際には期限の定めがなく、事前に申し出れば、「いつでも辞められる」と説明を受けたのにもかかわらず、退職が承諾されないため、ショウタさんは憤っている。会社は、「派遣先の家庭が継続的に指導してもらうことを望んでいる」と譲らないそうだ。

家庭教師派遣会社が、派遣先の要望を理由に、家庭教師の退職を拒むことは法的に認められるのか。ショウタさんが家庭教師を辞めるためには、どのような手段をとればいいのか。大西敦弁護士に聞いた。

「なんで自由にやめられないのか。もうバックれてしまおうか」。都内の大学生ショウタさんの最近の悩みは、家庭教師派遣のバイトをやめられないことだ。

ショウタさんは、就職活動が始まることを理由に、希望時期の2か月以上も前に退職を申し出たのにもかかわらず、家庭教師派遣会社が承諾しなかったそうだ。

雇用契約を結んだ際には期限の定めがなく、事前に申し出れば、「いつでも辞められる」と説明を受けたのにもかかわらず、退職が承諾されないため、ショウタさんは憤っている。会社は、「派遣先の家庭が継続的に指導してもらうことを望んでいる」と譲らないそうだ。

家庭教師派遣会社が、派遣先の要望を理由に、家庭教師の退職を拒むことは法的に認められるのか。ショウタさんが家庭教師を辞めるためには、どのような手段をとればいいのか。大西敦弁護士に聞いた。

●雇用期間の定めがなければ、一方的な意思表示で退職可能

雇用契約に期間の定めがない場合、退職の意思表示から2週間が経過すれば、雇用契約は解消されます(民法627条1項)。退職するためには、勤務先の承諾は必要ありません。労働者の一方的な意思表示によって退職することができます。今回のケースは、意思表示から2週間経過後に退職できます。

その方法についてですが、退職の意思表示は口頭でも有効です。ただ、言った言わないという問題になり得ることから、内容証明郵便といった証拠が残るような方法で行うのがいいと思います。もちろん、メールでも構いません。

●有期雇用でも1年経てばいつでも退職できる

一方、有期雇用契約の場合、期間満了前に退職するためには、「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。

もし、今回のケースが有期雇用契約だった場合を考えてみましょう。やむを得ない事由に該当するかどうかは何とも言えないところですが、やむを得ない事由はかなり厳格に判断されます。

就職活動が始まることは当初から予定されていたと考えられることや、家庭教師であればある程度時間の融通が利くと考えられることから、おそらくやむを得ない事由には当たらないのではないかと考えられます。

なお、有期雇用契約が1年を超える場合には、1年を超えた日から、労働者はいつでも退職することが可能です(労働基準法137条)。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る