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同僚に「仕事で使うから」と「LINEアカウント」要求された! 断っても問題ない?
2017年04月07日 10時16分

新しい会社や部署に入って課題となるのが、上司や同僚とのコミュニケーションだ。特に、スマホが普及してからは、事務連絡やプライベートなど、様々なやりとりがSNSでおこなわれるようになった。

ネットのQ&Aサイトには、会社の同僚から、「連絡取りにくいからLINE登録してくれ」と言われて、嫌な思いをしている人の投稿があった。「LINEってそんなに必要なのでしょうか?? 自由にやりたい自分には必要ないですね」と思いを打ち明けている。

LINEのアカウントを教えてしまえば、事務連絡からプライベートの話題まで、あれこれ、時間も場所も関係なく、送られてくることになりそうだ。

会社によっては、社内SNSを導入しているケースもあるが、個人のLINEやFacebookなどのアカウントを同僚に要求された場合、断ることはできないのか。ITに関する法律問題に詳しい山岡裕明弁護士に聞いた。

新しい会社や部署に入って課題となるのが、上司や同僚とのコミュニケーションだ。特に、スマホが普及してからは、事務連絡やプライベートなど、様々なやりとりがSNSでおこなわれるようになった。

ネットのQ&Aサイトには、会社の同僚から、「連絡取りにくいからLINE登録してくれ」と言われて、嫌な思いをしている人の投稿があった。「LINEってそんなに必要なのでしょうか?? 自由にやりたい自分には必要ないですね」と思いを打ち明けている。

LINEのアカウントを教えてしまえば、事務連絡からプライベートの話題まで、あれこれ、時間も場所も関係なく、送られてくることになりそうだ。

会社によっては、社内SNSを導入しているケースもあるが、個人のLINEやFacebookなどのアカウントを同僚に要求された場合、断ることはできないのか。ITに関する法律問題に詳しい山岡裕明弁護士に聞いた。

●「パワハラ」の問題に発展することも

SNSのプライベートアカウントの要求に対しては、よほどの事情がない限り、業務との関連性及び業務上の必要性がありませんので、断っても法的な問題は生じません。

業務連絡のためという名目であっても、基本的には電話やメール、社内SNSで足ります。プライベートアカウントには過去のプライベートな投稿、発言及び交友関係が記録されていることが多いので、要求を断ることには正当な理由があるといえます。

しかし実際には、職場の人間関係上、断りづらい場合もあるかと思います。また、断っても何度も繰り返し要求されたり、一方的かつ頻繁に連絡が届くなど嫌な思いをしたりすることもあるかもしれません。

こうした場合には、パワー・ハラスメントが問題となります。

厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」では、パワハラ行為を6つに類型化しています。そのうちの一つとして挙げるのが「私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)」です。ここで言うパワハラには、人間関係や専門知識などの優位性があれば、同僚や部下からの行為も含まれます。

同じSNSのプライベートアカウントを要求される場合でも、LINEのメッセージ機能のみの利用を予定している場合、プライベートアカウントを要求することをもって直ちにパワハラとはなりません。しかし、業務時間外に頻繁に連絡が届いたり、業務時間中であっても業務に関連しない連絡が届くような場合には、「個の侵害」として「パワハラ」に該当する可能性が高まります。

また、メッセージ機能のみならずタイムラインへのプライベートな投稿やプロフィール情報などが閲覧できるようになる場合には、特に「個の侵害」が生じやすくなりますので、この種のSNSのプライベートアカウントを要求すること自体、「パワハラ」となる可能性が高いといえます。

●「情報セキュリティ」の問題が生じることも

業務のLINE利用で生じるのは、前述したような従業員間の問題だけではありません。会社にとっても、情報セキュリテイ上の問題があることに留意が必要です。

NPO日本ネットワークセキュリティ協会の「2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】Ver.1.0」によると、2015年に報道された情報漏えいの件数は799件で、主な原因をみると、「紛失・置き忘れ(30.4%)」、「誤操作(25.8%)」、「管理ミス(18.0%)」、「不正アクセス(8.0%)」となっています。

LINEのメッセージ機能は、気軽にメッセージを送れるという性質上、宛先の間違いといった誤操作が起こりやすくなるといえるでしょう。また、アカウントのIDやパスワードを単純なものにしている場合、不正アクセスを受ける可能性も高まります。

仮に、業務上の情報を同僚に送ったつもりが、誤送信してしまった場合には、会社外に当該情報が流出することになりかねません。例えば、従業員間で「●在住の▲様から至急連絡が欲しいとのお電話ありました。電話番号はXXXX-XXXXです。」という内容を誤送信すれば、顧客の個人情報が流出することとなります。

この場合、会社としては、個人情報保護法上の行政処分を受ける可能性があるほか、個人情報の流出した顧客から不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性もあります。

また、「●社の買収の件、進捗はどうなっていますか?」といった内容を誤送信した場合、会社内の秘匿性の高い情報が流出しますし、その情報について外部の会社と秘密保持契約を締結していたような場合には、当該契約違反として会社が損害賠償請求を受ける可能性もあります。

(弁護士ドットコムニュース)

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