8482.jpg
社会人2年目は給料の「手取り額」が減ってしまう――なぜそんな現象が起きるのか?
2014年04月29日 13時33分

新しい年度が始まってまもないが、フレッシュなスーツ姿の新社会人を街で見かけることも多いだろう。そんな新人を迎える立場の先輩社員の中には、社会人2年目に入ったばかりという人もいるはずだ。

社会人の1年目と2年目。たいした違いはないようだが、給与明細については異なる点が出てくることになる。会社員2年目になって昇給したはずなのに、1年目のときよりも給料の「手取り額」が少ないーーそんな逆転現象が起きる可能性があるのだ。

なぜ、手取り額が減るのだろうか。また、具体的には、どれくらい変わるものなのだろうか。その仕組みについて、税理士の古尾谷裕昭氏に聞いた。

新しい年度が始まってまもないが、フレッシュなスーツ姿の新社会人を街で見かけることも多いだろう。そんな新人を迎える立場の先輩社員の中には、社会人2年目に入ったばかりという人もいるはずだ。

社会人の1年目と2年目。たいした違いはないようだが、給与明細については異なる点が出てくることになる。会社員2年目になって昇給したはずなのに、1年目のときよりも給料の「手取り額」が少ないーーそんな逆転現象が起きる可能性があるのだ。

なぜ、手取り額が減るのだろうか。また、具体的には、どれくらい変わるものなのだろうか。その仕組みについて、税理士の古尾谷裕昭氏に聞いた。

●社会人2年目から発生する「住民税」の支払い

「入社して2年目に給与の手取り額が減る理由は、社会人1年目の所得に対する『住民税』が発生し、給与から天引きされるためです」

古尾谷税理士はこう説明する。

「給与から天引きされる主な税金には『所得税』と『住民税』があります。

所得税は、毎月の給与から天引きされる『源泉徴収』という仕組みで支払い、12月に年末調整されて年内に完結します。したがって、1年目から引かれています。

これに対し、住民税は、前年の所得をもとに、翌年の5月までに計算されます。その決まった金額が、6月から1年遅れで給与から天引きされるのです。こちらは『特別徴収』という仕組みです。

社会人2年目になると、この住民税も天引きされるので、『給与の手取り額が減る』ことになるわけです」

では、具体的にどれくらい減るのだろうか。

「たとえば、4月入社のサラリーマンで、入社1年目は月収20万円、夏季と冬季の賞与が合わせて50万円としてみましょう。この場合、課税のベースとなる給与年収は230万円ぐらいになります。

給与年収230万円に対する住民税を計算すると、個人ごとの所得控除の額などによっても変わってきますが、年間でだいたい8万4000円程度となります。これを12分割すると、毎月の天引き額は7000円になります」

このように古尾谷税理士は説明したうえで、次のようにまとめていた。

「2年目で昇給したけれど『手取り額』が減ってしまったという人は、給与から天引きされるものに『住民税』が追加されたのが、主な理由といえます。

また、給与の額面が増えると所得税や社会保険料の負担も増加します。そのことも理由の一つになっているかもしれません」

【取材協力税理士】

古尾谷 裕昭 (ふるおや・ひろあき)税理士

「親切・丁寧・迅速に」をモットーとしてわかりやすい会計サービスを提供するほか、マーケティングや経営全般について起業家・経営者のサポートを行う。また、お客さまのニーズに多方面から応えたいとの想いで、Web制作やコンサルティングを行う関連会社を設立。2012年11月ベンチャーサポート税理士法人と合併。代表社員に就任する。経済誌や業界紙を中心にメディア掲載実績多数。

事務所名   :ベンチャーサポート税理士法人

事務所URL:http://www.venture-support.biz/

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る